見出し画像

自分のゴールを意識し続ける

◍ 三寒四温で、島でも今年の春分の日は、霙が降るくらい寒かったのですが、県畜産試験場から子ブタのときにやってきた寒さが苦手なブタたちが、雨でも、外を平気で動き回っているのをみると、(大きくなって体力がついたのもあるけど)春が始まったのだなと感じます。我が家の花壇のミックスチューリップは、なぜかピンクのチューリップだけ蕾が膨らんでいて、植物によっても「春」の体感性はいろいろなようです。

この冬は暖冬だったのか、スズメたちは活発で、ブタの餌を作っている夫が現場を離れると、餌箱に群がったり、餌小屋のなかに入り込みます。物音がすると、サッと近くの藪に逃げ込み、まるで鬼ごっこを楽しんでいるようです。スズメのように、あまり私たちの仕事に影響のない鳥は可愛く感じるのですが、熱心に食べものをさがす鳥でもカラスは、この冬初めて、大きなブタを2頭も殺し、私たちはカラス対策に頭を悩ませています。

▤ 自分のゴールを意識し続ける

卒業シーズンにラジオから流れてくる曲は、なつかしいものから最近の曲まで「こんなにあるの?!」と驚くほどたくさん。ブタの餌を集める軽トラのなかでラジオから流れてきたのは「拝啓 この手紙読んでいるあなたは どこで何をしているのだろう」から始まるアンジェラ・アキさんの『手紙 拝啓 十五の君へ』。誰にも話せない悩みを持った15歳の「僕」と大人になった「僕」自身の手紙のやりとりを歌っています。大人の「僕」からの返事は「自分とは何でどこへ向かうべきか 問い続ければ見えてくる。今 負けないで 泣かないで 消えてしまいそうなときは、自分の声を信じ歩けばいいの。大人の僕も傷ついて眠れない夜はあるけど、苦くて甘い今を生きている」と。

40代後半の私が聞いても、15歳の「僕」の不安に心が共鳴して震え、大人の「僕」の精いっぱいの「生き抜いているよ」というメッセージにも、今を生きる仲間としての絆を感じます。

伊藤羊一さんの著書『FREE FLAT FUN これからの僕たちに必要なマインド』は、自分を導き、他者を導き、社会を誘くリーダーとして歩んできた伊藤さんの大切にしている3つの言葉『FREE』『FLAT』『FUN』をキーワードに書かれているのですが、伊藤さんもアンジェラ・アキさんの『手紙』と同じようなことを書いています。

私たちが日々を生きるなかで大切なのは、「自分はなんのためにそれを選ぶのだろう?」「自分のゴールはいったいなんだろう?」と考えることです。人間というのは、流されやすい生き物です。自分に問いを立て考え続けなければ、つい周囲の指示や依頼に基づいて行動し、「他人の人生」を生きてしまうことになるでしょう。

伊藤羊一 著『『FREE FLAT FUN これからの僕たちに必要なマインド』

伊藤さんの言う「他人の人生」とは、「なんとなくの常識やしがらみやルール、(他人が作った)正解に従って生きること」で、価値観も多様になり、災害や紛争など、予想を超えたことが起こる時代には、「なんとなくの正解」を選ばず、自分で決める姿勢が大切だ、と。

生きていくというのは「行動」です。自分の行動は、長年体にしみついた習慣になっていて簡単には変わりません。(略)ある出来事をきっかけに、がらりと考え方が変わっても、やはり実際に行動し、振り返りながら経験を積み重ねるプロセスを経なければ血肉化されません。

伊藤羊一 著『『FREE FLAT FUN これからの僕たちに必要なマインド』

自分自身のゴールがわかったら、日々、目指しているゴールを意識すること、お互いにゴールを目指して私は私の「持ち場」で、あなたはあなたの「持ち場」でベストをつくせるように祈っています。こぼれる笑顔が周りの人へ、広い世界へと広がっていくことをイメージしながら。

私のゴールはいつでも意識できるように、この農園だより「小さな杜だより」の右上に掲示しています。

豚や働く人、食べる人、地域のすこやかさ、しなやかさを育むように努力します。
経済的にも、環境的にも、社会的にも持続可能な農業を目指します。

「     拝啓  この手紙読んでいるあなたが幸せなことを願います。 」