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2000万インプレッションを記録した体操のスゴさを解説

こんにちは。

鈴木孝佳です。

10月28日に投下したTwitterが大きな反響を呼び、たくさんの方に届きました。

インプレッション数は2000万以上、エンゲージメント数は155万を記録しました。


まさかここまでのバズが起こるとは露程も思わず、私自身大変驚きました。

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などなどコメントやリツイートで多くの声をいただき嬉しく思っております。

今回の記事では、この体操で体に何が起きたのか、なにがスゴイのかを解説したいと思います。

どうぞお付き合い下さいませ。



バズリ体操名は、セラタススクワット

こちらの体操、実は「セラタススクワット」という名前がついています。

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セラタスとは、日本語で前鋸筋(ぜんきょきん)を意味し、体操で脇が辛くなった部分です。(上の写真の脇のところ)

見たことないポージングでなんだこれは?簡単そうだな?など感想を持たれた方もいると思いますが、実際行ってみると、これがなかなか効いたことと思います。

この前鋸筋、実は私達にとってとても重要な働きを持っています。

それは、本来の背中のカーブを取り戻すことです。

さて、そのことが私達にどんな恩恵をもたらしてくれるのか。

それを理解するために、私達ヒトの背骨を見ていきましょう。



背骨はS字カーブが基本

写真の通り、背骨はいわゆる「S字カーブ」を描いています。


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首は前向きにカーブ(以下、前弯)、背中は後ろ向きにカーブ(以下、後弯)、腰は再度前弯しています。

S字を正常に保てていることが良い姿勢と言えますが、保てなくなると体に問題が出てきます。

S字カーブを失う理由は、ストレスや食生活、睡眠不足や運動不足など様々ありますがここでは詳細は割愛します。

カーブを保てなくなることで起こる2つの問題をご説明します。

1つずつ見ていきましょう。



①カーブの数は支える力に繋がり、発揮できる力の限界値になる

S字があることでクッションが働き、頭や胴体、腕の重みを支えるのに貢献しています。

すこし専門的に話すと、「軸圧に対する脊柱の抵抗力」と表現できます。

実はこのS字カーブ、カーブの数により支えることの出来る強さが変化します。

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*R=抵抗力 k=比例係数 N=弯曲数
参考:https://www.rs.kagu.tus.ac.jp/unolab/thesis/2014m/sage.pdf


写真の通り、背骨のカーブが3つのときはR=10という数字で表されています。

これが背骨のカーブが1つ少なくなっていくごとに約半分になっていくのです。

実際は有り得ませんが、まっすぐの場合は、支えることのできる強さは「1」となり、支える強さが1/10にまで低下します。

実際、起こり得るのが、カーブの数が2つの状態に近くなるという状態です。

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青色線の下半分がややまっすぐ気味になることで背中の後弯が少なくなってしまいます。(逆に腰のカーブは大きくなっています)

写真のような猫背姿勢で生じる状態です。

実際のこの方が壁に背中を付けて立つと、腰の隙間がごっそりと空きますので、ご自身でもチェックしてみてください。



支える強さ(背骨の抵抗力)が半分になると何が起こるか

影響は3つあります。

1つ目は、支える力が減る為、衝撃を吸収できず関節や筋肉に負担をかけ、体の痛みに繋がる原因になる可能性があります。 (痛みは脳で感じるものであり、姿勢が悪いと必ず痛みに繋がるわけではない)

2つ目に、体を支えられない為、正しい姿勢をとることができません

体の重さを支えられる状態(体勢)を求めて、姿勢はさらに変化していきます。

そして、もう1つ。

力が出なくなります。

地球上のすべての生き物は物理の法則に則って動きます。

その1つに、「発揮した力はその分と同等の大きさの力が自分へ返ってくる」というものです。

これは、「作用反作用の法則」というニュートンの第3法則ですが、これが力が出なく理由に繋がっています。

私達の脳は優れた機能を持っており、体中のセンサー(目、三半規管、皮膚や筋肉、関節)を通じて、跳ね返ってくる負荷を計算しています。

この機能があるおかげで、「〇〇という動きは可能か否か」というのが予測ができます。

(例えば、高いところからジャンプをする場合、「飛び降れそう」「これは膝を怪我しそう」などと判断することが出来ます。)

背骨のカーブ数が減ることでクッション性が50%減になっています。

つまり、脳は自らの体が受け止められる負荷の大きさしかそもそも発揮出来ないように抑制します。

この状態で日々を過ごすとどうなるでしょうか?

筋トレしているヒトでは、本来の力の半分しか筋力が出ませんし、

スポーツしているヒトでは、パフォーマンスがガタ落ちでしょう。

ちょっと無理をして頑張ることで、体のどこかの怪我につながる事も考えられます。

日常生活では、早く動作ができない、重いものを持てない、すぐに疲れる、座りたくなるといった状態になる可能性があるでしょう。

肩こりや首コリなど首の負担にも繋がります。


②リラックス出来ない疲れのとれない体に

ヒトの背骨には胸椎(きょうつい)と呼ばれる部分があり、ちょうど背中が後弯している部分に当たります。

ここには、交感神経という自律神経が通っています。

自律神経とは、自律神経系は内臓諸臓器の機能を調節する遠心性機序と内臓からの情報を中枢神経系に伝える求心性の機序という2つの系からなる。 
随意神経系である体性神経系と対照して、不随意である「自律神経系」は循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能、および代謝のような不随意な機能を制御する。自律神経系はホルモンによる調節機構である内分泌系と協調しながら、種々の生理的パラメータを調節しホメオスタシスの維持に貢献している。(Wikipediaより)

交感神経にスイッチが入ると、呼吸数増加、心拍数増加、血流増加、体温上昇など緊張時にでる反応が起こります。

その機能を「闘争と逃走」といい、古来は、他の生物から自らの命を守るために発動する自動システムでした。

(例えば、寝ていて、急にライオンが現れた時にすぐに体が動かせる状態になる必要があります。スイッチが入らず寝ぼけ眼でボーッとしていると一瞬で死んでしまいます)

胸椎部分の後弯が崩れてしまうと、交感神経が刺激されてしまいます。

この状態が続くということは、24時間365日体が緊張していることになるのです。

「気付いたら体の力が入っている」、「力を抜いてくださいと言われても上手く抜けない」など心当たりがある方もいるのではないでしょうか。

交感神経優位は、副交感神経とのバランスを崩すので、消化吸収や睡眠にも影響すると考えられます。

その結果、体の修復という回復がうまく行かず、慢性的な疲労状態に陥る可能性があります。

セラタススクワットは本来のカーブを取り戻す最適な体操

ここまでの話で正しい背骨のカーブがいかに大切かご理解いただけたのではないでしょうか。

セラタススクワットは、前鋸筋を強く刺激することで上記の解決に役立ってくれます。

もちろん、これ1つですべての問題が解決することは有りません。

あくまで、やるべき体操の中の1つです。

しかし、「やるかやらないか」で考えると、間違いなく誰もがやったほうが良い体操です。

それは、デスクワークやスマホ、運動不足により姿勢が崩れ、S字カーブを手放している方が多いからです。


まとめ

今回は前鋸筋にスポットを当てて解説しました。

他にも効果は数個ありますが、とても長くなりそうなのでここまで。

立って壁さえあればどこでも出来るセラタススクワットはライフスタイルに中に溶け込みやすいと思います。

肩こりなどの不定愁訴によるプレゼンティズムの損失額は1000人規模の企業で約5億円と試算すデータもあります。

厚生労働省「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」

「自らの健康は自分で守る」ことがやはり大事です。

予防医学が大切と叫ばれて久しいですが、日々のちょっとした心がけとその行動をいかに出来るか。

まずは自分の体を知って、何をすればより良くなれるのか、そのためにはどういう環境を設定すればよいのか

全ては知るところから始まります。

この体操で多くの方が少しでも日々の生活や仕事により健康的に迎える一助になっているのであれば大変嬉しいことです。


おまけ

セラタススクワット以外にも体操を知りたい

私に合った体操やトレーニングをやりたい

そもそもの今の体って何をすべきなの?

この不調は何が原因?

こういった方々は、ぜひ検査にお越しください↓↓

​身体アセスメントトライアル


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