第⑦作 ムーミン谷の仲間たちを読んで~憧れを追い続けるパパと義務感のお話~
こんにちは!
9つの物語の本質的なメッセージを、
トーベヤンソンの生涯・想いと、
キャラクターの性格を深堀して読み解く、
新しいムーミンの楽しみ方。
というテーマで
第七作【ムーミン谷の仲間たち】を読んで
ストーリーにどんなメッセージが秘められているのか
私なりに綴ってみました^^*
※この作品のすべての内容は
一個人である私の見解であり、
公式のキャラクター・実在の人物とは
一切関係ありません。
ご了承の上、お楽しみくださいませ!
※ネタバレ注意です※
この一冊の本は、9つの物語からできています。
今日は印象に残ったストーリーのうち、
8つめ
『ニョロニョロのひみつ』
9つめ(最後の物語)
『もみの木』
を紹介します^^*
まずは
『ニョロニョロのひみつ』
ある日とつぜん家出したムーミンパパが、
憧れのニョロニョロと一緒に
航海をするお話。
けれどニョロニョロたちの生態を知っていくうち、
パパの彼らに対する
憧れの気持ちが変化していきます。
「かわいそうなニョロニョロ。
それなのにぼくは
ぼくのベランダに座って、
やつらこそ素晴らしい、
自由な生きものだと思っていたんだ。
彼らがひと言も口をきかないで、
しょっちゅう動いているものだからさ。
やつらはひと言だって
云うことを持っていないし、
行くとこだってどこにもないんだ…。」
パパは、彼らと時間を共にすることで
「自分自身の意見」を
もう一度持つことができました。
何が大事なのか自分の中で明確になったパパ。
そして大切な自分の家族のもとへと
ふたたび帰ることを選びます。
第7作『ムーミン谷と仲間たち』の
9つめの最後の物語は、
『もみの木』
騒がしいヘムレンさんに、
冬眠から叩き起こされたムーミン一家が、
得体の知れない「クリスマス」の準備を
聞きづてに実行していくお話です。
〝したかったこと″が
〝しなきゃいけないこと″へと
すり替わっているのは、よくある話・・・。
そんな義務感に縛られた住人たちと、
それを第三者目線で眺めるムーミン一家の対比が
なんとも面白いんです^^;
自分たちの宝物を、
だれかに快くゆずってしまう
ムーミンのかっこよさには感動します!!
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「ムーミン谷の仲間たち」の物語に
スパイスを効かせるのは、間違いなくミイ。
ミイは自分というものを確立しているから、
誰かをうらやましがったりすることもありません。
あいまいなものは我慢できず、
わざとその人の心をえぐるような言葉を発します。
良くも悪くもミイというキャラクターは
自分も知らぬうち、
他人の価値観を変えてしまうほどの
影響力をもっているんですね^^*
トーベは鋭い切り口で、
世間に蔓延している
「常識」や「普通」と言われるものに
言葉というナイフを向けます。
特に、「ぞっとする話」は印象的でした。
自分が何者なのか、
自覚を持たないまま生きるのは、
タイトルの通り、とても「ぞっとする話」です。