つき過ぎ、月並、類想

 指導基準・選句基準が低い句会では、「つき過ぎ」の句、「月並」の句、「類想句」に点が入りやすいから、要注意である。
 
 地方の小句会では、結社・句会の会員を増やすために、指導基準・選句基準を下げていることもあるから、特に要注意である。厳格な選句眼をもっている選者なら、以下のような句は、ほぼ選ばない。

船を降りるとき船虫の散り散りに (つき過ぎ)
「船」と「船虫」がつき過ぎ。

短冊に願いはみだす星祭(つき過ぎ)
「短冊」と「星祭」がつき過ぎ。

日溜まりを独り占めして福寿草(つき過ぎ、かつ月並)
「日溜まり」と「福寿草」がつき過ぎ。「独り占め」という擬人法が月並。

野仏の前掛け濡れて初時雨(つき過ぎ、かつ類想あり)
「濡れて」「初時雨」がつき過ぎ。かつ類想もあり

くつきりと歯形の残る西瓜かな (つき過ぎ、かつ類想あり)
「歯形」と「西瓜」がつき過ぎ。かつ類想もあり。

後戻りできぬ人生蜷の道 (月並)
常識的な感慨と季語を作為的に重ねた。

コロナ禍の心を花に託しけり(月並)
藤田湘子がいうととろの「風流ぶり」が目立つ月並。

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