おかあさんゆび(第4話)
一か月後・・・
あきら「ねえ、おかあさん起きてよ~。華ちゃん凄いんだよ~。」
ユミ「う・・・る、さい。ね・・むい。だるい。 温泉飲みたい・・・。」
あきら「おかあさん何言ってんの? ぜんぜん分かんないよ~。」
ユミ「(・・・自分が一番分からない・・・)」
あきら「ねえ華ちゃん凄いんだってば~。」
ユミ「(お前にとっては常に凄いだろうが。凄いって話しかしないだろ小僧。)」
あきら「ねえ見てよこれ~、すごい上手でしょ?この絵。あっという間に僕の顔書いちゃったんだよ!!」
ユミ「あ~、ねむい・・・。どれ? 全然見えない。 何も見えない。 未来も過去も何も見えない。」
あきら「ほらおかあさん、はやく見てよ~。」
ユミ「え~、 あ、 ん? これ? 華が書いたの?」
あきら「そうだよ!! 凄いでしょ!!」
ユミ「(やべぇなこれ。 写真か? しかもあっという間って何分だよ?)」
華「あ、ユミさん起きました? もうすぐ餃子焼けますので。」
ユミ「毎回思うんだけどさ~、何で朝からパンチ効きまくりの料理しか出てこない訳?」
華「あ、すいません・・・。私胃袋最強・・・」
ユミ「その話は既に何万回も聞いている。あたしは朝はコーヒーブラックって何回言ったら分かるんだよ。」
華「あの~、その話は初めてなんですが・・・。」
ユミ「そうだよ、初めて言ったけど、そのぐらいソフトでシャープに抑えたいんだよ。なんか華の料理ってギュっといってバーンみたいなのばっかりじゃね?」
華「そうですね~。でも私の感覚ではグッと詰め込んでドーンですかね♪」
ユミ「はいはい、わかりましたよ~。ってか、この絵って華が書いたの?」
華「そうですよ。餃子の蒸らし時間を計るのにちょうどよかったので。」
ユミ「へぇ~。華って絵、上手いんだな。」
華「いやいや、そんなに褒められますと照れますなぁ。」
ユミ「キャラ替え禁止な。」
華「あ、すいません・・・。でも私、昔から絵が好きで、今も学校通ってるので上手いかどうかは分かりませんが、小さい頃から絵を書くのはずっと好きで・・・。」
ユミ「ん? 今なんつった? 今も学校?」
華「はい、昼間週5日で通ってますよ。あきら君幼稚園に送って、そのまま学校行って、終わったらスーパーのバイト行って、そのあとあきら君お迎えに行って、家に帰ったらみんなのご飯作って~。」
ユミ「主婦じゃん」
華「いえ、学生です♪」
ユミ「いや、学生混ざってるけど主婦じゃん」
華「いえ、主婦が混ざった画家です。あ、正確には画家志望です。」
華「でも、その専門学校の学費を1年分払ったからお金なくなっちゃって、それでユミさんのお店に入れてもらったんです。でも続かなかったから・・・。 あ、やっぱり私ユミさんの主婦でいいです!!」
ユミ「あたしの主婦って何だよ。意味わかんね~し。」
華「でもこうやって2人と楽しく暮らせて、しかも好きな絵も描けて、ほんとに毎日幸せです。ありがとうございます♪」
ユミ「ふーん、でもさ、何で家では描かない訳?」
華「え?だって場所取るし、迷惑だと思ってたから・・・。」
ユミ「描け。描かなきゃ殺す。」
華「え?いや、それって・・・。」
ユミ「描いて売れろ。そして私とあきらを養え。それが主婦の役目。」
華「いや、それはどう考えても主婦では無いのでは・・・。」
ユミ「うるさい。神のお告げに従わない奴は殺す。」
華「は、分かりました!! 描きます!!」
第5話につづく
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