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持続可能な世界、養豚に

今、各地の洪水、新型コロナウィルスなど私たちのいのち、暮らしが脅かされる現象が地球規模で起きています。我が家のブタたちが暮らす山のなかの耕作放棄地も、雨で田んぼのような状態にしばらくなっていたり、ブタに餌を運ぶ舗装されていない道に急に大量に降った雨が流れ、道の土が流されてしまったりました。それでもブタたちは、健康を崩すことなく生き抜いてくれています。

毎年降る・・・夏の量の多い雨で、道のどこかに小さな被害がでるのですが、被害がでたところを石や草、木などで補修しながら使っています(山に入ってくるのは、猟師やマツタケ採りの方くらい。毎日使うのは私たちだけです)。

失った人命や思い出のものは取り戻すことはできませんが、洪水で壊れた建物・橋などを再建したり、新型コロナウィルスで影響を受けた経済を立て直したり、対応できるように医療を整えるために使う費用を考えると、こんなことになる前に、お金を「もっともっと」と求め使う私たちの暮らし方や働き方をスローダウンしておけば、必要以上に稼いだり使ったお金の分以上に負担するであろう洪水やコロナ対策にお金も時間も使わずに済んでいたのではないかと、ブタのお世話や地域ででた草を運びながら思うこの頃です。

お肉の発送作業の際、発送するお肉を入れる箱に新聞を敷きながら、ついつい新聞の記事にも目が行きます。「サスシーを食べたい」といったタイトルの投稿には、「サスシー?なんの調味料?」と思い、作業する手が止まりました。読んでみると「サスティナブル(持続可能な)・シーフード」に関心を持った方が書かれていました。サスシーは、持続可能な漁業・水産業で獲られた魚介類で作られた食べ物のこと。2015年に国連サミットにて「環境問題を考慮しつつも経済的に発展し戦争や貧困のない世界を2030年までに作ろう」と掲げた『持続可能な開発目標(SDGs)』の目標の1つ「海洋と海洋資源の保全・持続可能な利用」に基づいて作られた認証マークで、希少種の絶滅や、それによる海の生態系破壊を引き起こさないように・・・水産資源と環境に配慮して獲られた天然の水産物に付けられるものと、環境と社会への影響を最小限にして育てられた養殖の水産物につけられるものがあります。サスティナブルな漁業が存在するのなら、とサスティナブルな養豚は、どのようなものでしょうか?

地域で、食品残差や野菜くずなど人間が食べないもの・食べきれないものをブタの餌に放牧でブタを飼っている私たちが普段意識している「続けることができる」養豚とは、

働く人:
◍病気やケガにならない作業。◍暮らせるだけの収入が得られる。◍お肉を無駄なく生かしきれる。◍「食べる人が喜んでくれる。地域で困っている食品残差や草を活用できる。」など人の役に立っている実感が持てる。◍お肉を使ってくださる方、食べてくださる方との気持ちのいいつながりを保つ。

ブタ:
◍恐怖や不安を感じることにない環境で、ブタらしく鼻で餌を探したり、仲間とスキンシップができる。◍病気やケガにならない、なっても自己治癒できる。◍健康的な質・量の餌・水分を得られる。

環境・周辺住民:
◍糞尿で下流を汚染しない。◍過度に臭いを発生させない。◍周辺の住民や農家に嫌われない。逆に、ブタが近くで飼われていることで、コミュニケーションのきっかけになったり、癒されたり、子どもたちの好奇心を刺激したりなど得るものがある。

脂も好きな方、赤身がいい方、柔らかくないと・・・とお肉を食べる人にも好みがありますが、ウデで作ってもらうベーコン(スモークハム)は私好みだし、しゃぶしゃぶ用にモモの薄切りをご注文くださる方もいらっしゃる。「〇〇には、この部位!」と決めないで、いろいろな部位を楽しんでいただけると、1頭のブタのお肉、いのちを残さず分かち合うことができます。せっかく奪ったいのちを無駄にするような仕事だと、経済的に続けられないし、精神的にも落ち込みます。ご縁を楽しみ、「当たり前」にこだわらないで、あなたの「おいしい!」を探求してほしいなぁという想いをこめて、お肉をお届けします。