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『世界のビジネスエリートが身につける教養としてのワイン』

書評第2回。今回はワイン🍷について。
形から入るので、特に興味を持ったイタリアワイン、ヴェルメンティーノ種を昨日買ったので今晩飲む。

【読んだ本】
『世界のビジネスエリートが身につける教養としてのワイン』渡辺順子著

【動機】
・中田敦彦のYouTube大学のワインの回で興味を持つ
※最近見始めたけどめっちゃ面白い
・セミナーや海外出張時にワインを飲む機会が意外と多い
・以前社内の人にワインを勉強しなさいと言われた
※ヨーロッパ旅行担当なので
・「教養」という言葉が好き

【雑な発見】
・ワインを知ることは国際的知識を持つこと。地理、歴史、言語、化学、芸術、宗教、etc...

・「最後の晩餐」でイエス・キリストが「ワインは私の血である」と言及して以来、キリスト教圏では神聖で貴重な飲み物

・ワインは喉ごしという飲み物的性質だけでなく、作法や流儀、生産地へ思いを馳せることを楽しむ美学

・万国共通のソーシャルマナー。ワインへの知識は、高い文化水準を兼ね備えているかの「踏み絵」
→フランスやアメリカでは、首脳会談で出されるワインの銘柄がニュースになる。
相手の出自や興味を踏まえて、最良のヴィンテージや銘柄を選択することが究極のマナーだそう

・基本的にワインは熟成により価値が増すので、早期に保有しのちに売却する投資目的での購入も多い
→第2のブルゴーニュと目されるイギリス南部など、地形や気候から当たる産地を見つけ出しワイン畑を開墾する形の投資もある
*イギリスは元々寒冷すぎてワイン不作の地ながら、近年は温暖化で状況が変化。

【主要国の特徴】

▼フランス
・・・貴族の嗜みとして発展し、流儀、美学を重視することで、ワイン界の王者の圧倒的な地位を築く。
料理との相性のみならず、作法の実践、ヴィンテージやテロワール(ワイン造りに適した自然環境)に思いを馳せるなど、楽しみ方の奥が深い。

【特徴】
・ローマ帝国のカエサルが進軍した際に各地に伝え
る。遠征先での栄養補給としても重宝。

・シャンパンは「修道士」ペリニョンがワインを貯蔵庫に入れわすれ放置したミスから偶然生まれた産物。
*「ドン・ペリニョン」の語源
→シャンパン製造で教会が潤う→宗教芸術盛り上がる→キリスト教勢力拡大→神聖な「ワイン」需要拡大のサイクルを生む

・18世紀以降、王侯貴族が愛し、自身の存在のアピールにワインを利用
→コルク栓で熟成が可能になると「財産」として認められるようになった

・法律(AOC法)で、ぶどうの栽培方法やワインの熟成方法など、品質を厳しく規定、管理
→テロワール(ワイン造りに適した自然環境)を尊重し、人間が手を加えることを許さない。
干ばつの年でも、水をまくことは許されず、自然に身を委ねてワインを作る。

・ロゼワインは赤白ワインを混ぜたものではありません
→元々は失敗作とされていたけど、最近はピンクゴールドのバエる見た目からSNSでセレブがあげる写真が流行。
ブラピやボンジョヴィなどセレブも製造を手がける。南仏プロヴァンス産が有名。

*ボルドー
・・・高級赤ワインの産地の王という称号を欲しいままにする。5大ワイン、ソールテルヌの貴腐ワインが有名。

・ブドウの種類はカヴェルネソーヴィニョンが主だけど、メルローやソーヴィニョンブランなど多彩
→一般に、タンニン(渋み)が豊富で高アルコール度数で濃厚なワイン

・多数のブドウ種のブレンドOK
→不作の年でも調整が効くので味は比較的安定

・醸造所はシャトー(城)と呼ばれ、豪華な外観、庭園の華やかな雰囲気

・土壌、気候、運搬に必要な川(ガロンヌ川)など、条件が整っていた

・東インド会社経由のオランダ人の支援で畑拡大→ボルドーワインの販売拡大→裕福な貴族が集結→シャトー(生産者)中心に街が潤う
→王国貴族の、より質の高いワインを求める動きに応じて、シャトーはボルドーワインを細分化しブランドが誕生していく

・皇帝ナポレオン3世が1855年のパリ万博に合わせて、地区ごとのワイン格付けを開始
*日本はまだ江戸時代、大政奉還は1867年。
→選ばれたワインが、現在も名高い5大ワイン

・ワイン産地「サンテミリオン」が1999年に世界遺産に。中世の街並みとワイン畑

・先物買取制度「プリムール」
→熟成期間満了前の樽入りワインを先物としてシャトーの仲買人が買い取ることができる制度。
これにより、生産者は通常、熟成が完了&出荷してやっと叶う資金回収を早期に行え、財務を健全に保てる

*ブルゴーニュ
・・・ロマネ・コンティを誇る、フランス二大産地のもう一方。シャトーではなく、畑単位で格付け。

・醸造所はドメーヌと呼ばれ、質素で作業場のような雰囲気

・ブドウのブレンド禁止。作る種類も80%は白がシャルドネ、赤はピノ・ノワール
→ブレンドによる味の調整ができないので、ブドウの出来次第でワインの味や価値が変わる

・古代に海底だったので、土壌の質がまばら
→ロマネ・コンティの畑が、地質、日射量、標高など何を取ってもピノ・ノワールに完璧な立地

・ボジョレー地区もここにある
→通常10〜12ヶ月は最低熟成期間が定められるところ、ボジョレー・ヌーヴォーは数週間でOK。
解禁日の11月第3週を時差の関係でフランスよりも早く迎えるので、世界で最初に飲めるというふれこみで日本で流行った。輸出先はほぼ日本だけ。

★気になる産地
・シャブリ
恐竜の時代に海底だった土壌には今でも牡蠣などの化石が出る石灰質。
海のミネラル豊富な土壌で育つシャブリは酸味が強く切れの強い味わい。牡蠣や魚介類との相性が最高らしい。

▼イタリア
・・・決まりとかはいいから、気軽に楽しもう、というカジュアルなスタイルが基本。
庶民的な料理との相性が抜群で、初心者でも気後れなく楽しめる。
ワインは素晴らしいのだから皆で楽しもう、という究極のワインへの愛情が源流。

・古代ローマ人が各国にワインをもたらしたことが誇り

・ワイン生産量はフランスを抜いて1位

・都市ごとに様々な種類のワインがある
→イタリア統一は19世紀で、それまでは国がバラバラ。故に独自の風土や文化を各地が育んでおり、多彩な食文化とワイン文化が育つ

・気軽に飲めるワインが多く、堅苦しいマナーやルールは必要ない
→フランスのAOC法のような規制はあるが、線引きが曖昧で緩い。
これが原因で、質やブランドの管理が徹底できず、ワインにおける名声をフランスに奪われた

・フランスでは王侯貴族の間でワインが流行したが、イタリアは庶民が楽しむことに重きを置いた質より量の生産
→宮廷料理とのマリアージュが追求されたフランスに対し、イタリアンワインは庶民的な郷土料理との相性が抜群

★気になる産地
・ヴェルメンティーノ
イワシの英語名「サーディン」の語源の地、地中海のサルディーニャ島土着のぶどうで作られるワイン。
魚介を用いた郷土料理がとの相性が抜群。
→肉メインのイタリアンなら北部産、魚介メインなら南部産のワインを選ぶといい。
その土地のチーズとの相性も最高。
例えば、エミリア・ロマーニャ(ボローニャが有名)が産地のパルメザンチーズは、土着のワイン「ランブルスコ」との相性がベスト

★気になるワイン
・スーパータスカン
トスカーナ州で作られる高級ワイン。ワイン法が定める品種や製造法にはこだわらず、「トスカーナで作られた法に縛られないワイン」のモットーで最高の味を追求。格付けにこだわらず、自由な発想で作られたワイン。

▼アメリカ
・・・フランス&イタリアをワイン伝統国として「オールドワールド」というのに対して、アメリカなど新興国は「ニューワールド」と称される。既成概念を取っ払った大胆で自由奔放なスタイルでワイン大国へ駆け上がる。

・歴史や伝統がないため、土地やブドウの個性を重視する法律も存在しない。自由なスタイルで味を追求
→フランスで許されない干ばつ年の水撒きも、アメリカはヘリコプターで豪快に行うことも

・90%のワインはカリフォルニア州で生産され、中でもナパが有名
→19世紀のゴールドラッシュで一攫千金を夢見た探索者でも金の採掘に失敗した一部のヨーロッパ人が、ブドウをうえワイン畑を作り始めたのが起源

・WW2大勝利で経済が潤い一気にワインが中流階級の過程まで広がる
→1920年から13年続いた禁酒法が、1933年に解除され伸びていたワイン消費を後押しした

・「パリの審判」
→1976年にアメリカ独立を記念して開催されたワイン品評会。フランス5大シャトーも参加する中、アメリカの下馬評は限りなく低かったが、赤白ともに1位をアメリカワインが勝ち取り、そのクオリティを知らしめた事件。
フランス側は、「フランスワインは熟成してこそ真の味が出る」と負け惜しみをしたので、2006年に30年越しのリベンジマッチ開催。
ここでもアメリカが1位を取り、ワイン醸造国の地位を確固たるものにした。

スペインや日本、ぶどうの種類やマナーの話もあったけど長くなるのでこの辺で・・・