見取り算病院
小学生の頃、そろばんを習っていた。
いくら田舎とは言え、習い事がそろばんしか無かった訳ではない。ヤマハ音楽教室でドラムを習う友人もいた。
数ある選択肢の中で選んだ「そろばん」
兄がやっていたからという理由で始めた。 兄は兄で近所の友達がやっていたから始めた。
必要に応じて始める学習塾や親の方針で始める習い事でなければ、始めるきっかけなんて そんなもんだろう。
級が上がるごとに賞状がもらえたことが嬉しく、賞状をもらうためにそろばんに打ち込んだ結果、教室の名を世に売るための大会選抜チームに選ばれた。
大会選抜チームは同じ小学校の3名で、自分はその中で最も成績が悪かった。大会で出題される問題は「乗算(かけ算)」「除算(割り算)」「見取り算(足し算引き算)」「暗算」であり、見取り算と暗算が特に苦手だった。
暗算については頭のなかにそろばんをイメージして計算を行うのだが、どういうわけかイメージの中に巨大な鬼が現れ、そろばんをガタガタにしてしまうため、頭のなかにイメージはせず、一桁ずつ計算を行う方式をとっていた。
そろばん教室の先生(40代独身女性・茶髪でソバージュ・Gショック)に、暗算をしていると鬼が現れることを伝えた所、「コイツはアカン」と思われたのか、暗算はいいから見取り算を頑張るように言われた。
その時に渡されたテキストが「見取り算病院」というショッキングな名前で、表紙が救急車でした。もう一度あの表紙を見たいのですが、Amazonでも売っておらず画像検索にも出てきません。
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