書記が哲学やるだけ#11 イギリス経験論
問題
解説
(1)正しい:トマス・ホッブズ(Thomas Hobbes, 1588年4月5日 - 1679年12月4日)は,清教徒革命(イングランド内戦)から王政復古期にかけてのイングランドの哲学者であり,『リヴァイアサン』では自然状態・自然権・自然法といった概念を基盤として社会契約を説いた。そこでは,人々が自然権のみを有する場合(自然状態)には戦争状態となり(万人の万人に対する闘争,bellum omnium contra omnes),それを脱却する方法は社会契約による国家への統合であることを示した。
(2)誤り:ジョン・ロック(John Locke FRS,1632年8月29日 - 1704年10月28日)は,イギリスの哲学者であり,『人間悟性論』において経験論的認識論を体系化し,『統治二論』では社会契約や抵抗権を示しアメリカ独立宣言・フランス人権宣言に大きな影響を与えた。『統治二論』では,ロバート・フィルマー(Sir Robert Filmer,1588年頃 - 1653年5月26日)の家父長的な政治理論に基づく王権神授説を否定し,自然状態を「牧歌的・平和的状態」と捉えて,公権力に対して個人の優位を主張した。
(3)正しい:ロック『人間悟性論』では,人間は観念を生まれつき持っているという生得説を批判して,人間の知性は白紙(tabula rasa)であり生得観念(innate ideas)を有しておらず,観念の起源は経験にあり,それらを認識・加工する能力のみ有するという経験主義が唱えられた。また,物体の性質を,外物に由来する客観的な「第一性質」(primary quality,固性・延長性・形状等)と,主観的な「第二性質」(secondary quality,色味香等)に区分した。
(4)誤り:ジョージ・バークリー(George Berkeley,1685年3月12日 - 1753年1月14日)は,アイルランドの哲学者・聖職者である。『視覚新論』では,人間がいかにして視覚により対象との距離を知るのかという問題に取り組んだ。『人知原理論』では,ロックの経験論を発展させ,「存在することは知覚されることである」ことを提唱した。
(5)正しい:デイヴィッド・ヒューム(David Hume,ユリウス暦1711年4月26日〈グレゴリオ暦5月7日〉 - 1776年8月25日)は,スコットランドの哲学者であり,『人間本性論』でイギリス哲学の軸である経験論を完成させた。また,ヒュームの因果説では,「因果性とは,空間的に隣接し時間的に連続で,2種類の出来事が伴って起きるとき,この2種類の出来事の間に人間が想像する必然的な結合関係のことである」とした。
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