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大人の塗り絵民が観察して考えた、洋服のシワのつき方

私はもともと大人の塗り絵が好きで、塗り絵は影が塗れないといけないと思い込んで、その為に意識して物をみる”観察”の習慣がついて、それが絵を描くのに凄く助かっている、という話を何度か書いてるのだけど

今回はその観察をこんな風にやってますという例として
大人の塗り絵で洋服のシワを塗るために、服の皺のつき方を観察して理詰めで推測しようとした時のお話

今回の話で得た学びのほとんどは絵の練習を始める前で、模写とかは一切していないです
(というか今でも服の皺の模写した記憶がない)
模写をしなくても、やり方次第でこれだけ学べるんだという参考になればいいなと思います

何故服にシワが寄るんだろう?

まぁ塗り絵だったら影のつき方が分かればそれでいいんだけども、観察してるうちに、そもそも服にシワがよるのは何で?という疑問が出来たので、二つの仮説を立ててみました

洗濯の仕方や干し方、たたみ方で着る前からシワや折り目がついたりはしますが、そこまで考慮するとどうにもならないので、そこら辺は完全無視で考えましょう

仮説1「服と身体の間に隙間ができるから」

仮説2「身体の動きや、腕まくりや裾を引っ張る、風に煽られるなどの外的な力の働きがあるから」

要は布が動くからシワが出来るのであって、動くための隙間が無ければシワは出来ない

ぴちぴちのタイツ等ではシワはできにくいという事

服と身体の間に隙間があるから布が動いてシワができる、そのためには動きが必要かなと

体の動きだと腕の動かし方や体のひねりなどで”引っ張られてできる”ものと、しゃがんだり、袖をたくし上げたり、しゃがんだりした時の上下に圧縮されるような(言葉が思いつかない)感じの力が働いてできるものの2種類があるのかな

なんて感じの大きな仮説をまず立ててみて、それを元に観察する

観察してなにかに気がついて、何でこうなるんだろうと思ったら、まずはその仮説を立てて、それを元に観察するんですが

この際に「仮説が正しいと証明するためにする」為に観察するわけじゃないということ

仮説を実証するというより、「まぁこうであろう」というレベルで曖昧にとどめておく、で、仮説と違ったら、間違ってるとかいうよりは他の要素があるのかな、とか考えてみる

答えを探しても確実な証明は出来ないし、道筋が限定される、それより仮説を検証しながら観察しつつ、その観察で気づいたことを元に「コレがこうなら、この時はどうなるんだ?」「もしかしたらこうなのでは?」という新たな問いと仮説を連鎖させていく

引っ張られてシワが出来るなら、どこが引っ張られるんだろう?

服と身体の間に隙間(空間)が出来るから、そこに動きが加わるから、しわができると仮定して、だったらどこに、何故、空間ができるのか、どこが引っ張られたりしてどういうシワができるのか

例えばTシャツで考えてみるとこんな感じ

Tシャツの肩と袖の形などを下に、シワのつき方を考察してみた

まずはどこに隙間が出来るかを考えるため、服を着る前と着た後でどうなるかを考えてみたんですよね

で、Tシャツって着る前を見ると袖は斜めになってるんですよね、なので腕を横に広げると脇周辺の布が引っ張り上げられる、逆に手を下に下げると、袖は下がり、腕の内側の布は折りたたまれて、たるんだ部分に空間ができるな、と思いまして

肩の横に腕を広げた場合、袖の上部分は身体などに接してるので隙間は小さい、隙間が大きくなる所を考えると、腕の下側や脇あたりかな、そういや服の形を考えると一番影響を受けるのは腕の付け根辺りだよなぁ、だったら脇あたりに注目して袖のシワを観察してみよう

さっきの絵はその時着てた部屋着を参考に描いたんだけどこの服、結構袖が細く、だぼっとした服ではないので、脇の下辺りから胴側面の布が引っ張り上げられてるし、袖も脇側から引張られてて、横から見た袖口がかなり斜めになっている

これもっと袖が太く作られてて、ゆったりしたサイズなら、同じTシャツでも引張りが少なく、隙間の大きさやたるみが増えて、シワのつき方が変わると思う

って事はシワのつき方は着る服の大きさや形などでも変わる、じゃぁどう変わるか考えてみよう

こんな感じで、観察で気づいた事から、いろんな気付きを連鎖させて、仮説を立てて、次から次へと考えて観察していくことで、いろんなデータが蓄積されていくのと、知りたいこと、例えば服の皺が出来るために、どんな要素が必要なのか、その違いでどう変わるかを知るための道筋ができる

Tシャツのシワに関しては、腕を動かした時だけでもなく、胴のひねりに関しても、脇の下周辺がシワの起点になる事が多いです

たくし上げるような上下の圧力で出来たシワは比較的分かりやすいけど、引っ張られて出来るシワはちょっと分かりにくいですが、この動きでどこが引っ張られてるかを考えると理解しやすくなります

スーツの袖のシワは何で肩の少し下に出来るの?

アニメでは名探偵コナンとか、ジャケットの肩の少し下にシワが描かれてたりしますよね

実際、ジャケットの肩のすぐ下にシワが寄ってることってほとんどないです

それは何でかなって考えると、服の形と縫製、服の厚みに理由があるんじゃないかと思います

着る前のスーツを見ると、立体的な形に縫製されていて、袖はTシャツと違い肩から下側へ向かう形になってます

あと、スーツのジャケットって結構分厚い布で出来てて、縫製も丈夫に、縫い代も厚め

それだけしっかり作ってると、肩まわりの布は動きにくい、特に立体的に縫製された縫い目付近、となるとまだ動きやすい部分が動き、そこにシワが出来る、と考えたら、これが肩の少し下にシワができる理由なのかなぁ

と考えると、服の形だけでなく、厚みや縫製の丈夫さや布の伸縮性も、シワの出来方を考えるのに必要かも

これまでの観察で得た情報を考えると、服のシワを考えるために必要な要素は今分かってるのでもこれだけあるんですよね

  1. 着る前の服の形(立体的かそうでないか、型紙でも考察可能)

  2. 服を着たときに出来る隙間、空間(形だけでなくサイズでも変わる)

  3. 身体の動きや外部の力で布が引っ張られたり、たくし上げる様な上下の圧力など

  4. 布の厚みや伸縮性(厚みのある布だと縫い代も厚くなる、厚みのある伸縮性の低い布だと布が動きにくいので、より動きやすい部分にシワが集中しやすいかも)

この項目でも3なら引っ張られる方向や起点、4なら布の厚みと素材感でかなり色々変わります

結構素材感でシワのつき方って変わるんですよね、厚みが同じでもTシャツのように伸縮性の高い柔らかいものと、Yシャツの様なぱりっとした布ではシワの印象は変わると思います

”思います”なのでまだまだ仮定の段階ですが、こういう仮定を沢山、しっかり分類して、連動させて、方程式にして、描きたいものに合わせて考えると、ある程度どうなるか推察出来る

それだけで描けるかというと厳しいけど、後は足りない部分を補うだけなので、資料を見たり模写して学ぶ手間を大幅に短縮出来るし、既にデータがしっかりまとまってるので応用が効く

絵の練習の上達が遅い人って、こういう学んだ情報をまとめるのが苦手な人が多いように思う

複数の角度の形をそれぞれ暗記したり、学んだ情報をバラバラのピースのままにしておいてるから、その都度模写したり、資料を見ないといけない、描けるものが少ない

正直模写をしなくたって、観察の仕方だけで、これだけの情報を得ることができるよって話

まぁ描かないと描けないのは確かだし、数をこなす必要はあるのも確か、でも描きたいものが出るたびに模写したり、資料を見て1から学ぶのは面倒くさいし効率悪いので、せめて学んだことはきちんと分類して、つなげて考えられるようにしておくだけでも大分変わると思います

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