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勘をみがく & 自分が自分にとって信頼できるか

◍ 陽が暮れるのが早くなり、夜の涼しい日がでてきて身体を休めることができます。少し涼しくなるだけで、ブタの水の飲み具合まで違ってきます。本当にのどが渇いていると、餌も食べずに残します。大事な餌の途中に、水入れに水がないか確認に来たりします。人間のように、ほしいものを教えてくれないので、彼らが発する言葉にならない態度や体調を感じることを意識しています。

◍ 今年の夏休みは観光客の姿を多く見かけました。ただ台風のときは、来島をキャンセルされたのか、ホテルにこもっているのか、島民も不要な外出をさけて、道路はとても静か。。。台風接近の予報がでると、島の入江には、強風を避けて多くの船が停泊します。台風のときならではの・・・普段見ることのできない光景です。

▤ 勘をみがく

ブタは体調が悪くても、ほかのブタが餌を食べているなかで餌を食べるふりをします。そこを見逃して治療しないと、餌も食べることができないくらい悪化してから気づくことになり、回復に時間がかかるか手遅れになります。そのため、私たちが餌を運ぶときの(ブタたちの)駆け寄って来る勢いや餌や水を飲む様子、ブタの持っている雰囲気などを気にかけて、できるだけ早く異変を察知したいと思っています。

電気柵に草や倒木があたって漏電しバッテリーがないかどうかも、普段はチェッカーを使って確認せず、餌やりの放牧場滞在中にブタが不注意で電気柵に触れて「(いたっ!)」と上げる叫び声があまりにも聞こえてこなかったら、バッテリーの電気が切れてしまった可能性に気がむきます。そこで初めてチェッカーで電気柵の電圧を確認し、バッテリーを交換。「ただの気のせいだった」ということも多々あります。

違和感を感じたら、慎重に様子を見たり確認して、『ブタや放牧場の異変に気づく勘』をチューニングしていく。ときどき勘が働かず、痛い目にあうことも、勘のチューニングになっているはずです。

ラジオでコンサルタントを仕事にしている方が「仕事を一緒にするパートナーや同僚を選ぶとき大切にしているのは、(今までは自分の基準が分からなかったけど、ようやく言葉が見つかって)ハグできるかどうかだ」と言った意味のことを言っていました。

私も仕事などで違和感を感じる人と付き合っていて上手くいかなかった経験があり、コンサルタントの人は「ハグできるかどうか」と表現したのですが、うまく言葉にするのが難しい「直感」というのは無視すべきではないと感じています。

陸上オリンピアンの為末 大さんも著書『生き抜くチカラ』のなかで『勘や直感は、意外と頼りになる。挑戦と失敗を積み重ねることで、勘や直感はみがかれる。』と書いています。

▤ 自分が自分にとって信頼できるか

日本語サポートしているクラスにフラッと入ってきた男の子から、何だったか忘れてしまったのですが、学校では「してはダメだ」と言われることやってもいいか?と聞かれたことがありました。私は「(それをやることで)自分のことが嫌いにならなんだったら、やってもいいんじゃない?」と答えたのですが、私が伝えたかったことを上手に表現されている言葉に出会いました。

カトリック宇部教会の片柳神父さんがFacebookに投稿された言葉です。『誰も見ていなくても、悪いことはしない。誰もほめてくれなくても、するべきことはする。この2つを守れば、自分を信頼できるようになるでしょう。自分が自分にとって信頼できる人間である。それ以上に大切なことがあるでしょうか。

「自分が自分を信頼できる。」とても深くて大切なことだと思います。私が話した男の子に伝わっていたらいいな、覚えてくれていたら・・・と願っています。