書記が法学やるだけ#89 特許出願の手続き
問題
解説
(1)誤り:使用者等は,従業者等がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し,かつ,その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(職務発明)について特許を受けたとき,又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは,その特許権について通常実施権を有する(35条1項)。例えば会社にいるときに生じた個人的な思いつきから発明したものは,職務発明とはいえない。
(2)正しい:特許を受けようとする者は,願書に明細書・特許範囲の請求・必要な図面・要約書を添付し,特許庁長官に提出しなければならない(36条)。明細書には「発明の名称」「図面の簡単な説明」「発明の詳細な説明」事項を記載しなければならない,ここで発明の詳細な説明の記載は,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであることが要求される(36条4項1号)。
(3)誤り:特許を受けようとする者は,その特許出願に係る発明について,先の出願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる(国内優先権,41条1項)。この制度を利用するには,先の出願日から1年以内に後の出願をしなければならない。
(4)正しい:特許庁長官は,特許出願の日から一年六月を経過したときは,特許掲載公報の発行をしたものを除き,その特許出願について出願公開をしなければならない。出願公開は,原則として特許公報に掲載することにより行う。特許出願人は,その特許出願が出願公開されている場合などを除き,特許庁長官に,その特許出願について出願公開の請求をすることができるが,出願公開の請求は取り下げることができない(64条)。
(5)正しい:特許出願の審査(実体審査)は,その特許出願についての出願審査の請求をまって行なう(48条の2)。特許出願があったときは,何人も,その日から三年以内に,特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる(48条の3)。
(6)正しい:審査官は,拒絶理由がある場合は拒絶をすべき旨の査定をしなければならず,これをしようとするときは,特許出願人に対し,拒絶の理由を通知し,相当の期間を指定して,意見書を提出する機会を与えなければならない(49,50条)。また,審査官は,特許出願について拒絶の理由を発見しないときは,特許をすべき旨の査定をしなければならない(51条)。
(7)誤り:拒絶をすべき旨の査定を受けた者は,その査定に不服があるときは,その査定の謄本の送達があった日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる(121条),これは査定をしたものとは異なる審査官により審理される。さらに,拒絶査定不服審判の結果に不服がある場合,東京高等裁判所に拒絶審決の取消しを求める訴えを提起することができる(178条)。
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