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ぞくぞく そのいち

 今井喬裕「Betelgeuse」を飾っている。

 チャーミングな画で、今井画匠らしさのある作品だ。今井作品の女性像は、芸術新聞社の画集でも、その視線のありかがさだかではないように記述されている。

 何年か手元において眺めているが、その女性像と目があうと、ぞくぞくするような感覚がある。多様な表現があると思うが、作品をみたときに文字通り「ぞくっ」とするのである。

 絵画を飾るようになるまでに、蒔絵万年筆など、アートに類するものは持っていたし、それなりの見識も持っていた。

 しかし、絵画は違う。

 表現者である画家の作品表現は、観る者に強いインプレッションを与えるものだ。

 イギリスのラファエロ前派のJ.ミレイの「結婚通知」は少なくとも自分には迫ってくるものがあった。渡辺豊重「やって来た赤」もそうだ。何か、表現者のパッションのような、伝えようとしている波動のようなものが伝わってくる。そうではあるが、「ぞくぞくする」感じではなかった。


 今、今井作品「Betelgeuse」をみて、絵画の中の女性の視線をとらえたときには「ぞくぞく」するのである。

 美人画作家の意図のとおりとなっているように思っていたが、実際は、作品全体が観る者に「ぞくぞくする」波動を伝えているのではないか、と感じている。

 絵画鑑賞にも美術史にも知識も経験もないが、「ぞくっとする」感覚を持つ才能はあると自覚した。

 もっとぞくぞくしたいものだ。

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