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書記が数学やるだけ#793 2次元の線形力学系-2

今回は2次元の線形力学系の具体例をいくつか挙げていく。


問題



解答

振り子の力学系は,過去に解析力学で扱った:


固定点の特性さえ分かれば,相平面の概要は掴める。ここでヘテロクリニック軌道(サドルから出て別のサドルに戻ってくる軌道)が生じていることに注目。


2重井戸型ポテンシャルの概略を以下に示す。


このモデルではホモクリニック軌道(サドルから出て同じサドルに戻ってくる軌道)が生じている。


ロトカ・ヴォルテラの捕食式では,捕食者と被食者のそれぞれの個体数増殖速度を二元連立非線形常微分方程式系で表現する。この方程式は,アメリカの数学者アルフレッド・ロトカにより1910年に化学物質濃度の変動を説明するために,またイタリアの数学者ヴィト・ヴォルテラにより1926年にアドリア海の魚数の変動を説明するために発案された。


このモデルでは2つの固定点があり,それぞれ絶滅と共存を表す。


計算により,捕食者↑,被食者↓,捕食者↓,被食者↑,捕食者↑,…というサイクルを表していることがわかる。


具体的な値で作図してみる。Pythonのコードは以下の通り:

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

rangeX = (0.1, 3)
rangeY = (0.1, 3)
X, Y = np.meshgrid(
    np.arange(rangeX[0], rangeX[1], .01),
    np.arange(rangeY[0], rangeY[1], .01))

U = X-2XY
V = 2XY-Y

fig, axes = plt.subplots(figsize=(8, 8))
plt.streamplot(X, Y, U, V, density=(0.8, 0.8), linewidth=1,arrowsize=2)

plt.xlim(rangeX[0], rangeX[1])
plt.ylim(rangeX[0], rangeX[1])
plt.xlabel("x")
plt.ylabel("y")


ロトカ・ヴォルテラの競争方程式は,お互いの存在がそれぞれの個体数増殖に相互にマイナスの影響を与える点を含めた,2種の個体数の時間変化を表したモデルである。


今回は具体的な数値例を一つ取り上げる。競争方程式においては,どちらかの種が絶滅することに収束し,共存することは不安定である。



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