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書記が数学やるだけ#792 2次元の線形力学系-1

2次元の線形力学系は,線形代数の性質をフル活用していく。


問題



説明

2次元の線形力学系の性質は,固有値により分類できる。


以下の図は分類をまとめたもので,解答で一つずつ確認していく。


解答

まずは簡単な行列について,xとyの減衰の度合いから分類を考える。


まず,固有値が異符号の場合はサドルを形成し,解は一度中心に近づいてから急に発散する挙動を示す。


次に一方の固有値が0の場合は,孤立していない固定点,つまり軸全体または平面全体が固有点となる。


固有値が実数で同符号の場合,ノードを形成し,τの正負により安定(1点に収束)か不安定(1点から発散)かが決まる。


固有値が複素数の場合は,スパイラル・センターを形成する。


固有値が等しい場合は,スターノード縮退ノードを形成する。


具体例として,Strogatzによる恋愛モデルを考えてみる:

Strogatz, Steven H. "Love affairs and differential equations." Mathematics Magazine 61.1 (1988): 35-35.


まず係数の正負について,aが大きいほど自分の感情に従い,bが大きいほど相手の好意に従うと言える。aとbの正負の組み合わせにより,「情熱的」「ナルシスト」「慎重波」「天邪鬼」の4通りに分類できる。


一例として,2人が似通った慎重派である場合を考える。これはa^2とb^2の大小により,サドルと安定ノードの2通りに分けられる。サドルの場合は,初期値により両想いか互いに嫌いかに分かれる。一方で安定ノードは,初期値によらず互いに無関心に収束する。


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