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書記が法学やるだけ#16 取消訴訟以外の訴訟

問題


解説

(1)誤り無効等確認訴訟とは,処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう(3条4項)。無効等確認訴訟は,処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で,処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り,提起することができる(36条)。

(2)正しい不作為の違法確認訴訟とは,行政庁が法令に基づく申請に対し,相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず,これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう(3条5項)。不作為の違法確認の訴えは,処分又は裁決についての申請をした者に限り,提起することができる(37条)。

(3)誤り義務付け訴訟とは,行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいい,法令に基づく申請を前提としない非申請型と法令に基づく申請を前提とする申請型に分けられる(3条6項)。原告適格について,非申請型では「行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者」(37条の2 3項),申請型では「法令に基づく申請又は審査請求をした者」(37条の3 2項)である。

(4)正しい差止め訴訟とは,行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において,行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう(3条7項)。ここで取消訴訟の規定の準用について,被告適格・裁判管轄などには準用される出訴期間などには準用されない,といった違いがある。

(5)誤り当事者訴訟とは,当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの(形式的当事者訴訟)及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟(実質的当事者訴訟)をいう。例として,収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴え(土地収用法 133条2項及び3項)は形式的当事者訴訟,日本国籍を有することの確認の訴え(最大判平20.6.4)は実質的当事者訴訟である。

(6)正しい民衆訴訟とは,国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で,選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいい(5条),住民訴訟がこれに該当する。一方で機関訴訟とは,国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう(6条)。


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