見出し画像

書記が数学やるだけ#775 一般の5次方程式について代数的な解の公式は存在しない

ガロア理論からの重要な帰結である「一般の5次方程式について代数的な解の公式は存在しない」ことを示していく。


問題



説明

一般の五次方程式に対して代数的な根の公式は存在しないアーベル-ルフィニの定理)」ことについて,パオロ・ルフィニが五次方程式の解法の不可能性について最初の論文を発表し,ルフィニの没後ニールス・アーベルによってルフィニの欠陥が解決され,定理の成立となった。その後,ガロアは群の概念に到達しガロア理論を構築することで体系が整備された。なお,ガロアはその業績を知らぬまま決闘により命を落とし,その後1846年にジョゼフ・リウヴィルによりガロアの仕事が世に出ることとなった。

ちなみに「解の公式が存在しない」という表現は(略する都合があるとはいえ)本来は適切ではない,というのも超越的な手続を許せば解の公式を構築できるからである。


ここでいう解の公式の存在は,「ガロア群が可解群である」ことと同値である:



解答

ガロア群が可解群であることは,拡大体の列に対しガロア対応を施すことで示すことができる。


逆を示すのはやや手間がかかる。ここで巡回拡大を用いて可解であることを利用する。


今後は群から体へとガロア対応を施す。


ガロア群が対称群S5である5次方程式の例を以下に示す。例えば実根3つ・虚根2つの5次方程式が該当する。



本記事のもくじはこちら:


学習に必要な本を買います。一覧→ https://www.amazon.co.jp/hz/wishlist/ls/1XI8RCAQIKR94?ref_=wl_share