#23　出会いの妙

女子学生が言った。

「 先生って、高校教師時代にboobyって呼ばれてました？」

「えっ！なんだよそれ、新任の時に付けられたあだ名じゃないか！　
なんで知ってるワケ？」

教職の授業で、初任校での事例を話をしたのだ。

それを聞いた学生が、母親の出身校だと気付き、母親にLINEで確認したのだった。

そして母親は、あの時の「あんちゃん先生（ブービー）に違いない！」となったわけである。

うむー、３７年前の教え子の娘が大学に潜伏していたなんて！

母親の旧姓を教えてもらったら、すぐに思い出した。

声も顔も、成績も優秀だったことも、全部、全部覚えているよ♪

うーん、こりゃ悪いことできないな。
いや、悪いことなんてしないけど････

いくらブービー（パーマン２号＝チンパンジー）に似ているとはいえ、自分の地位が急降下したような気分になるのは悲しい。

人類は進化しているのに、今の私は自分だけ類人猿へと退化していく恐怖を味わっている。

朝、目が覚めチンパンジーになっていたらどうする？

キャンパス内を歩いたら、「チンパンジーがうろついています！」と通報されるのだろうか。

私は叫ぶだろう。
「いや、私は教師だ！いやいや、その前に私は人間だーっ！」

捕獲されないよう学内を逃げ回ることになるのだろうか。

「頼む、見逃してくれ！」

悪夢だな。