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書記が法学やるだけ#7 不利益処分,命令等手続制定

問題


解説

(1)正しい不利益処分とは,行政庁が,法令に基づき,特定の者を名あて人として,直接に,これに義務を課し,又はその権利を制限する処分をいう(行政手続法2条4号)。ただし,申請により求められた許認可等を拒否する処分(申請拒否処分)は,申請に対する処分に含まれる。

(2)正しい処分基準とは,不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいい(2条8号ハ),処分基準の設定及び公示は努力義務である(12条1項)。ここで,審査基準との違いに注意。また,行政庁は,不利益処分をする場合には,その名あて人に対し,同時に,当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし,当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は,この限りでない(14条1項)。

(3)誤り:行政庁は、不利益処分をしようとする場合には,当該不利益処分の名あて人となるべき者について,意見陳述のための手続を執らなければならない(13条1項)。これは,重い不利益処分に対し手厚い手続きをとる聴聞と,軽い不利益処分に対し略式で手続きする弁明の機会の付与に分けられる。なお,許認可等の拒否処分は不利益処分でないため,意見陳述のための手続きは不要である。

(4):聴聞の通知を受けた者は,代理人を選任することができ,聴聞に関する一切の行為をすることができる(16条1項)。このことは弁明の機会の付与についても準用される。一方で,参加人の関与が認められるのは聴聞のみである。

(5)正しい当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人は,聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間,行政庁に対し,当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる(18条1項)。なお,弁明の機会の付与では資料の閲覧は与えられない

(6)誤り命令等制定機関は,命令等を定めようとする場合には,当該命令等の及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し,意見の提出先及び意見提出期間を定めて広く一般の意見を求めなければならない(39条1項)。ただし,他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするときなど,適用除外が認められるケースがある。


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