3歳の私が教えてくれたこと
3歳頃の自分が三輪車に乗ってキコキコ漕いでいる、これが私の一番古い記憶。
横に川があって、大きくカーブしている所が落ちそうで怖いな、と思いながら、一生懸命漕いでいる。
その、3歳まで住んでいた町に、引っ越して以来初めて、何十年ぶりに訪れてみた。両親と妹と一緒に。
八百屋と酒屋が当時のままだとか、お風呂屋がなくなってるだとか、両親の曖昧な記憶にツッコミを入れながらガヤガヤと歩き、当時住んでいた借家の前に着いた。
案の定、家の前の歩道の横に川が流れていて、先の方で大きくカーブしていた。私の三輪車の記憶はやっぱりこの道だったのだなと納得した。
当時は川に柵がなかったらしく、なるほど怖いはずだわ…と思った。
カーブの先まで歩いてみた。そこで「ああ…そういうことだったのね…」と理解した。
一番大好きなお友達の家があったのだった。三輪車に乗って、何度も遊びに来ていたのだろう。川に落ちないように気を付けながら。
その時、私の内側にとても暖かいものが流れ、3歳の自分を心から愛おしく感じた。そして心の中で抱きしめてみた。初めての感覚だった。
最近まで自分自身に「もっと頑張れ」「まだまだダメだ」と言い続けてきた私にとって、自分に優しくすることや自分を大切にすることなど、全くわからなかった。
自分を愛おしいなどと思ったこともなかった。
やり方を見聞きして真似してみても、上滑りしているように感じていた。
そんな何十年後の私に、自分を愛おしく思い抱きしめることを、3歳の私が教えてくれたと思っている。
あの日から、過去に雑に置き去りにしてきたたくさんの自分を、少しずつ少しずつ癒せるようになったと感じている。
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