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CLBコモンカードPauper評価

毎度のことですが、統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い(CLB)の全カードが公開されましたので、コモンカードについてPauper目線の評価をしていきます。
ざっと見た感じ、前回の統率者レジェンズのように「相手のクリーチャーを除去しながら統治者になる」というような頭のおかしい動きをするカードはなかったので、環境が大きく変わるということはなさそうですが、特殊セットらしい水準の高いカードがいくつかあるので、ほどよく環境に刺激を与えてくれる良いセットになりそうです。

メカニズム

背景

背景は伝説のエンチャントです。
Pauperでは、当たり前ですが統率者に指定はできませんが、通常のカードと同様にデッキに入れることはできます。
と、言いたいところですが、全ての背景は統率者がいないと機能しないデザインとなっているため、コモン構築においてはイラストを楽しむだけのカードです。
一応、”歴史的を誘発させられるエンチャント”という見方もできますが、コモンにも英雄譚が登場している現在においては無価値でしょう。

イニシアチブ

イニシアチブは統治者とダンジョンを組み合わせたようなメカニズムで、統治者と同様に継続的なアドバンテージを供給してくれます。
違いとしては誘発タイミングが見直され、”イニシアチブを得たとき”と”次ターン以降のアップキープ”となり、統治者と比較してワンテンポ早くなっています。
得られたリソースを、そのターンのメインフェイズのアクションに生かせるので、これは嬉しい変更です。
また、イニシアチブを得ている状態でイニシアチブを得てもダンジョンを進めるため、明滅させることで積極的にアドバンテージを獲得できます。(統治者は、相手が統治者である際に統治者を奪う意味しかなかった。)
一方で得られるアドバンテージはダンジョンを1マス進めるだけのため1ドローと比較すると平均して価値が低いですが、個人的には毎ターン1ドローはPauper基準だと強すぎる印象だったので「統治者関連のカードを全部禁止にしてこっちにしてくれ」という気すらします。
イニシアチブによって入ることの可能なダンジョンは《地下街》のみですが、既に別のダンジョンに入っている場合には《地下街》以外のダンジョンを進むことができるので、これまでには不可能だった《狂える魔道士の迷宮》の踏破も見えてきます。(やる価値があるかどうかは微妙ですが。)

ダンジョン

イニシアチブから入れるダンジョンは《地下街》だけなので、今後は一番多く見かけることになるでしょう。
相手からイニシアチブ奪うことも考えて、常に《地下街》のカードを用意しておいたほうが良いかもしれません。
まず、1層目で《地勢》が誘発することが特徴で確実にリソースを増やすことができ、次ターン以降の計算を立て易いです。
また、3層目の5点ライフロスが強力でアグロなデッキにとっては1枚ドローよりも価値がある効果となります。
《魂を喰らう墓》の性能が微妙なためアグロなデッキにとっても有用なダンジョンと言えるかもしれません。
5層目の効果で出てくるクリーチャーも元のクリーチャーが単なる1/1や2/2だとイマイチな反面、《熟考漂い》あたりを出せると非常に強力なため総合的には中速~低速なデッキに向くダンジョンかなと思います。

ドラゴン参照

CLBにはドラゴンを参照するカードと多数のコモンのドラゴン・クリーチャーが収録されています。
これまでのコモンのドラゴンは単純に”重くてデカい”ものばかりで構築に向かないカードばかりでしたが、今後は多少マシになるかもしれません。
これにより既存のカードでは《龍詞の咆哮》や《龍王の召使い》が強化されています。

門参照

これまでのPauperでの門の立ち位置は単なる多色土地の一種でしたが、今回、門を参照するカードが増えたため若干の強化がされた形です。
個別のカードのほうでも紹介しますが門を参照して継続的にアドバンテージを得られる門が強力で、デッキの土地の大部分を門で構成したデッキも視野に入ってきた気がします。

出来事

エルドレインの王権が初出の人気メカニズムで、コモンにもいくつかありますが、まともなのは《リムロックの騎士》程度でした。
出来事側と本体側の両方で、ある程度ゲーム内で機能するようでないと使われないため、純粋にアドバンテージを得られるメカニズムではあるものの、なかなか入れ得とはなり難いです。

使嗾

Pauperにおいてはクリーチャーにマスト・アタックのデメリットを付与するだけの効果です。
有効な局面がピンポイントなため「そういう効果もあるんだ」程度に覚えておけば良さそう。

無尽

インクの染みです。

祝福のヒポグリフ

出来事側が優秀で1対1を取り易く、本体側も軽くはないものの出すのが無理という程でもなく、攻守において無視し辛いサイズと能力をもっています。
白単英雄的のようなデッキで対除去札として構えておき、出来事側で1対1を確保してから本体側を捨て気味に使うような運用が見込めます。

アイスウィンドの重鎮

コモン版《修復の天使》。
飛行は仕方ないにせよ瞬速はあって欲しかったですね。
それでも下準備が必要ではありますが明滅は1ドローよりも高い価値が見込めますし、3/3というサイズ込みで4マナの価値はありそうなクリーチャーです。

アーラコクラの隠密

イニシアチブでは最も優秀ではないかと目されているクリーチャー。
飛行によりブロッカーとして優秀で、かつ《稲妻》を耐えられるタフネス4が光ります。

ケンクのアーティフィサー

コモンでは初となるアーティファクトを永続的にクリーチャー化するカード。
クリーチャー化したアーティファクトは、3/3という悪くないサイズにもかかわらず何故か飛行までついているので、適当に《胆液の水源》や余ったアーティファクト・土地をクリーチャー化すれば3マナ3/3飛行+1/1というスペックになります。
特に破壊不能を持ったアーティファクト・土地をクリーチャー化されると、デッキによっては対処が非常に難しいです。
本体も出た後は使い捨てで良く、《勢団の取り引き》のコストにすればそこそこのライフが回収できますし、《血の泉》で使い回す対象としても少し重いながら十分な価値がありそうです。
数々の禁止で勢いの弱くなった親和が復権する可能性を秘めています。

アームズ・オヴ・ハダル

《エヴィンカーの正義》や《眼腐りの虐殺》など、コモン黒のタフネス2全体除去はありましたが、前者は”ダメージが痛く軽減もされ易い”、後者は”エルフというメジャーなクリーチャー・タイプに無効”と使いづらさが目立ちました。
しかし、これは何を血迷ったか”相手のみ除去”かつ”シングルシンボル”と既存のカードと比較して頭2つは抜けた性能になっています。
重さを考えればサイドボード要因にはなるでしょうが、自身も《騒がしいネズミ》のようなタフネス2のクリーチャーを展開するタイプの黒いコントロールデッキで気兼ねなく使える全体除去を手に入れた意味は大きそうです。

カビ人間

《邪悪な貴族》と同系統のカードですが、起動コストが1マナになりサクリ台として遥かに優秀であることに加え、サイズを生かせる絆魂を持ち非常に強力になっています。
サクリファイス系のデッキはもちろん、親和にも適性があり、活躍が見込めそうなクリーチャーです。

ブレス攻撃

Pauper環境での《焦熱の連続砲撃》の強力さは言わずもがな、現状ドラゴンは海賊よりマイナーなので、やや強化されているとも言えます。
メタゲームに応じて使い分け、ないし併用されるでしょう。

ヤング・レッド・ドラゴン

浮いたマナを宝物に変換できる出来事側は強くもないけど便利、4/3/2飛行の本体側も強くはないけど相手としても無視し辛い。
《乗り込み部隊》から捲れてもギリ許せるかなと考えると続唱デッキの序盤アクションとしてアリかもというレベル。

復讐する狩人

5/4トランプルというサイズが5マナのクリーチャーとして十分に許容できることに加え、後続の《苛立つアルティサウルス》に繋げ易くなる1層目、元からのサイズに加えてトランプルと相性の良い2層目、7/6トランプルの攻撃と併せれば十分にゲームが終わる可能性のある3層目と、本体と《地下街》の相性が良いです。
一度でも取られると辛い統治者より、奪われても奪い返しながら3層目まで届けばゲーム勝利が見えるこちらのほうが既存の続唱デッキで採用されている《真紅艦隊の准将》より相性が良いかもしれません。

呑気な豚使い

3マナのアタッカーはPauper環境では最も苦しいポジションのクリーチャーですが、マナだけで継続的な2/2生成は既存のコモンには無かった性能。
クロックをトークンと分散しているためか、ギリギリ《稲妻》を耐えられるタフネス4を貰えているので、ワンチャンあるかもしれません。

クローク森の群れ守り

かなり緩い条件でサイズアップが見込めるので、通常の1マナより打点が高くなりそうです。
《巣の侵略者》が続けばそれだけで1/2/2ですし、《カルニの庭》などでもサイズが上がります。
トークン生成を多数採用することで《湿地帯のグロフ》や《薄光の子》を併用し易くもなるので、新しい軸の緑アグロを生み出す可能性があります。

君たちは酒場で出会った

フォーゴトン・レルム探訪(AFB)からのコモン落ち。
意外ですが、コモンの緑で自陣のクリーチャーを全体強化する所謂《踏み荒らし》はこれが初となります。
トランプルこそ付かないので決定力はそこそこながら、緑の得意な横に広げる展開をサポートできます。
モードのもう一方も《暴走の先導》になっていてエルフやスリヴァーのようなデッキで優秀。
特にエルフでは《エルフの先兵》や《森林守りのエルフ》による縦の強化はありましたが、それらに対処されると1/1が立ち往生というシチュエーションもままあったため、モードの両面でサポートできるこれは相性が良さそうです。

アーティファクト

ランタン・オヴ・リヴィーリング

トップが土地なら《眷者の装飾品》、スカったら《予見者のランタン》。
終盤に土地以外の呪文を下に送るということも(特にサイド後は)少ないため、見た目以上に起動型能力の価値は低そうですが、これがコモンで許されるラインなのかもしれませんね。

尊き彫像

《胆液の水源》の宝物バージョン。
手札こそ減りますが1枚からアーティファクトを2つ展開でき、《命取りの論争》のコストに充ててもアーティファクトの数が減らないというのは親和というメカニズムと相性が良すぎます。
親和の弱点でもある色マナの不安定な面もカバーしているのも嬉しい。

土地

バジリスク門

アンコモン以上では珍しくないですが、コモンで複数回起動できるP/T修整を与える土地は初。
自身により+1/+1は保証されていますし、コストを考えても2つあれば十分。
構築の段階で意図的に門を大量に採用したデッキであればETB能力を使い終わった用済みの1/1ですらフィニッシャーになれます。
無色土地ではありますが、多色のアグロデッキで採用してみたいカードです。

岡門

実質3マナで宝物を1つ生成。
僅かとはいえ確実なリソースを継続的に生み出せる土地なのでコモンには無かった性能です。
ベースが《未知の岸》なのでトロン・コントロールのようなデッキに適性がありそうです。

あとがき

各色2枚ずつくらい書こうかと思っていましたが、緑だけ試したいカードが多く4枚になってしまいました。
一方で白や赤は性能が微妙で2枚選ぶのが難しかったですね。
青は数は少ないですが、ここで挙げた2枚はどちらも構築での可能性を強く感じさせられるもので、特に《ケンクのアーティフィサー》で破壊不能の3/3飛行を作られる動きはメインでは非常に対処し辛そうに感じます。
そして2種類の門はどちらもアンコモンかと思う性能で、近頃のマナ能力以外の能力を盛った土地が増えてきているムーブメントが加速されたように感じます。
まぁ個人的には早くコモンでミシュランを出してくれって話ですが。
前回の統率者レジェンズと違い、今回はコモン落ちのカードが殆どありませんでしたが、その分、直後に発売される再録セットであるダブルマスターズには大量のコモン落ちが入っているのでしょう。
期待したいですね。

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