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ぼくのかんがえたさいきょうのキャッツ

映画CATSをみてきました。
詳細につきましては文字通り、微に入り細に穿ち皆様のレビューが溢れておりますので割愛させていただいて。

わたしにとってのCATS。
ポッサムおじさんのあの素敵な詩群、狂ったように繰り返し観たロンドン初回公演のあのDVD。
わたしはCATSに出てくる猫ちゃんたちのキャラクターが大好きで、女子高生の時分は吹奏楽部でホルン吹きでしたんで、アンドリューロイドウェバーさんのことも大好きです。
いちど譜面をなぞった作曲家ってとくべつ。

もはやなにがどうとは、言いません。
映画をなぞっているあいだ、ああこんなふうにしちゃうんなら、あの人がこれを歌えば、あの人がこの猫を演じれば、といった、そうだなあ、悔恨にちかい感情の濁流が止まらず、ここに書き散らします。
わたしはCATSの猫ちゃんたちが好きなんですよ。
個人的な思い入れがあるんです。
それを砕かれた悲しみを妄想によって昇華しようという、傷口を塞ぐ瘡蓋のような役目をこの妄想に託します。

映画にするんでしょ、映画にするんだったらね、わたしは劇場ミュージカルの形式を踏襲する必要はないのでないかなと思うんですよ。
イメージとしてはそれぞれの猫の曲のMVがたくさん、というのがよかったんじゃないかなって。
無理に端から端まで踊りまくらなくてもいいじゃないですか、舞台ではないので、スクリーンなので、ね。
もともとそういう構成じゃないですか、ね。
なのでこの妄想には音楽家も俳優さんもごたまぜの年代無視で登場します。

ジェニエニドッツはね、メリル・ストリープさんがやったらよかった。
ガンビーキャットはもっと規律のある誇り高いキャラクターであったはずで、ごろごろしてるのは団長として仕切りをせねばならない夜の為、力を蓄えつつ、愛すべき我が家の主人(人間)にぐうたらのんびり暮らさせたいわけですよ。
だから昼間は体で表すわけです、うちの猫はいつものんびりしてるなあ、って撫でてくれるご主人たちと我が家、ぬるま湯のような昼間の家を守るためのガンビーなのよね。
愛すべき我が家のためにねずみをてなづけ、汚い虫ちゃんも調教し、しかもそこにファニーがあるわけ。
目くじら立てて追いやるのでなく、彼らにも仕事を与え、しかもそれはとっても楽しく、嫌われるだけの運命でもおかしくなかった彼らの人生を彼女の愛する我が家に住うものとして、救っている。
典型的な母性、圧倒的な家庭の愛。
それがガンビーキャットのジェニエニドッツ。
これを体現できるのはメリル・ストリープさんをおいてほかにありますか。
思い出してみてください、マンマミーアのメリルのあのはしゃいだ笑顔。
プラダを着た悪魔の規律正しいボス感。
ガンビーキャットのジェニエニドッツはメリル・ストリープできまりですよ。

大好きなマンゴジェリーとランペルティーザー。
ちゃうねん。ちゃうねんそれじゃないねん。
コソ泥だって自分で言ってるけど小物やって意味ちゃうねん。
このお二人はぜひ、ジョニーデップとウィノナライダー、あのティムバートンコンビに演っていただきたい。
特別なディナーのお肉を盗んでテヘペロが絵になるのはこのコンビが最高。
マキャヴィティの手引きをするふたり、という演出については、もう、まあそうしたいんならしょうがないよ、ならこのコンビ引っ張っといでよ。
このおふたりがゆらゆらしたりニヤニヤわらったりするマンゴジェリーとランペルティーザーならいいよ。

順番が前後しますけれども水先案内人のマンカストラップ。
この猫ちゃんは包容力とリーダーシップによってジェリクルキャッツの舞踏会をまとめあげる役なんですよね。
自分の魅力を自分で称える誉れある会の。
ですからここはヴィゴモーテンセンさんにお願いしたい。
彼の深い瞳と思慮ある仕草によってあの舞踏会は進んでいくのです。踊れてもいいけど踊れなくてもいいよみんなをエスコートしてくれヴィゴ様あなたにならオスメスの違いなく誰でもついていきますから。

大問題のマキャヴィティですが、この人はトムウェイツさんでどうでしょう。
マキャヴィティは正体不明、一般人は姿すらまともにみたことがない悪役中の悪役。
犬まで絞め殺す恐ろしいやつで、名前を呼んではいけないあの人よりもみせちゃだめな猫。
トムウェイツのしゃがれ声でいい、声だけでいいんですよほんとに、あんな…あんなふうにマキャヴィティを描かなくたって…
これは決して俳優さんが悪いわけではない、わたしのマキャヴィティはこうではないという話です。
暗闇から響くトムウェイツの高笑い。
艶のあるピアノをむりくりにでもねじ込んでくれ。
超マキャヴィティ。

ボンバルリーナにテイラースウィフト。
でしたらディミータはどこへ。
ディミータはクリスティーナアギレラでお願いします。
悪くない、悪くなかった、ただ足りないのマキャヴィティにへばりつくセクシーキャッツは一人では足りない。
クリスティーナアギレラの低いシャウトも混ぜ込んでおくれ。

ということでグリザベラはバーレスクつながりでシェールの姐さんでどうですか。
memory、歌い上げてほしくないですか。
これはバーレスクのイメージにすっかり引きずられたキャスティングですがぜったいハマると思うんですよね。
グリザベラは苦労したいい女にしかできないから。
全力で"女"をやった、やりきったひとにしかできないから。

お色気つながりでラムタムタガーですが、ロンドンキャストのラムタムタガーがめちゃくちゃいいのでこれはちょっと考えました。
天邪鬼で口がうまくて女をはべらし、セクシーの鬼、ただの軽いやつじゃなくって、筋があって、適当に見せかけながら他人に対するリスペクトもしっかりある、ってかんじの彼なんですよね。
ヒップホップじゃないですか。
エミネムさんでどうですか。
彼の全身から全方向に発射されているセクシービームはラムタムタガー的だと思うんですよね。
韻の踏み方もすごく凝ってるキャラクターだし、いいよリリック、彼なら素敵に構築しなおしてくれるでしょう。

スキンブルシャンクス。
わたしはCATSのキャラクター中、一二を争うくらいにスキンブルシャンクスが好きなんですよ。
女子高生の時分にはいっとき、スキンブルシャンクスのテーマが着メロだったことがあるくらいです。
礼儀正しい鉄道猫。
寝台特急のセレブリティたちを相手取る接客のプロ。
スキンブルシャンクスのいる列車に乗るためなら、いやスキンブルシャンクスのいない列車なんて、くらい言わせる仕事人なんですよね。
彼の統括する列車に乗って、旅への期待が何倍にも膨らむわけです。
ロベルトベニーニでどうですか。
瀟洒なイタリア男でどうですか。
流暢なお喋りに伊達男感、思い出してくださいライフイズビューティフルで、幼い息子を凄惨な戦争という現実から笑いと先導で逃した彼を。
スキンブルシャンクスはロベルトベニーニ。
彼の列車にともに乗れたなら、その先が素敵な旅路であることは200%の保証です。

一二を争うと言いましたがそのもう一人は魔術猫のミスターミストフェリーズです。
決してギークじゃない。
ミストフェリーズはギークじゃない。
はじめっからシレーっと混ざって、そのへんの猫ちゃんみたいな顔して、最後の最後に持っていくわけ。
魔術師は目立たないの普段は。
いちいちハットかぶらない。
白黒のちいちゃい猫ちゃんで、くりりとした利発そうな瞳で、ひと懐っこく見えて実は、ってところがいいの。
影の実力者であり、しかしそれはふだん、誰かの笑顔のためにあり、誰かをからかうためにあり、いつもにこにこ笑っている。
それがいいので、ですから阿部サダヲさんでいかがですか。
お調子に乗るときのテンションと、やるときゃやるぜの瞳のイメージが、わたしはどうしても阿部サダヲさんです。
サダヲのにこーって笑顔で締めたくないですか。
あんな奇跡のおしまいは、重たくならず、寄り添うような彼の笑顔で。

好き勝手に書き散らしましたらすっきりしました。
感情を動かされると書いて感動です。
そう、ある意味では、映画CATSはわたしに類稀なる感動をくれたのだと言ってもいいのかもしれません。

もし良ければ、同じようにモヤを抱えてしまったみなさまの、ぼくのかんがえたさいきょうのキャッツ、キャストを教えてくださいまし。

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