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書記が物理やるだけ#329 半導体の性質

電子回路を学習するにあたり,最低限必要な半導体の知識を扱っておく。


問題


説明

半導体とは,金属などの導体とゴムなどの絶縁体の中間の抵抗率を持つ物質であり,導電性の変化における性質が半導体素子に活用されている。



半導体の特徴は,固体のバンド理論によって説明される。不純物や格子欠陥を全く含まない半導体を真性半導体と呼び,そのフェルミ準位は禁制帯の中央に位置し,キャリアは価電子帯のエネルギーレベルにある電子の励起によってのみ供給される。


半導体素子として用いるには,真性半導体にドーパントと呼ばれる微量の添加物を混ぜて不純物半導体とする。価電子5の原子を少量添加すると自由電子が優勢であるn型半導体が,価電子3の原子を少量添加すると正孔が優勢なp型半導体が得られる。


解答

まずは正誤判定を整理する。元は電験3種の問題であり,知識さえあれば容易に解ける。

(1)正しい価電子3の原子を少量添加すると正孔が優勢なp型半導体が得られる。

(2)誤り:半導体は温度が上がると電気伝導性が増す,このことを熱電効果という。

(3)正しいn形半導体のキャリアは正孔より自由電子の方が多い。

(4)正しい不純物半導体では自由電子や正孔が移動しやすくなり,真性半導体よりも導電率は大きくなる。

(5)誤り電流に対し,自由電子は反対方向に流れ,正孔は同方向に流れる。


半導体の細かな理論は後日扱うとして,ここでは関係のある項目を抜き出しておく。

真性半導体の電子密度はフェルミ分布により表される:



n型半導体のフェルミ準位は禁制帯中のドナー準位に近い位置になり,p型半導体のフェルミ準位は禁制帯中のアクセプター準位に近い位置になる。


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