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旅人の気分で

◍ 昨年からお母さんブタの入れ替えを進めているのですが、長雨で離乳(十分大きく育った子ブタをお母さんブタから離して育てること)のタイミングを遅らせたり、カラスによく突かれる種ブタをネットのある出産・子育て用の小さな放牧場に避難させているため、小さな放牧場が埋まっていたりで、出産の数を制限しています。そのため、子ブタが足りなく、県畜産試験場から分けてもらっています。自然の環境で飼うので、保温マットや温度管理をしている県畜産試験場から子ブタを連れて来ることができるのは、過ごしやすい春と秋に決めています。寒いと免疫力が下がって病気になるし、暑すぎても体調を崩したら脱水症状で危険だからです。

ゴールデンウイーク前に生後2ヵ月の子ブタを14匹、分けてもらいました。1匹は「最近生育が悪くて…」と売るのをためらっていた子ブタです。私が「兄弟といる方がいいと思うので」と買い取ったのですが、やはり、あまり餌が食べられず衰弱していきました。フラフラでも最期まで兄弟について放牧場を動いていました。

本当だったら、そのブタだけ温かいところで、餌も食べられるものを丁寧に観察しながら与えるべきなのかもしれませんが、群れで行動するブタを兄弟と分けることはできるだけ、特に小さなうちはしたくなかったため、死んでしまったのかもしれません。分けて飼っても、ゆっくり衰弱していったかもしれませんが、私なりにそのブタをブタらしく過ごさせてあげられたと思っています。

◍ 今年もいつの間にか放牧場の近くの畑には八朔の花が咲いています。実の大きな八朔は花も大きく、とても華やかで優しい香りがします。雨で嫌気発酵気味の放牧場の臭いも漂っていますが…(笑)ツバメも、ブタの餌小屋の横の坂道を今年も高速で上ったり下ったり、いつもの初夏です。ただ、ゴールデンウイークが食べごろのサクランボは同じ地域でも実らない木があったり、八朔も全然花がついていない木があったり、植物たちのいつもと違う様子が気になります。

▤ 旅人の気分で

ゴールデンウイーク、体調の悪いブタがいたこともあったり、末っ子が連休が始まる前に高熱を一晩だしたこともあり、いつもの生活。ブタが死んで、死体を肥料にしてくれる香川県の業者さんのところにフェリーで運んだ帰りは、島へ行くフェリーを待つ車が多すぎで乗れなかったし、普段は渋滞しないような島の道路が渋滞しているのに巻き込まれながらゴールデンウイークを感じていました。

家族で夫の母国セネガルに住んでいた私にとっては、この日本での滞在が旅のようなものという感覚で暮らしています。ここ数年、円安・物価高などの影響で、買い物に行くと、値段が高くなっていたり、同じ値段でも量が少なくなっていたり、製造中止になって手にすることができなくなったもの、あまり売れないから店頭に並ばなくなったものなどに気づきます。じわじわと焦燥感も感じているのですが、セネガルでの暮らしを思うと、日本のおしゃれで、ついつい手に取ってしまう・・・衛生的且つ過剰な包装、どれも丁寧に工夫された味・舌触り、温度管理されたところでしか販売できないような商品の数々、季節などの限定品…「なんて贅沢なのだろう!」と感じます。

今、日本の贅沢さを楽しんでいますが、私はセネガルの消費者を意識していないようなパッケージデザインや味、選択肢のすくない実用的な商品配列が自分には合っていると思っています。日本では消費者は受動的でいても十分消費者として忙しいですが、セネガルでは消費者と言っても、自分の目で見て商品の衛生管理をしないといけないし、値段交渉もする。あの販売員からは新鮮な野菜が買えるから~と市場で歩き回る販売員を自分で探し出したり…時間もかかりますが、「もっと(いいものを)もっと(安く)」といった欲を刺激されない、売る立場・買う立場という役を演じながら人と人との交流を楽しめる力の抜け方が心地いい。

日本にいる今、ゆっくり旅行している旅人として眺めると、面白い変化の時代に立ち合えているなと、心の余裕が持て、出会った人と楽しい時間を過ごそうと思えたり、逆にまわりを気にせず自分の主張ができたり、自分が持っているものを活用してベストをつくそうと思えたり。今が楽しくなります。

写真は、最近のフェリーのお供。
●本『さいごはなぜか上手くいくイタリア人』笑えます。著者の目線になり、イタリアにゆっくり滞在した気分を味わえました。
●本『I型さんのための100のスキル』1/3がI型(内向的)と言われる日本人が自分らしく仕事したり、暮らすためのスキルが本とともに紹介されています。私も内向的だから、参考になります。でもわかっていても、今までの思考回路や行動はなかなか変えられそうにありません。
●本『言葉でアイデアをつくる』はまだ手をつけていませんが、これから島も高齢化・過疎化が急激に起こる今、出生数などの数字から未来を予測できるので、行政だけでなく、一人一人が変わらないと暮らしが保てないと感じています。何かできないかなと模索中。