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『消えない灯火』あとがき

こんにちは!すずちん(千寿)です!

この度は私の小説『消えない灯火(ともしび)』を読んでいただき、ありがとうございます!

★まだの方はこちら↓からどうぞ。
https://estar.jp/novels/25669489

このお話は、私の所属するかんころ編集部というオンラインサロン内の企画で「あなたの願い事」というお題が出されたため、書き下ろした作品です。

前々から頭の中にあった秀(〇〇に恋をしてしまう男子)と、前作、藍色の向日葵で登場した青木ゆうがなかなか読者さんから評判が良かったので(あの独特な感じが好き!と言ってもらえました(´;ω;`)うれしいっす!!)、彼の高校時代と秀を絡めて出来上がった作品です。

藍色の向日葵はこちら↓
https://estar.jp/novels/25164565

……でも、めっちゃ大変だったんです。

良(青木ゆう)が、何を考えてんのか全っっっく分からないんです。

自分の中で生まれたキャラクターなのに、彼の思考とか行動とか台詞とかに、いちいち私自身が振り回されてしまい、「こういうとき、君は何考えてんの!?」「どういう思考回路で行動してんの!?」と、心の中の彼に必死に問いかけながら、創り上げていきました。笑

藍色の向日葵のときは、ある意味、彼の完成形として登場していたので、書きやすかったんです。弟の死を乗り越え、社会に溶け込んでいる成熟した彼を描けばよかったから。

でも、今回は彼の高校時代……。藍色の向日葵では回想でざっと振り返っただけだけど、彼の学生時代ってどんなキャラクターだったの?と、私自身が全く分からないまま、書き始めました(笑)

だから会話のひとつひとつ、行動のひとつひとつ、全部手探り状態。前述のとおり「こういうとき、青木良は何を考えてるの?」「青木良なら何て返事をするの?」と、いちいち頭を捻りながら書きました。そして書き続けていくうちにだんだんと「高校生の彼」の輪郭がはっきりしてきました。

だから、藍色の向日葵のときの「青木ゆう」と高校生の「青木良」って、かなりかけ離れているんですよね。作中で秀が語っているとおり、高校時代の彼は「よちよち歩きの雛状態」なので。文字通り弟以外のことに1ミリも興味がない、自分の殻に閉じこもった人間。

最初は「これって青木ゆうっぽくなくない?」と、自分自身でも疑問だったのですが、手探りで書きながら、あぁ、彼の高校生として一番しっくりくる形ってこれかもしれない、と少しずつ殻を破って自分の世界を広げていこうとする良を見て思いました。

また、最後のエピローグで大人になった良が登場しますが、これもまた藍色の向日葵の青木ゆうと、ちょっと違うかも、と、思っています。時系列的には数年しか変わらないのですが、藍色の向日葵で見せたあの「青木ゆう節」みたいなものは若干弱めかも。笑

でも「あの独特すぎる何考えてんのかよく分かんない青木ゆう」の、高校時代を描いて、私も、読者さんも、青木良の「人間らしさ」に触れられて、エピローグ以降の彼は、少し身近に感じられるかもしれません。だから、独特感が薄れるのはある意味しょうがないし、親友である秀との絡みなので、藍子や蒼の前で見せる「芸能人である姿」とは違って当然かもしれないよな……と、自分の中で納得させようとしている作者の私……(苦笑)

……と、まぁこんな感じで今回の「消えない灯火」は出来上がりました。

実はラストシーンの締め方も、書いてはやめ、書いてはやめ、と違和感が拭えず何パターンも書いて、自分の中で一番しっくりくるものを選びました。

そんだけ試行錯誤しながら出来上がった作品です。

毎回試行錯誤はしているのですが、今回は本当に大変でした。こんなにキャラクターに振り回されて創作に難航したのは初めてです。笑

でも、その分思い入れも強く、とてもいい作品が出来上がったんじゃないかと思っています!!

そんな作品を読んで下さり、本当に本当にありがとうございます!!!

この作品に心揺さぶられたり、読者のあなたなりに、何かを感じてもらえれば、作者としてこれ以上の喜びはありません。

最後に、作中に入れようと思ったけれど、構成上、削ってしまった作者お気に入りの文章を読者の皆さまへお送りします。

この胸の痛みは、人を愛する幸福と引き換えとして与えられた、逃げられない枷だ。

「消えない灯火」を通して素敵なご縁で出会えたあなたに感謝して。

すずちん(千寿)

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