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書記が法学やるだけ#8 不服申立ての類型,審査請求の要件

問題


解説

(1)正しい行政救済法は,争訟による救済(行政不服申立て,行政事件訴訟)と金銭による救済(国家賠償,損失賠償)に大別される。行政不服審査法は,行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより,国民の権利利益の救済を図るとともに,行政の適正な運営を確保することを目的とする(行政不服審査法1条1項)。

(2)正しい:行政不服審査法では,適用除外を除いて原則として全ての処分について審査請求ができる(一般概括主義)。また,行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないこと)に対しても,審査請求が可能である。

(3)正しい:行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において,法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは,当該処分に不服がある者は,処分庁に対して再調査の請求をすることができる(5条1項)。再調査の請求をしたときは,原則として,当該再調査の請求についての決定を経た後でなければ,審査請求をすることができない(5条2項)。また,行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には,当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は,再審査請求をすることができる(6条1項)。なお,行政庁の不作為に対しては,再調査請求及び再審査請求はできない

(4)誤り:審査請求がなされると,ます審理請求の要件を満たしているか調査し,要件ありなら審理手続を行い,要件なしなら却下される。このうち,審理請求の正当な当事者となるには,不服申立適格を備える必要がある(主婦連ジュース事件;不服申立適格を満たさず訴え却下)。

(5)誤り:多数人が共同して審査請求をしようとするときは,三人を超えない総代を互選することができ(11条1項),審査請求の取下げを除き当該審査請求に関する一切の行為をすることができる(11条3項)。また,代理人は,審査請求人のために当該審査請求に関する一切の行為をすることができる,ただし,審査請求の取下げは特別の委任を受けた場合に限りすることができる(12条)。

(6)誤り:審査請求書が規定に違反する場合には,審査庁は,相当の期間を定め,その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない(23条)。もし審査請求人が不備を補正しないときは,審査庁は,審理手続を経ないで,裁決で当該審査請求を却下することができる(24条)。


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