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書記が法学やるだけ#9 審査請求の審理手続

問題


解説

(1)正しい:審査請求がされた行政庁は,審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者(審理員)を指名するとともに,その旨を審査請求人及び処分庁等に通知しなければならない(9条1項)。これは処分及び不作為の両方に当てはまる。

(2)誤り審理員は,審査庁から指名されたときは,直ちに,審査請求書又は審査請求録取書の写し処分庁等に送付しなければならない(29条1項)。また,審理員は,相当の期間を定めて,処分庁等に対し,弁明書の提出を求めるものとする(29条2項)。一方で,審査請求人は,送付された弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(反論書)を提出することができる(30条1項)。審理員は,審査請求人から反論書の提出があったときはこれを参加人及び処分庁等に,参加人から意見書の提出があったときはこれを審査請求人及び処分庁等に,それぞれ送付しなければならない(30条3項)。

(3)正しい:審理員は,職権により物件の提出要求,参加人の陳述及び鑑定の要求,検証,審理関係人への質問をすることができる(職権探知主義)。

(4)誤り審理員は,審理手続を終結したときは,遅滞なく,審査庁がすべき裁決に関する意見書(審理員意見書)を作成しなければならず(42条1項),速やかに,これを事件記録とともに,審査庁に提出しなければならない(42条2項)。その後,審査庁は,審理員意見書の提出を受けたときは、行政不服審査会等に諮問しなければならない(43条1項)。

(5)誤り裁決には,審査請求の要件が欠けており不適法な場合に対する却下裁決,審査請求に理由がない場合の棄却判決,審査請求に理由があり審査請求を認める認容判決,審査請求に理由があるが審査請求を認めない事情判決の4種類がある。

(6)正しい:認容裁決の効果について。処分について,処分庁の上級行政庁及び処分庁処分の取り消し又は変更いずれでもない場合処分の取り消しのみ可能である。一方で事実上の行為について,上級行政庁事実上の行為を撤廃又は変更すべきことを命じること,処分庁事実上の行為を撤廃又は変更する,いずれでもない場合撤廃すべきことを命じることとされている。


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