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長く続けることを意識

◍ 雨が降らない日が続いたので、土が乾燥しすぎて、歩くだけで土がサラサラにほぐれて、まるで砂の道を歩いているような山の放牧場でしたが、遠くを通過していった台風が雨を少しだけ運んでくれて、少し落ち着きました。(大雨だったら、サラサラになった土が流れていったでしょうね)

そんな過酷な季節に収穫を迎えた枝豆やブドウをいただいたのですが、実が十分に詰まっていないものもあり、こんな異常な天候のなかで、農作物を作っている農家さんのご苦労やリスクを思うと、食べられるだけで本当に有難いことだなぁとしみじみ。

ひねったら水が出てくる蛇口のない山の放牧場のブタたちには毎日水を運んでいます。浅い桶に水を入れるそばからゴクゴク飲むときもあれば、餌の途中で1頭ずつバラバラに飲みに来る程度の喉の渇きのときもあるようで、そんな様子・ブタの体調を確認しながら、少し飲み残す程度に与えています。

▤ 長く続けることを意識

毎年、夏になると「いつも(平年)より暑い~」と思ってしまうのは、自分が昨年の夏より歳を重ねて、体力が落ちたことも要因の1つなのかもしれません。朝イチから「やる気スイッチ」を入れて動いた日は作業が進みますが、ゴミ出しや子どもに付き合って、暑くなってきてから動く日は、「やる気スイッチ」がなかなか見つからない。。。

「今日は体が軽いから、普段溜まった作業を片づけよう!」と気合を入れてガンガン働いた次の日は疲れて動けないこともあり、「やっぱり、他の季節より軽めに動いたほうがいいな」と今はセーブしながら作業しています。

あまり餌集めのスケジュールがきっちり決まっていない夏休みは、太陽ガンガンの時間帯に(車で風を浴びながら)餌集めをして、太陽の威力が和らいだ夕方から草集めなどのハードな作業ができるように段取りを組むようにしています。(蝉だって、日中の暑い時間帯は静か。蚊も夕方に血を吸いに近づいてくるのだから、人間も無理して暑い時間帯に、かなり無理して動かなくていいのかもしれません。ヨーロッパの長期休暇をとる人間の社会でも、それぞれが1ヵ月ほどの休暇をとっても会社が社会がどうにかなっているし、普段からシエスタと呼ばれる昼休みを大切にする文化もありますね)。

15時を過ぎて少し涼しくなるだけで、消耗が全然違います!日の出からサッサと作業をし、昼をしっかり休んで、夕方にもう一頑張りする先輩農家さんたちのようには無理して早起きせずに、目が自然と覚めるまでは休息するのが、今のスタイルです。

放牧養豚を始めたときに見学させてもらった先輩が「どうやってサボるかを考えないと長続きしないよ」とアドバイスをくださり、その当時は理解できませんでしたが、今から始めようとしている私たちに「サボれ!」と言われた言葉があまりにも衝撃で、ずっと心に残っていました。ようやく先輩の言葉が分かるようになりました(笑)

「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」という句を残した徳川家康の『人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し いそぐべからず』(『人生は、重い荷物を背負って長い道のりを歩き続けるようなものなのだから、焦らずゆっくり進みなさい』)という遺訓は『最初から目標を長期的に考えて、粘り強くやっていこうとすれば、挫折もしにくくなるはず』という意味だと、齋藤孝著『心が強い人は みな、「支える言葉」をもっている』には紹介されています。

人生における辛抱、忍耐だけでなく、『人間はずっと全力で走り続けることはできないのだから、重い荷物を背負っているように、ゆっくりボチボチと歩いて行かないと遠くまでは歩けないよ。力を抜いて、気持ちを張り過ぎないように。遠くへ行くにも、一歩一歩前に足を進めるだけ』という意味も含まれているように感じます。

日本では、一生懸命やることがとても大切にされていて、一生懸命やっているのは何のためだったのか?という当初の目標や想いが意識されないまま消耗して、期限が近づいて、あわてて目標に近づけた体裁に整えることが多いように感じます。少し気持ちを緩めて、どこを目指しているのかを意識して動いていれば、細かなところに力を注ぎ過ぎずに、全体の完成度を鮮明にしていけるのではないでしょうか。