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おかあさんゆび(第8話)

ユミ「あ、いけね。1つ大事な話確認したかったんだ。」

華「何ですか?」

ユミ「表彰式の時さ、渡辺って言われてたじゃん。それはいいんだけど、下の名前、『華(はな)』って呼ばれたか?何かちょっと違った気がしたんだけど。」

華「あ、すいません。私本名はハンナです。華と書いてハンナです。父がドイツ人なもので。で、私もともと人見知りなのでハンナって言ってもだいたい聞き取ってもらえないので、もうハナでいいかなと思ってハナって言っちゃってました。すいません…。」


ユミ「偽名を語る詐欺だな。まああたしもユミじゃないから気持ちは分かる。」

華「いや、詐欺と言われると大罪を犯してしまった感満載ですが…、その前にユミさんもユミじゃないってどういう事ですか?」

ユミ「あたしの場合は店の源氏名って訳でもないんだけど、本名は『由利 真美(ユリ マミ)』なんだよ。で、高校の時の連れが『苗字も名前もどっちも名前じゃん!ウケる〜♪』とか言い出してさ。で、合体させても名前って事でずーっとそれからユミだった訳。だからユミ。あ、でも店長の愛人だけは何故かユーリって呼ぶんだよ。ばーちゃんの名前と一緒なんだってさ。あたしをばーちゃん呼ばわりとは失礼極まりないけど、何か嬉しそうだったから許した。」

華「そうだったんですね。じゃあお互い本名が分かったところで…。」

ユミ「待て、この話終わらそうとしてないか?」


華「え?まだ続きます?」


ユミ「当然。華は偽名詐欺という大罪を犯した訳だからな。この家の中では私がルール。私が神。それはOK?」


華「は、はぃ…」


ユミ「では判決を言い渡す。被告人、渡辺ハンナには…」


華「(既に被告…)」


ユミ「我々親子に『回転寿司食べ放題』をご馳走する刑に処す」


華「え? 回転寿司…、アハハハハ♪」


ユミ「何笑ってんだよ。」


華「え?だってユミさん、回転寿司行きたかったんだ。なんか可愛いですね♪」

ユミ「笑ってられるのも今のうちだぞ。本気のあたしは100万円分食べるからな。」


華「だとしたら、私の方が食べますよ♪  食べ物では負けません。」


ユミ「(あ、こいつ胃袋最強だったな)」


ユミ「まあ勝ち負けはいいんだけど、その時あきらにドイツの事説明してくれる?あたしからだとうまく説明する自信無いから。」


華「分かりました。もちろんあきら君が嫌だったら無理強いはしませんので。」


ユミ「大丈夫だよ。あいつ華の言う事は何でも聞くからな。あ、これからはハンナって呼んだ方がいいか?」


華「やめて下さいユミさん、もう華で過ごしてきたので、この家では華です。じゃあ私も由利真美さんって言った方がいいですか?」


ユミ「次言ったら殺す。言わなくても口の形がそうなったら死ぬと思え。」


華「アハハ♪ 大丈夫ですよ、言いませんから。じゃあこれで家族会議は終了ですね。 明日の回転寿司楽しみだな〜。」




次回第10話『ドイツ帰国前夜』に続く‼︎


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