主夫な八百屋が気づいたこと
主夫になって早12年
知人と家族ぐるみでバーベキューを楽しんでいた中、当時小2だった娘におにぎりを握ってあげると、「今はお父さんが子どもの世話をするんだねぇ」と、60代の方にしみじみ言われました。
実は私、八百屋でありますが、家事育児をこなす主夫でもあります。子どもは女男男の三姉弟、2019年時点で13・10・9歳です。
長女が生まれた頃は東京におり、仕事仕事の毎日。初めての子育てに奮闘し生後9か月頃からは仕事と育児の両立に苦労する女房を労わる余裕もなく、逆に帰宅時にやっとこ寝かしつけた娘を起こして怒られるのが日常といった体でした。
そんな私が育児に開眼したのは長男が生まれて半年が過ぎた頃、研究者の女房が1週間の出張で不在に。それまで乳児の長男は女房が、3歳の娘は私の担当。いきなり託された乳児。しかも普段は母乳中心で飲みなれないミルクにぐずる息子。見事最初の2・3日は夜泣き続き。人生初めて「夜泣きで眠れない!」というしんどさを思い知りました。
試供品を試しまくった結果、飲んでくれるミルクの銘柄を発見。女房愛読の育児書を斜め読み、何とか乗り切った1週間。長男とは戦友として絆が深まった気分でした。
「夫が育児休暇を取るならば、妻はあえて旅に出る」。夫婦の理解が深まると思うのですが、皆さんいかがでしょうか。
32歳から主夫になって早12年。主夫になって気づいた数々。楽しんでいただければ幸いです。
子育てのコツ?
知り合いのお母さんから「育児のコツは?」と訊かれ、ちょっと考えてみました。
我が家の3人は(当時)長女6歳7か月・長男3歳8か月・次男1歳11か月の構成で、いわゆる一姫二太郎ってことで、長女が結構手伝ってくれます。
3人というとすごそうですが、昼間は保育園ですし、0歳児のいる方や3歳と1歳の兄弟を見ている方のほうが大変だよなぁ、と思います。
さて、まず思い浮かんだのは子どもらへの愛情のかけ方。3人もいますと完全に平等というわけにはいきません。が、誰かにかたよると愛情不足からすねたり、かんしゃくを起こしたりするかなと。
で単純ですが、ことあるごとに抱きしめるようにしています。我が家では「大好きしよ」って子どもに言いながら両手を広げると、子どもが飛び込んできます。怒ったあとなんかにもぎゅ~っと抱きしめて愛情確認。
単純ですが大事です。
あと叱るときの技として面白いなと最近実践しているのが、お尻を叩くとき「この宝物め!」って言う方法。どこかの地方での風習らしいのですが、素敵やなと。次男なんてわざと悪さして、お尻を叩かれて喜んでいます。
そして子ども1人1人が違うってこと。姉弟3人見ていてつくづく思いますが、全然違うなと。保育園でほかの子たちを見てても見事に0歳から性格が違います。
あと成長の程度もそれぞれなので、余り比べてもしょうがないかなと。みんな気づけば歩いてますし、話しますし、トイレも行きますし。字も読めるようになりますし。子どもってすごい成長力です。
あとよく育児の先輩であるお客さんたちに言われるのが、「大変だろうけど今が一番楽しい時期よ」ってこと。
小学校入学前は手がかかりますが、逆に思う存分、子どものかわいさを楽しめる時期でもあるわけで。小学校に上がると親の手を離れていき、抱っこもさせてくれなくなります。
子育ての終わった先輩方に「子育てのコツは?」って訊いてみたら、「もう少し余裕を持って子どもの成長を見られたらよかったわ。あのときは精一杯だったから」って。
みなさん初体験の中、ドタバタと日常を送りつつ、子どもとともに親も成長するんですよね、きっと。
親自身が心の余裕を持つため、知り合いに「ぼやく」のも大切なコツかもしれません。
子どもの夜泣きはしょうがない?
「主夫な八百屋」と名乗りつつ、第一子の長女のころは東京のサラリーマン生活で、酔って帰ってつわり中の女房に「吐きそう」と言わせたり、出産時に腰をさすれと言われたのに気づけば一人寝落ちしてしまったり、出産後は終電や午前様帰りでやっと寝かしつけた娘を帰宅時に起こしたり、いやはやほんとどうしようもない父親で(汗)。
そんな夫(私)はアテにならず、はじめての子育てに苦労し、かつ娘の「夜泣き」がボディーブローのように効いていた女房がたどり着いた方法が以下です。
『カリスマナニーが教える 赤ちゃんとおかあさんの快眠講座』
ジーナ・フォード著 高木千津子訳 朝日新聞出版社
本の帯にあるのが「夜泣きのひどい赤ちゃんを、ぐっすり眠る子に変身させる驚きの育児革命」との文句! でもこれ誇張ではありません。
第一子の長女は途中(生後10か月くらい?)からだったので完全にとはいきませんでしたが、ずいぶん夜泣きが減りました。第三子の次男は誕生後からかなり気を付けて生活リズムを作ったら、乳幼児期で夜22時に寝て朝5時までノンストップで寝るようになりました。(ごくたまにオムツ替えで起きる日があるくらい)
ポイントは大きくいうと2つです。
1.寝かしつけの環境を整える
2.一日の生活リズムを整える(成長に合わせ)
「1.寝かしつけの環境を整える」。
赤ちゃんに限らず子どもは眠くなると機嫌が悪くなるものです。「なんともけだるく意識がもうろうとして、でも寝るに眠れない気持ち悪い感じ」を経て寝るのですが、きっと繊細な赤ちゃんほど最初のこの気持ち悪さから大泣きしてなかなか寝付けないと。
で、どうするかというと、「真っ暗な部屋でおくるみでミノムシのように包んで寝かせる」んです。頭は出した状態で、肩周りから包んで足先もすっぽり。少々動いても身動き取れない感じに。
「真っ暗な部屋」で視界として気が散るものをなくす。そのために窓を遮光カーテンでしっかり覆い、光がもれるのを防ぐ。(我が家の場合、赤ん坊の寝室用の部屋の窓をダンボールでふさいで暗室にしていました)
「ミノムシのように包む」のは、眠気による気持ち悪さで動き回って、寝つきが悪くなるのを防ぐためです。(きっと胎児のときの環境と似た感じになるのかなと)
最初慣れないと5分くらい泣いているかもしれませんが、そこはガマンです。「眠い気持ち悪さからそのまま睡眠」を覚えるようになると、そのうち自然と一人で寝るようになります。
「真っ暗な部屋でミノムシのように包んで寝かす」。まずはお試しを。
「2.一日の生活リズムを整える(成長に合わせ)」。
生活の中で、「食事の時間」「遊ぶ時間」「寝る時間」をある程度決めて、生活のリズムを作るのです。
赤ちゃんが泣くのは、「眠い」か「おなかがすいた」か「遊んでほしい」か「なんらか機嫌が悪い(オムツが汚れてるなど)」のどれかです。で夜泣くということは、「おなかがすいた」か「オムツが汚れている」可能性が高いです。
あと「寝るに寝られない(なんとなく眠いけど、いまいち寝付けない)」。興奮しすぎたり疲れすぎるとそういう傾向が。昼間、寝るべき時間に寝て、飲めるだけしっかり飲んでお腹がいっぱいで、かついっぱい遊んでいると結構夜寝てくれます。
そのために生活リズムが必要なのです。ちゃんと寝てないと、飲むべき時に途中で眠くなって飲めず、一度寝たけど途中でお腹が減って起きるなんてことが起こります。昼間寝過ぎて、夜寝つけないもありますね。
0歳児は月齢(生後1か月・2ヶ月…)で言ったりしますが、1年での成長度合いはとてつもなく。だって生まれて1年でつかまり立ちできるまでになるんですよ!
よくネコだと、最初の1年で20歳くらいになるといったりしますが、人間も最初の1年の成長度合いは急激なので、月齢ごとに1日に飲む母乳やミルクの量が変わりますし、運動量も変わります。結果、どれだけの時間眠るのが適正かも変わってくるのです。
だから、成長に合わせて、睡眠・食事・遊びの時間をどうとるかが大事になりますが、そこらへんの知恵は全然共有されてません。
上記の本には、成長時期ごとの生活リズムの変化を細かく書いてあるので、めちゃ参考になります。(細かすぎて合わせるのがムリ!、と思う場合はてきとうに。1人1人成長が違いますし、あくまで参考に)
あと翻訳本だからか、原本の文章からしてそうなのか、ちょっととっつきにくいところがあります。そういう意味で、概要を押さえた上で読んだ方が理解しやすいかなと思います。
で、ある程度生活リズムができると、赤ちゃんが少々ぐずっても対応が簡単になります。
そろそろ食事の時間なら、「あっ、お腹減ってるんだな」って思いますし、寝る時間が近ければ、「あっ、眠いんだな」と思えます。それ以外なら、まずは「オムツが汚れてるのかな?」ですし。オムツでなければ、「遊んでほしいのかな?」だったり、「(出かけたから)ちょっと疲れたかな?」とか、他の理由が浮かびやすくなるかと。
そして、リズムができてくると昼も夜もしっかり寝てくれるので、親に余裕ができます。だまされたと思って、ぜひぜひお試しくださいな。
そうだ、「だっこ寝・添い乳」のへい害について。
「だっこしてあやしながら寝かしつける」と、布団に下ろすとギャン泣きされる。これも上記の「真っ暗な部屋でしっかり包んで(自分で)寝る」習慣ができれば解決します。
そして「添い乳」。いっしょに添い寝しつつ、母乳を上げているうちに赤ちゃんが寝るという究極の方法。「女性は母乳が出ていいなぁ」と主夫は思ったこともありましたが、これ、「母乳を飲んでいる途中に寝てしまう」ため、お腹が減って起きる原因にもなっちゃうんです。だから「飲む時は飲む」、「寝るときは寝る」、で集中させた方が後々ぜったい楽です。
夜泣きは「しょうがない」でなく、「そのうち治る」でもなく、「なくせる」可能性が大きいです。応援しています。主夫な八百屋より
【注】第二子・第三子に関しては主夫としてがっつり育児しましたが、この方法を見つけたのは完全に女房の功績です。
イクメンの悩み?
NHKの「すくすく子育て」という番組で「パパのホンネ」なる回がありました。ある程度育児を「手伝っている」世のパパたちが出演し、日ごろの疑問・不満を披露するというものだったのですが、最初の疑問が、『なぜママは怒るの?』。
思わずふきだしそうになりました。せっかく皿洗いや洗濯をやっても、「ちゃんと洗えてない!」とか「ネットに入れずに洗って!」とか、基本的なことがちゃんとできず小言が降ってくると。
先生方の返答もなかなか。
「仕事で上司から注意されたら直すのに、なぜ家事で奥さんに注意されたことは何度もやるの?」
「夫婦2人の時の家事負担を10とすれば、子どもが増えるとそれが100に増えます。仮に倍手伝っても、それ以上にママの負担があることをわかってください」
男性の方が仕事モードと自宅モードを分けがちで、「家でそこまで神経使いたくない」と思いがち。家事育児が板についてきた店主もその風潮は抜けません。
それにしても、子どもが生まれると「10の家事が100になる」ってどこまで男性が実感できるものでしょうか。
かく言う店主。長女が生まれたころは仕事仕事でほとんど家事にはノータッチ。朝は6時に出て、帰りは終電や会社に泊まりの時も。家事育児の大変さが身に染みたのは長男が生まれ、長女の育児を担当してからです。
出張がちな女房。久々の帰宅に疲れた心情からいきなり家事のダメ出しから入るなんてことも。そんなときは「まずは労わりからやろ!」と最近は、「お帰りのハグ」をしっかりすることにしています。お互いいろいろがんばったねと。これ結構効きます、お勧めです。
一番は「手伝う」でなく、いっしょに子育てをする「同志」としての労わりと会話。特に会話が足らない場合が多いですよね。反省反省。
女房からツッコミが。「東京時代はひどかった! つわりで気持ち悪い時期に、酔って帰ってきて酒臭いから吐きそうになるし。長女を出産する時、陣痛がひどくて腰をもんでもらってたら 1人だけ寝るし。深夜に帰ってきて、せっかく寝た娘を起こすし。今でやっとトントンですw 」。
親という字は…
娘(6)がスイミングに通い始めて数か月経ち、振り替えで普段と違う曜日のレッスンを受けたときのこと。いつもとは違うコーチに見知らぬ子たち。ちょっと不安そうな娘を送り出し、2階の観覧席からプールを見守っていました。
すると、すぐ後ろを泳いでいる男の子が娘にちょっかいを出し始めました。水をかけたり、泳ぐ進路を妨害したり、後ろから背中をつんつんして来たり! 娘は嫌がりながらも言い返せず。コーチも10数人の子どもたちを1人で見ているため、特に気づいていない様子。
思わずプールサイドに行って、いたずらしている男の子の手をつかみ、文句を言ってやろうかと腰を上げかけましたが、「モンスターペアレント」という言葉が頭に浮かび、ぐっとこらえ、やきもきしつつ上から見ていました。
練習後、娘には「本当に嫌だったら頬をはたいてやってもいいんだからね!」と言い聞かせたものの、あまりに悶々としたため、翌日保育園の先生にぼやいたところ、
「それはよく我慢したねぇ。〇ちゃんも大変やったね。でも、逆にその子がなんでそんなことをしていたかの方が気になるねぇ。水泳を習う時間にそういうことをするのはなんか普段の生活に原因があるんだよ」、と言われました。
娘のことばかりであまり相手の子のことを考えていなかったため、「あっ、そういう考え方もあるんだ」、とちょっと冷静になりました。
今思うと、がまんしてよかったなと思っています。娘はイヤだったし、父も見ているだけでつらかったのですが、子どもの葛藤(かっとう)を奪わなくてすんだかなと。
人生いいことだけではありません。悪い経験も受け止め、次に進む強さが必要です。小さな葛藤を日常で経験しつつ、いつか大きな壁を乗り越える力を得ていく。「転ばぬ先の杖」では、そのうち大ゴケしてしまいます。
「親」という字は「木の上に立って見守る」と書きます。心配しつつ、子どもの成長を見守っていきたいなと思います。
(もちろん、ここぞ、って時の手助けも大事です)
「褒(ほ)められたい夫」なるもの
「褒められたい夫」について、男女の視点から議論する、といった番組がありました。
運動会の父兄競技でせっかく活躍しても奥さんに褒めてもらえずがっかりする夫。妻が用事で出かけたので3時間ほど子どもと格闘し結構大変だったのに、奥さんからは「おつかれさま」の一言もなかったと嘆く夫など。店主も夫なので、わかるなぁと思いつつ、主夫でもあるので、妻側の主張もよく分かり思わず笑ってしまいました。
どの事例に対しても、コメンテーターで出ていたタレントの千秋さんが「だって夫は一瞬だけ頑張っているだけじゃん。奥さんはいつもやってるし!」、とことごとくダメだし。
「運動会であれば、奥さんは朝早く起きて弁当の準備をし、全部の段取りをして応援に臨んでいる。夫の方はその奥さんの頑張りにねぎらいもなく、自分が競技で頑張ったのをほめてほしいなんて虫がいい」、とのコメント。
子どもを相手にする苦労も、ただ「大変だった」でなく、「いつも妻はこんなに大変なんだ!」と相手のことに想いを致し、「いや~大変だったよ!」の後に、「君の苦労が少しわかったよ。いつもありがとう」と言葉が続けば奥さんの態度も違ったかもしれません。
夫にすれば、自分は普段仕事を頑張っている!、って思いがあるのでしょうが。なかなかどうして、夫婦のすれ違いは続きます。
かく言う店主も、第一子である長女が生まれたころは仕事仕事の毎日。初めての子育てに奮闘し、かつ生後9か月頃からは仕事と育児の両立に苦労する女房を労わる余裕もなく、逆にやっとこ寝かしつけた長女を帰宅時に起こして怒られるのが日常といった体でした。
「褒められたい夫」の皆さま。まずは奥様へ「いつもありがとう」の一言と肩もみなぞしてはいかがでしょうか。愛が伝わると結構愛は返ってくるものです。
そして心の広い女性の皆様、不器用な夫の愛をどうか受け止めてくださいませ。
守りすぎも問題です
娘(7)が小学校で田植え体験をすることになりました。そこで、学校のプリントを読んでいると、「靴下をはいてやります」との言葉が!? 泥の中の石等で足を傷つけないために、靴下をはくんだそうです。しかも全員が!!
米農家さんは田植え時、専用の長靴や足袋をはきます。長丁場の田植え時期、ケガをしないためだと思います。大学時代、米の研究室で学んだ店主。長靴があるくせに裸足のまま入っていました。なぜって裸足で泥に入ると、動きやすいし何より気持ちがいいのです。裸足にまとう泥のひんやりとした感触に野生の血が騒ぐといいますか、解放されるといいますか。
ケガを気にされるご家庭では靴下をはかせるのもありだと思います。ただ「裸足で泥に入る」という選択肢も残してほしいのです。安全第一で貴重な機会を奪ってしまうのもどうなのかなと。
少々のケガも一つの経験だと思います。保育園時代は裸足で田植えを楽しんだ娘が、小学校では周りが靴下はくからとなんとなく靴下になるのも父親として微妙な状況です。選ぶ余地がほしいのです。
実は似たようなことが保育園でも。運動会前に保護者会の役員と先生方で会議。毎年使用するグランドの周りに小学生でも簡単にまたげる柵があるのですが、昨年、年長児の子がまたぎ損ねて転倒し、腕を骨折してしまったのです。で、「今年は柵越えを禁止にする」という話が。
「何年もやってきて、たまたま1人がケガしたからって禁止はないでしょう!」と猛反対の私。昨年の事故を伝え、注意を喚起するにしても禁止しなくてもと。いろいろやり取りした結果、万が一ケガをする子が出た場合、保護者を代表して私が先生といっしょに謝りに行くので注意喚起にしてくれ、と強く主張し「注意喚起のみ」となりました。
どちらも子どものためによかれと思って、結果「過保護」になっていると思うのです。(親御さんのクレーム対策という側面もありますが…)
あまり守りすぎると子どもは弱くなります。もう少しケガにおおらかに、子どもにはいろんな体験をさせたいと思います。
味覚も成長するのです
縁あって函館水産高校で野菜の授業をさせていただきました。取り上げたテーマの一つが「野菜の好き嫌い」。
皆さん、子どもの頃から嫌いな野菜って何かありますか?
私八百屋ですが、幼いころは結構な野菜嫌いでした。ピーマン、卵焼きに入ったねぎ、らっきょうなど苦手な野菜が盛りだくさん。我が母は、子どもの好き嫌いに合わせて料理するような人でなく、出されたものはとにかく食べるが家庭のルール。鼻をつまんだり、水で飲みこんだりと涙目になりながら食べていたのを覚えています。
しかし、今では喜んで嫌いだった野菜を食べ、人に勧めています。これってなぜでしょうか。
子どもが嫌いなものとしてよく挙がるのが、ピーマンなどの緑色の野菜です。実は緑色ってまだ熟していない色なのです。植物としての野菜は、種を運んでもらうためにおいしい実をつけます。ただし熟す前に食べられては困るため、未熟なうちはおいしくないのです。
光合成をする葉っぱも食べられては困るので、苦みがあったり、渋かったり。子どもが緑の野菜をおいしくないと思うのはある意味、生物として自然な反応です。山菜のえぐみなんてまさに「大人の味」なのです。
さらに、赤ん坊と大人で舌にある味を感じ取る細胞(みらい細胞)の数に違いがあるそうです。赤ん坊が1万2千個ほどあるのに対し、大人は6千~9千個。赤ん坊の方が多いのは、まだ内臓が未発達の幼いうちは食べて良いものが少なく、口に入れる前に選別するため、より味覚が繊細なんだそうです。
子どもの好き嫌いのランキングを見ると、嫌いな野菜の定番、「ピーマン」「ねぎ」「ニラ」「人参」は香りが強いですし、「なす」「オクラ」「しいたけ」などは食感が独特。味覚が敏感な子どもが毛嫌いするのもある意味当然。
日々成長しエネルギーが必要な子どもたちは、イモや豆(枝豆・とうもろこし)など糖分の多い野菜を好むのです。
身体の成長と共においしさも変わってきます。ぜひ大人になったら嫌いなものにチャレンジを。せっかくなら、よりおいしいものをというときは最寄りの八百屋にご相談くださいませ。(※北海道新聞コラム「立待岬」に加筆)
「子どもが野菜嫌いで何が悪い!(幕内秀夫著)」なんてタイトルの本もあるくらいです。子どもの好き嫌いで悩む親御さんが多い昨今。もっと「子どもの好き嫌いは気にしなくてもいいですよ~」ってどんどん伝えていきたいなと思う八百屋なのです。
見守る姿勢とぼやきの効用
東京で、子どもらとドラえもんの映画を見てきました。ラストシーンで息子であるのび太を見守るママとドラえもんの会話に思わずうるっと。
最近「転ばぬ先の杖」とばかりに子どもを守り過ぎることがらが増えている気がしています。あまり守りすぎると、子どもが失敗含めいろんな経験をしながら自ら考える機会が減ってしまうため、大きくなってから自分で人生を切り開く力が弱くなってしまいます。
「かわいい子には旅をさせろ」と昔から言われますが、親としてぐっと我慢して見守る余裕が必要だなぁと改めて思いました。
マウスに迷路内のエサを探させる実験では、同じ時間内にいろんな道を試した(要は行き止まりという失敗をどんどんした)マウスほど、エサにたどり着く最短経路を見つける成功率が高かったとの結果も。
「試行錯誤する力」ともいえるかもしれません。
失敗の中には、「試練」ともいえる大きな出来事もあるかもしれません。あまりの体験に、心が傷ついたりということもあるでしょう。でも、そこから立ち上がることで子どもは大切なものを学んでいきます。
女優の宮沢りえさんがこんなことを言っています。
関西だと、いろんな失敗談が笑い話として話されます。逆に人がしないような経験はおいしいネタであり、有難い話だったり。
芸人のゴルゴ松本さんが少年院等での講演にて、漢字ネタの話をされる中、「吐く」という字を「口から+と-のことを言うと書く」と示し、「最初は+も-も吐いていいんだ」と。ただ徐々に-を減らしていくと…「叶う」んだよと。
何か事を起こそうとするといろんな苦難がやってきます。まるで人生がその人を試そうとしているように。そんなとき、弱音を身近な人に「吐く」のも大切な処世術です。ただし、グチやぼやきで終わらずに、それを笑い話に昇華したときにその経験は人生の糧となり、その人の歩みを進め、何かが叶うのかもしれません。
そして「ぼやける」関係がもっと増えるといいのになぁと思うのです。
海棲哺乳類の子育ていろいろ
話題になった熊本市議会での子連れ参加について、海棲哺乳類の生態学者である女房がつぶやいていた内容がなるほどやったので、許可とってそのまま引用します。
共働きが増え、人の移動も増えて、血縁だけの助け合いでは難しくなっている昨今。社会全体でどう子育てをしていくのか、もっとにこやかに考えて行けたらいいのになと思います。
「親の責任だ」とか「自己責任だ」といったことが言われてしまいますが、「自助」だけでなく、「公助」だけでもなく、「互助」や「共助」のある社会がまっとうで温かい社会なのかなと、地元のこども食堂の活動を通じて思います。
人と人のつながりは大きな力ですから。
サポートしたいと思ってくれた方へ 八百屋ですので、来店いただけたり、宅配セット「店主の勝手にセレクトセット」を注文いただけるとうれしいです。