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新人向け講話(案3)

新入社員に

学問知識が生きる!

と教えることも大事です。ただし、学校での学問手法が、そのまま生きないこともあります。そこで、今回は

厳密な学問から直感的説明

の話をします。

大学で、工学部に進んだ人たちは、専門的な教育の頭の方で

材料力学

を学ぶことが多いでしょう。材料力学は、ルネサンス時代の科学者ガリレオガリレイが

壁から突き出した腰掛の壊れ方の規則性

を見出したことから発達した学問で、近代科学の第一歩という位置づけもあります。

その後、ニュートンの力学などの成果を生かして

どの部分に力が入る
どこから壊れる

と、計算式を立てて示すようになりました。

大学では、この式の立て方と、計算方法がきちんとできるかで、材料力学の単位が取れたと思います。

こうした

厳密な数式での処理

が大学教育の一つの成果です。確かに、機械を設計したり、建物を造るとき、こうした計算をきちんと行って

どこまで負荷をかければどこが壊れる

という予測をすることは、技術者にとって大事なことです。ただし、これはその分野の専門家の仕事です。

さて、材料力学を学ぶとき、最初の方で

鉄が引っ張られたとき伸びて破断する

という状況について、学ぶと思います。これは

ある力までなら鉄は変形しない
それ以上なら変形し
さらにちぎれる

という事実を確認しています。私達のなかには

鉄は頑丈

という思い込みがありました。実際、機械の設計などでは

鉄鋼材料は変形しない

という前提で考えないと、複雑な構造は作れません。

しかし、この前提が崩れることがある。これを、先ほどの材料力学の勉強は教えてくれます。

学校の勉強では、数式を解くなどの、厳密な考え方を学び、その力が評価されます。しかし、仕事の上では

鉄も壊れる

と言う風な、直感的な理解と説明も大切です。このような考えで、今まで学んだことを見直すと、多くの財産が見えてきます。

自分の持っているモノを大事にしましょう。


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