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書記が数学やるだけ#32 3次方程式の解(カルダノの方法)

今回は,3次方程式の解におけるカルダノの方法に関連した問題を扱う。


問題

この誘導は,カルダノの方法をなぞったものである(個人的に好きな問題の一つ)。

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この一見整数には見えない数は,カルダノの公式がもととなっている。

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解法

三乗根の基本事項。

数学やるだけ解答#031-min_page-0001


この恒等式は,普通に右辺を展開してもよいが,解と係数の関係を用いると綺麗である。

数学やるだけ解答#031-min_page-0002


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数学やるだけ解答#031-min_page-0004


あとは係数比較して2次方程式を解いておしまい。

数学やるだけ解答#031-min_page-0005


和と積をとることにより三乗根を取ることができる。

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三次方程式の代数的解について初めて公表されたのは,1545年カルダノの著書「アルス・マグナ」であるとされる。しかし,最初に解法を発見したのはカルダノでなく,シピオーネ・デル・フェッロであるとされている。デル・フェロはこの解法を公開せずに,何人かの弟子に託して1526年に死んだ。そこから先は色々複雑だったようで,結局本を出版したカルダノの名が広く知れ渡ることとなった(色々な形の三次方程式について解を表したことはカルダノの大きな功績である)。

後にフランソワ・ビエトラグランジュによっても解法が発見され,根の置換という代数方程式論の方向性を決定づける重要な概念に到達し,やがてガロア理論の発見へと繋がっていくこととなる。


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