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ONEコモンカードPauper評価

本日、WotC公式よりファイレクシア:完全なる統一(ONE)の全カードが公開されました。
ファイレクシアが中心のセットということで、毒性と堕落という2つの新メカニズムが毒カウンター関連という異色なセットとなっています。
例によって今回も収録されたコモンカードがパウパー環境にどう影響しそうかという観点でレビューをしていきます。

ファイレクシア:完全なる統一のメカニズム

毒性

未来予知でタイムシフトとして登場していた有毒のリメイク。
今回、毒性が収録されたことで有毒の再登場は無くなったと言ってよさそうです。
性能的には有毒と同じですが、戦闘ダメージを与えたときの誘発能力か常在能力かという違いがあり、《魂の絆》と《絆魂》の関係と同じです。
相手のライフを0にすることと、毒カウンターを10個与えることの両方の勝利条件を満たそうとすることは非効率と言われていますが、後述する堕落のために数個の毒カウンターを与える用途で使用するには感染を持つクリーチャーよりスタッツが良好なため使い易いです。

堕落

相手に3個以上の毒カウンターが与えられていると性能が向上するカード群。
当然、100%の性能を引き出そうとするなら毒カウンターを与える手段と併用しないといけません。
そのため、3個で十分とはいえかなりのスロットを毒カウンター関連に割かざるを得ず、構築への負担が大きいです。
ただ、条件を満たしていなくても十分に強いカードがあるので、そういったカードを毒カウンターと関係なく採用する方針もあり得そう。

ミラディンのために!

生体武器のリメイクです。
トークンのサイズが2/2とアグロ指向のデッキであれば十分に戦力となるサイズなので、装備品側をオマケとして扱うというのもあり。

油カウンター

これ自体は意味のない単なるマーカーですが、油カウンターが乗っているパーマネントの数を参照したりするカードが少しだけ存在します。
+1/+1カウンターと比較して割と簡単に乗せられるので神河:輝ける世界(NEO)の改善などとも絡めやすいかもしれません。

増殖

灯争大戦(WAR)以来の再録メカニズム。
全体的に過去のカードよりマナ効率が向上しています。

頭蓋爆弾サイクル

《聖堂の頭蓋爆弾》、《ドロスの頭蓋爆弾》、《焼炉の頭蓋爆弾》、《迷宮の頭蓋爆弾》、《外科の頭蓋爆弾》のアーティファクトのサイクル。
共通性能として1マナで設置し、1マナと生け贄でドローに変換でき、対応する有色マナを含む2~3マナ+生け贄で起動すると固有の効果+1ドローとなります。
実質キャントリップなのでカードアドバンテージを失うことはないですが、その分マナ効率は悪く、アーティファクトであることを活かさないと採用する理由が見いだせなさそうです。

球層サイクル

《自律焼炉》、《ドロス窟》、《美麗霊堂》、《狩猟迷宮》、《外科区画》のサイクル。
共通性能としてタップインの単色土地で、2マナ+生け贄で起動すると1ドロー。
有効色の2色土地版はニューカペナの街角(SNC)で収録されていましたが、起動コストが4マナ+生け贄(実質5マナ)と重く、タップインを受け入れてまで単色デッキで採用する価値はありませんでした。
今回、起動コストが大幅に軽くなったことで十分に採用を見込めるレベルになっていそうです。

注目カード

《這い回る合唱者》

イラストの気持ち悪さはナンバー1

白で毒性を絡めたウィニーを組もうとしたら、まず入ってくるであろうクリーチャー。
1/1/1で死亡したら1/1を出すというよくある性能ですが、本体も出てくるトークンも毒性1を持っているのが偉い。
とはいえ、これで毒カウンターを10個与えるというのは無理な話なので、あくまでも堕落のための3個、あるいは増殖で増やすための最初の1個を与えるのが役割になりそう。

《切歯の滑空機》

並んでいる歯が気持ち悪い

白で毒性を持つクリーチャーを採用するのであれば、それはこれを採用するためと言えます。
2/1/3飛行という打点が低いながらも優秀なスタッツに加え、堕落を達成すれば全体強化と序盤・終盤に活躍してくれそうな性能ですが、現状のプールでは堕落の達成が不安定になりそうなのがネック。

《大顎の大司法官》

これはもうBETAでしょ

アーティファクト中心のセットにありがちなアーティファクトを出したときにボーナスのあるクリーチャーです。
タフネス1の脆弱性こそあれ2マナでパワー2の絆魂はサイズ上昇能力とも相まって強力で、構築を寄せれば《道の探求者》ばりの活躍をしてくれそうです。

《次元の攪乱》

つまりノーンが放浪者の完成化を防いでくれた?

意外とない《平和な心》上位互換。
つい最近SNCで《平和な心》下位互換の《身代金の要求》なんてカードがあったなんて信じられないくらいの強化がされています。
3マナの《拘引》と同様に能力の起動も禁止するばかりか、アーティファクトも対象に取れるため環境に蔓延るアーティファクト・土地を機能停止にすることができます。
上記の汎用性の高さを考慮すればクリーチャー除去としての信頼性が劣るとはいえ《未達への旅》と比較しても甲乙つけがたい性能をしており、追加のクリーチャー除去としてサイドに準備しつつアーティファクト対策と枠を共有できると考えると悪くなさそう。
《ケンクのアーティフィサー》でクリーチャー化した破壊不能土地にエンチャントした際も、しっかり土地としてマナを出すことを縛れる安心感。

《有貌体の向上》

飛行付与に活路があるかも

感染持ちクリーチャーに飛行を与えつつ実質+2/+3の修整を与えると考えると悪くなさそう。
もっとも攻撃時に使用するなら飛行より確実にダメージを通せる《ひずみの一撃》なんかもあるので《稲妻》などの火力への防御手段ともなる点を活かしたいところ。

《終焉よ来たれ》

”酒杯は膝に置いて起動する”縛りでイラストがシュールに……

《マナ漏出》系の打ち消し呪文の最大の弱点を堕落により克服している点が画期的です。
特定の条件下で確定カウンターになる打ち消し呪文はアンコモンなどではあったかもしれませんがゲームの終盤であっても常に条件を満たせるかは不安定だったりします。
一方で毒カウンターは基本的に減ることはないため、一度条件を満たしてしまえば信頼性の高いカウンターとなります。
コントロールデッキで堕落を達成するのは難しいかもしれませんが、序盤は素打ちでも十分な性能なため5枚目以降の《対抗呪文》としてはかなりの注目株。

《実験的占い》

1枚を取るか増殖を取るか

普通に使えば《予期》以上《衝動》未満。
とはいえ増殖は構築を寄せれば寄せるほどバリューが高くなるので、見るカード1枚以上の価値を与えてくれる場面は必ずあります。
今すぐに環境で見ることは無くても嵌るコンセプトのデッキが登場すれば基本的なドロー操作になりそう。

《ファイレクシア病の前触れ》

感染コントロールが待ち望んだ1枚

増殖するカードが多くても最初の毒カウンターを与えることが苦手だった青にとって序盤から確実に毒を与えつつカードアドバンテージを失わないという願ったり叶ったりのキャントリップ呪文です。
ただしインスタントとはいえ2マナと重く、ある程度ロングレンジを見据えたデッキでないと扱いづらいのが残念。

《苦痛ある選定》

超強化版《燻し》がコモンに

これまでコモンにはマナ総量を参照してクリーチャーを破壊する《燻し》系の除去は存在しませんでしたが、遂にラインアップに追加されることとなりました。
追放除去であることにより、広範囲な《喪心》とも差別化でき、特に《ケンクのアーティフィサー》でクリーチャー化した破壊不能土地にも対処可能である点で差別化できます。
《マイアの処罰者》や《グルマグのアンコウ》など対処できなくて困るクリーチャーも多いので基本は《喪心》が優先されるとは思いますが、メタゲームに合わせて枚数を調整する選択肢が増えたことは嬉しいことです。
単体で十分に強力なため、堕落以下はインクの染みとして毒カウンターを与える手段がないデッキでの採用もあり得ます。
今後は《致命的な一押し》のような、より軽くなる方向で同種の除去が増えてくれることを期待。

《ヴラスカの堕落》

これも感染コントロールで期待

前述した《ファイレクシア病の先触れ》と同じく除去+毒カウンター付与というコントロールデッキで欲しい効果の組み合わせになっています。
毒カウンターはライフ2点ダメージに換算されることがありますが、そう考えると《ゲスの評決》の系譜とも言えそうです。
3マナと重く、かつ布告除去ということでコントロールデッキでの使用が前提となりますが、”最初の1個”を相手のボードを削りながら与えられるメリットは大きそうです。

《ドロスの囁き》

1マナ増殖のマナ効率の良さ

よくある黒の1マナ除去+αの呪文ですが、既存のカードではやたらと効率の悪かった増殖がなんと1マナというから驚きです。
毒カウンターを与える1マナ除去として《悪性の傷》と範囲がやや被り気味ですが、《悪性の傷》で与えられる-1/-1カウンターや毒カウンターと増殖の相性は良好なので併用することで大きなシナジーを見込めます。

《逆棘の叩拳》

タフネスのマイナス修整が痛すぎる

コモンで最も軽いミラディンのために!装備で、実質2/3/1とギリギリ及第点な単体性能をしています。
装備コストも現実的なラインですが、タフネスへのマイナス修整により1/1トークンに装備するといったこともできず、同じクリーチャーに複数枚を装備するということも難しいのが残念なところ。
一方で、これ自体がなくなっても実質2/2/2が戦場に残せるということに着目すれば、出して直ぐに《カルドーサの再誕》で生け贄にしてしまっても問題ないですし、《きらめく鷹》等で出し入れするにもコスト相応のトークンを出せるので、そういったシナジー寄りの運用を考える方が強く使えるかもしれません。

《伝染病のヴォラック》

見た目は伝説クリーチャーの風格

3マナクリーチャーのETBで土地サーチということで見方によっては《護民官の道探し》の系譜。
トップ4枚からという不完全なサーチのため色マナを安定させる効果は低いものの、3/3/3というスタッツを考えればこちらを採用したくもなります。
終盤に引いてきた際も増殖を選択することで《実験体》のようなクリーチャーを大きく成長させることもできるため、緑白増殖アグロのような多色デッキで光りそうな性能です。

《渇き根》

1マナ増殖は要注目

《地勢》or 増殖。
増殖は+1/+1カウンターを絡めることで戦場に影響を与えられるので、序盤はマナ源、終盤はクロックアップと隙のない組み合わせです。
単純に+1/+1カウンターを持つクリーチャーを大量に採用したデッキで使っても効果が高そうですし、緑単感染のようなデッキで土地を切り詰めつつ採用すればマナスクリューとマナフラッドを緩和しながら直接火力を採用している様なものと言っても過言ではない。

《マイアの同族鍛冶》

《滞留者の相棒》の穴を埋めてくれるか?

《マイアの処罰者》をサーチできます。
重いしスタッツは悪いしでパッと見では絶対に採用したくない性能ですが、《マイアの処罰者》に大きく依存しているデッキでは《滞留者の相棒》が禁止されて低下した安定性を補うパーツになったりならなかったり。
この手の能力では珍しく、《自己組立機械》などと異なりサーチ先がクリーチャー・カードに限定されていないので《名も無き転置》をサーチできたりもします。(《ケンクのアーティフィサー》でクリーチャー化した破壊不能土地を除去するのに便利な呪文です。)

《外科の呪文爆弾》

《ケンクのアーティフィサー》対策が多くない?

元になっている《排撃》はトークン・クリーチャーを対象とすることで大きな効果を発揮するバウンス呪文でしたが、やや重く、軽いウィニー相手には効果が薄い呪文でした。
これはそういった相手に対しては軽いコストでドローに変換できるため弱点が緩和されています。
何より《ケンクのアーティフィサー》で……(以下略)
それでもマナ効率が悪いため青ければ採用できるという訳ではないですが、アーティファクト関連のシナジーが見込めるのであれば1枚挿しなどを検討したい枠。

《自律焼炉》

待望の単色デッキマナフラ受けができる土地

かねてよりコモンにもミシュラ・ランドのようなマナフラッド受けの土地、特に単色デッキ向けの土地が欲しいと思っていましたが、いよいよ期待していたものが来ました。
流石にミシュラ・ランドは無理でしたが、素の性能がよくない《ギトゥの宿営地》なんかと比較すれば1ドローでも御の字といったところ。
特にこれは《ゴブリンの爆風走り》のパワーを上昇させる手段にもなるのでシナジーを見込めるという意味でサイクルの他のカードより注目しています。

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