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NEOコモンカードPauper評価

まえがき

というわけで『神河:輝ける世界』(NEO)の全カードが公開されましたので、コモン構築目線でのカード評価をしていきます。

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侍と戦士サポート用の装備品。+2/+1修整の装備が1マナで装備できるのは優秀です。単独で攻撃という若干の縛りはありますが、許容範囲化と思います。
色も合っていてコモン構築環境でも性能では上位のウィニークリーチャーである《道の探求者》が戦士なので組み合わせてみるのもいいですし、装備品の装備ボーナスがある《炎のチャンピオン》も戦士なのでボロス戦士デッキみたいなのも面白そうです。

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2/2/2先制攻撃、占術2、ライフ回復2点と額面だけ見れば優秀ですが、英雄譚クリーチャーゆえのスピードの遅さがあります。特に攻撃に移れるのは設置から3ターン後なので超召喚酔いクリーチャーといったところ。
一方で2/2の先制攻撃は地上のブロッカーとしてはそこそこ優秀なので、対アグロデッキの対策カードとみなせば悪くなさそうです。
最も対策カードとしては、より尖っている《孤独な宣教師》や、より対策できる範囲の広い《黎明運びのクレリック》もいるため、その中に食い込めるかは微妙なところでしょうか。

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白になった《エルフの幻想家》。白にも《古代の伝承の僧侶》や《捜索隊の隊長》などキャントリップ付きのクリーチャーが随分と増えました。《スレイベンの検査官》も相変わらず活躍していますしアグロ~ミッドレンジのデッキではメリット・デメリットを比較して採用していきたいところ。
前述の2枚と比較して2マナという軽さは明確にメリットとなり《コーの空漁師》で回収する動きがやり易く、《スレイベンの検査官》と2種8枚体制にすれば回収先に困ることもなくなるでしょう。
また、エンチャントであることを活かして《オーラ術師》や《信頼おける回収者》などのクリーチャーで回収するのも良さそうです。

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コモンの青では初となる能力を対象にして打ち消す効果を持ったカード。
コモン構築では不可能だったストームを利用したコンボを止めることができます。(ストーム最有力の《騒鳴の嵐》は禁止になっていますが。)
魂力の効率は今一つなため、積極的に採用したい訳ではありませんが、オーセンティックなコントロールデッキにとってはフィニッシャー枠と妨害枠を兼用できるのはメリットではあります。
シングルシンボルかつ続唱で捲れても痛くないピュアなカウンター呪文なので《苛立つアルティサウルス》や《大渦の巨人》を到達点とするランプやトロンデッキでどうしても打ち消しが欲しい場合に……?

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2/2/3飛行、2ドロー2ディスカードということで、英雄譚クリーチャーらしく額面で見れば強力です。これが欲しいコントロールデッキなら攻撃に移るタイミングが遅れることがデメリットになり難いので、純粋に序盤から手札を回して立ち上がりをスムーズにしたり、中盤に《対抗呪文》を構えながら設置し易かったりとメリットが目立ちます。《グルマグのアンコウ》をメインにしたコントロールデッキで補助的なクロックを担うには十分な性能でしょう。

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新セットが出るにあたり多くのコモン構築プレイヤーが期待したであろう青の優秀な忍者です。事前にTwitterで行ったアンケートでは8割ほどのプレイヤーが構築採用圏内との評価でした。
単純な盤面での性能は《深き刻の忍者》には及びませんが、そこは忍術起動が1マナということでカバーできています。《灰色熊》も1マナであれば緑単に4枚採用しない理由がないので、2マナと1マナの差は大きいものです。
タフネスが1ということで《呪文づまりのスプライト》とまとめて《電謀》で流されてしまうなどの懸念はありますが、どうせ通常の攻撃は通ってもルーターにしかならないので、忍術でアドバンテージを稼いだらさっさと相打ちにでもするのが良いでしょう。その点でもテンポ損を抑えられる1マナ忍術というのは強力です。
暫くは《深き刻の忍者》と枚数を調整しながらになりそうですが、最終的に5枚目の《深き刻の忍者》として環境に残りそうな予感です。

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《ファリカの献杯》の上位互換。黒単が《貫かれた心臓の呪い》への対策などで《ファリカの献杯》を採用することはあるため、今後その枠は入れ替えになりそうです。
エンチャント除去が追放であることが生きる局面は多くはありませんが、クリーチャー除去が追放となるメリットは大きく、特に布告除去対策としてサイドインされる《嵐縛りの霊》に刺さる布告除去ということで活躍が見込めます。

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英雄譚能力で1点ドレインを2回飛ばせるので、最低限《怒り狂うゴブリン》が2回殴る程度の活躍は望めます。1ターン目から設置ができ、出てくるクリーチャーも威迫を持っているので単体でもある程度のダメージが見込めることも英雄譚クリーチャーのスピードの遅さをカバーできています。
また機体をサポートできる能力を持っていて自身の召喚酔いのターンを搭乗に回せれば無駄がないので、《葬送の長艇》や《改革派の貨物車》といった機体との組み合わせを狙いたいです。

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《棄てられた地の伯爵》などアドバンテージを得られる《命取り》も使い勝手の良いものが増えてきましたが、コストの重さからか採用はあまりされていません。1マナのインスタントというこれ以上ない取り回しの良さで環境に入れるか注目です。
最も、大量の除去で盤面を更地にして《黒薔薇の棘》というパターンをメインのプランに据えたデッキにおいては、これでなく《喪心》のようなピュアな除去を採用する利点も大きく、除去したいときに撃てずに統治者を奪われる、《呪文づまりのスプライト》の打ち消しに割り込めない、《怨恨》の付け際に割り込めないなどが負け目にならないように注意も必要です。

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衝動ドローのため単純なドローには劣りますが、2/2警戒を出しながら実質2ドローは注目に値します。起動3マナは重く衝動ドローを生かしづらい局面も多そうですが、他の軽い生け贄の手段と併用するなどでカバーするのも良さそうです。
《胆液の水源》と違い「墓地に置かれたとき」ではなく「戦場を離れたとき」に能力が誘発するのも重要で、《コーの空漁師》や《きらめく鷹》で出し入れすると《胆液の水源》よりも多くのアドバンテージが獲得できます。あまり見られなくなったタイプのシナジーですが復権があるかもしれません。

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出たアーティファクトは勝手に墓地に送られるので《胆液の水源》を戻せば実質2ドロー、他にも《金線の使い魔》や各種の呪文爆弾など仕込みが必要なものの幅広い動きが可能でもあります。
《グルマグのアンコウ》や《歯車襲いの海蛇》を抑え込める3/6というサイズも盤面で存在感があり、アーティファクト主体の中速~低速デッキが到達点とするのに良さそうです。

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正直なところ換装を持った装備品クリーチャーは効率があまり良くなく、そのなかで多少マシなのがこれくらいという程度。
ほとんど《ニクス生まれのお調子者》と性能が変わりませんが、本体や強化手段として能力分のプラスαがあり、付けたクリーチャーが除去されても他のクリーチャーに再装備可能な点など8年間での強化もあります。
《モグの徴集兵部隊》の攻撃制限を解除しながら出せる装備品というところには若干の可能性も感じるので、ゴブリンやRDWでの採用があるかどうか。

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緑に追加された忍術持ちクリーチャー。白と赤にはコモンの忍術持ちはなかったので、今回追加されたのは緑のみとなります。
攻撃が通るたびに盤面を強化できる能力はいかにも緑向けですが、問題なのが本体のサイズ、2/2/1は緑のクリチャーとしては基準を下回っていて《ボーラスの占い師》に一方的に打ち取られてしまうので地上での攻撃を通すのが難しいです。
そこで忍術が役に立てばよいのですが、なぜか忍術の起動コストが本体と同じ2マナ、手札に戻すクリーチャーの再キャストにかかるマナまで考えると非常にテンポが悪いです。
ETB能力持ちを回収してアドバンテージを稼ぐ使い方は可能性があるものの、緑の低マナ域は単純にサイズが優秀というパターンが多く、優秀なETB能力を持ったクリーチャーが現状では少ないことを考慮すると唯一な性能ではありますが日の目を見るのは暫く先になりそうです。

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サイズ的には特筆すべきところはありませんが《豊かな成長》を手札に戻してアドバンテージを稼げる、ただそれだけが優秀なクリーチャーです。
パワー4は《マイアの処罰者》と相打ちができますし、タフネス3は《稲妻》で取り除かれてしまいますがライフ回復でテンポ損をカバーし易いです。

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エンチャント版《倒れし者の記憶》。やや重めのコストながら質の高いアドバンテージを得ることができます。
緑は切削が得意な色なので、特定のエンチャントをキーとしたデッキでライブラリーを掘り進めながらキーになるエンチャントを見つけてこれで回収というような動きができそうです。

アーティファクト

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禁止された《眷者の装飾品》が《ジェムデー秘本》内蔵の《マナリス》なら、こちらは《ジェイラム秘本》内蔵の《マナリス》です。コストに必要なアーティファクトはアーティファクト・土地を利用してもいいですし、これを2枚並べて起動しても良さそうです。
ルーターはアドバンテージは取れませんがロングゲームにおけるリソース差には確実に影響してきますので、《眷者の装飾品》が禁止になってダメージを受けたデッキは採用を検討できるかもしれません。

あとがき

前回の神河から1200年後の世界ということで様変わりした世界が異質な雰囲気を醸し出しているネオカミガワでしたが、カードの性能的には通常のセット相応といったところ。
その中でも注目のカードを挙げるなら、ほぼ構築環境の水準であることが間違いない《月回路のハッカー》や《神への債務》も黒単系のコントロールデッキのサイドカードとして有力そうです。
また、コモン初の能力の打ち消しである《鏡殻のカニ》も環境でどのように使われるのかにも興味が尽きないところ。
《エイトグ》、《予言のプリズム》、《眷者の装飾品》が禁止になった後、《呪文づまりのスプライト》を軸にしたテンポデッキや黒単系のコントロールデッキが好調のようですが、それらを順当に強化するカードが多い今回のセットが環境をどう動かしていくのか楽しみです。

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