パレットクラブ日記 第2回・北村人先生の課題「2色で描く」
※パレットクラブスクール「イラストコース」(23期)の授業内容の備忘録です。第1回はこちらから。
スクール第1回の終わりに、次回までの課題についてプリントが配られた。北村人先生からの課題は「2色で描く」。好きな画材・紙・サイズでテーマも点数も自由。早速の宿題だ。さて、1週間でいかほどの作品が作れるだろうか?
私がパレットクラブに通う主な目的として、タッチの模索と線画のブラッシュアップがある。そこで、今回は線画を基本にし、第1回で学んだ「見ないで描く」方法を取り入れて、動物・静物・人物を描いてみることにした。
着彩はデジタルで行うことにしたが、2色を使う、ということに関してはノープラン。バランスを見ながら、出たとこ勝負でいくことに。
実際に描いた4点
プリントの関係から、サイズはA4。鉛筆で画用紙に描いた線画をスキャンし、着彩をCLIP STUDIO PAINT PRO で行った。猫・サンダル・人ともに、自分の好きな色・描いていて気持ちのいい2色を選択して色を置いた。
手元をあまり見ないようにして描くことで、普段よりサイズが大きくなり、絵が画面からはみ出したりして、意図していなかった構図になるのが面白い。鉛筆の味も好きだが、絵のバランスとして、もう少し太いマジックペンなどの画材に挑戦してみてもいいかもしれない。
講師の北村人先生といえば、星野源『そして生活はつづく』の表紙絵が思い浮かぶ。線の途中で色を変更する手法なども取り入れておられ、とにかく描く線に味わいがあってなんとも素敵。どんな講評がいただけるだろうか。
授業
はじめに、北村先生の作品紹介や、実際の仕事の流れなどについてお話をいただく。先生はラフの段階で本番絵を提出し、アナログ制作のため、とにかく数を出して選んでもらう形にしているとのこと。一般的にはラフ→本画、という流れが多いのだろうが、イラストレーターによって仕事の形は様々なのだなと思う。
また、制作の際には、使う色数を絞って描くことが多いという。発想が自由になるというのだ。縛りがある方が自由になる、というのはなんとなくわかる。色を念頭に置いて描く方法は、経験がないので挑戦してみたいと思う。
次に、いよいよ講評に入る。予め貼られた生徒の作品について、一人ずつご意見をくださるとのこと! なんとも贅沢。他の生徒の作品を見たり、制作段階での考えを聞いたりできるのもありがたい。
講評
私の作品についていただいた講評のあらましは、以下の通り。
1)4点共通のタッチがすでにある。
2)外国っぽい。外国のものへの憧れ or 海外生活の経験がある?
3)色の選び方・トーン・仕上がりがまとまっている。
4)人物画の塗りのたまりと余白の感じが面白い。
5)人物のイラストは大人しいので、猫の絵の雑さ・ラフさを取り入れると面白くなるかもしれない。
タッチを模索中の身としては、1)はとても意外だった。4点共通のタッチ……自分ではまだよくわからない。ただ、自分らしさ(個性)は今の自分の中から滲み出るものだと考えているので、今の自分の絵から何がしかのエッセンスを抽出して、これから濃縮していけたら……と思った。
自分らしさを表していく上で、2)も強みになりそうだ。無意識にだが、ふだんから外国っぽいモチーフを選ぶ傾向というのはあるかもしれない。自分の好きなものというのは、絶対作品に現れてくる。素敵なものをたくさん見て、好きなものを突き詰めていけるようにしたいと思う。
そして5)は、夫からも言われていたこと。女性の絵はどうしても線をきれいに描きたいという思いがあるため、ラフな線を使うのに躊躇してしまうのだが、そこは匙加減なのかもしれない。とにかく量を描くことが大切だと、先週も今週も言われた。いろいろトライしてみよう。
授業を終えて
先生のちょっとした言葉が胸に残った。
・「『人と違うこと(手法も含めて)=いい作品』なのか?」……「奇をてらった描き方=個性」ではない、と私も思う。実際の現場ではそこまでの奇抜さは求められていないと先生はいう。バランス感覚が大切だと思った。
・「売り込み方も含めてその人の作風」……偏った考え方でポートフォリオサイトを作ってしまったので、耳が痛い。作風の模索と並行して、ポートフォリオの作り方、WEBの作り方、あらためて考えてみたいと思う。
生徒一人ひとりにエネルギーを注いで下さった結果、予定時間を大幅に超えての講評となった(しかもその後、希望する生徒のポートフォリオも見てくださっていた!)。先生の熱意には感謝しかない。
今回の授業で、あらためてパレットクラブは「自分の名を冠してイラストを世に出すイラストレーター」を養成するスクールなのだと再認識した。もっと覚悟が必要だと思った。
いただいたサポートで、少し美味しいおやつを買おうと思います。明日への活力です。