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着物と私②

前回の記事で母と出張着付に出向いた話を書いたが今でも忘れることのできない、やらかした事件について書こうと思う。

新郎の紋付袴と、そのお母様の留袖の仕事だった。回数を重ねるにつれて高校生ながら役に立ってきた頃、腰紐の準備をいつも通りに行っていた。
五角形に畳んであるならまだしも、意外と雑に結んだままの状態になっているこどがあり解いて準備するように言われていた為その日も、紐類は全部解き順番に並べていた。
 お母様の留袖は順調よく着せ終わり、次は新郎様、母の様子がなんだかおかしい。白い房のついたものが、ハラリと解けているのに気づいて青ざめてる。小声でこれは解いてダメなやつ!え〜そんなの知らないよ〜。
母も、慌ててもとに戻そうとするが久しぶりの紋付袴、あたふたしながら、しかも解くことのない房にやり方を忘れて冷汗だらだら。記憶を頼りになんとか形になり、お支度終了。
頭に入れた知識だけが頼りの時代、しかも、高校生の助手は現場でみておぼえろの職人主義の勉強法。無茶苦茶焦った。
後日、写真を見せていただきお客様からありがとうの言葉をいただき、ホッと胸を撫で下ろした。

あの時の私に、今はYouTubeがあるよ!って言いたい。
そんな話をしていると母は、なんでも調べられて楽だな〜。

調べられないからこそ、その場の勢いから出る発想や閃めきって意外と大切なんだよね〜

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