電脳世界が0と1の世界ならば、ふたりは今どこにいるのか

これは"手紙"である。
「誰に向けてか」と問われれば、宛先は私であり貴方になる。
誰かを諭すわけでも、説き伏せるためでも、怒りをぶつけるためでもなく。
ただ私の思いを書いて電脳の海へと流す、ボトルレターなのだ。

2019年の末にアイドル部に起きたこと、といえばわざわざこんなところまで来た方には伝わるだろう。
勘違いしてほしくないのだが、私はそれの是非を問いたいのではない。
このあれこれに対しての熱い意見を求めるものは、そういう人もきっと多いからそちらへいってくれ。
最近の天気がどれだけ悪かろうと、私は見守ることと声をかけることに徹したつもりだった。
貫徹できていたかは、いささか不安ではある。

私の意見など、実は最初から決まっていた。
"なるようにしかならん"の精神である。
理由は簡単で、私には戦況を動かせるほどの力がないからだ。
今こうして文章にしているのも、趨勢が定まったと感じているからだ。
それでもなにかをせずにはいられないし、砂漠に真水を一滴ぶん投げたい時もある。

この"電脳ボトルレター"が私、渾身の悪足掻きだ。

私、宮木すずめは猫乃木さんに恩がある。
この界隈に来てすぐ、書いたお話を取り上げていただいたのだ。
それによって、私はたくさんの友人知人を得た。
おかげさまでこの界隈のすみに根を張り、細々と暮らしている日々は楽しい。
私が"今の"彼女を応援するのに、それ以上の理由は要らない。

ありがとう、名も知らぬ貴女。あなたのおかげで素敵な人たちに出会えました。

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以下、あとがきである。

私はVtuberというものが好きだ。

私が見る画面の向こう側には素敵な人がいる。
あの人たちは現実にいないけど、この世にはいる。
すれ違うかもしれない、目が合うかもしれない。
目の前に映るすべての人たちに、その姿は重なる。

知らないあなたたちを、いつかわたしが見るかもしれない。
知らないわたしたちを、いつかあなたが見るかもしれない。

だから私はこの世界にやさしくありたい。

この手記の締めとして、今回ずっと頭から離れずにあり続けた一文を記す。

(前略)

「早い話、死んだんでしょう?」
あなたはそう言うかもしれない。
その疑問に対しては、彼自身が書いた次の言葉によって回答するのが一番ふさわしいと思われる。
「ぼくは死んだように見えるかもしれない。でもそれは本当じゃないんだ。」

(中略)

「━━は死んだように見えるかもしれない。でもそれは本当じゃないんだ。一度死んだ━━は、今は風に生まれかわっていて、今日も世界中の空を吹きわたっているのだ。」

(『新井満/死んだら風にうまれかわる』より抜粋。
途中"━"にした部分は本来サン=テグジュペリが入る。)

この世界のどこかにいるあなたへ。
どうか、しあわせでありますように。

あなたたちに幸せを見つけてもらった者より。

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