見出し画像

2005年頃

2005年前後の地元には「カラーギャング」と呼ばれる、不良の集まりがあったらしい。らしいというのは、話は聞くが見たことが一度も無かったからだ。メンバーは全員、同じ色の服装や、小物を身につけるという話だったが、もしかすると鵺や麒麟のような、伝説の類だったのかもしれない。

活動内容としては、恐喝、万引きを通した自己表現だったと思うが確かではない。インターネットは普及していたが、情報の多くはテレビから得ていたため、高校の同級生たちは「池袋ウエストゲートパーク」に登場するギャングのような皆さんだと想像しており、恐喝以上の、非人道的なことを平気でしてくると恐れていた。

---

諸事情があり、先月から頻繁に実家へ帰省している。新幹線から特急に乗り換え、そこから更に、1時間に1本、2両しかないローカル線に乗りかえ、地方都市と実家の往復だ。

「ギャハハハハッ!オレ小さくて良かったよ!!」「おい、大きい声だすなよ!ヘヘヘっ」

電車内でつり革から手を離し、後ろを振り向くと、ティンバーランドを履いた金髪の、見るからにヤンキーな高校生3人がニヤニヤしながらこちらを見ている。

うわぁ・・・マジかよ・・・。いや、ないでしょ?193cm、ヒゲ面、小太りのおっさんに絡もうなんて思わないでしょ・・・・。どうしたいんだよ!

余計なことに巻き込まれたくない。見て見ぬ振りをしようと車窓に目線を戻そうとする際に、気付いてしまった。彼らのカバンには、おそろいの黄色いバンダナが巻かれている。

過去の記憶が全て繋がった。鵺でも麒麟でもなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?