#51 ぶんぶんぶん はちがとぶ
授業中、「ブーン、シャカシャカ、ブーン、ブーン」という音がすると思いながら解説していたら、学生が言った。
◆学生 「あっ、蜂です。窓に大きな蜂がいます!」
◆私 「スズメバチか? いや違う、これはマルハナバチだな。
大丈夫、落ち着け、落ち着け、落ち着くんだ、どうする?
集中、集中! こういう時は集中して考えるんだ!」
授業プリントの残部を見て思い付いた。
プリントをクルクルと丸めて円錐状にした。
窓ガラスにへばりついている蜂を円錐の中に入るよう追い込んだ。
「よーし、いい子だ、ここに入るんだぞー
いいぞ、いいぞー、よし入ったぁ!
今、外に逃がしてやるからな」
窓を開けて外へ逃がすことに成功。
固唾をのんで私の行動の一部始終を見守っていた80名の学生たちは安堵したのか、「おーっ!」という声を漏らしたり、拍手をする者までいた。
私は何事もなかったかのように、パワーポイントのページを送りながら、「不登校とひきこもりの現状と課題 ― その対応の在り方」についての解説を再開した。
毎回授業の残り10分間で、意見や感想を書かせている。
「さあ、最後に例のアレ、書こうか」
私に対する批判、悪口、誹謗中傷は書かないように口を酸っぱくして言っている。
あるいは、イケメンであるとか、カッコイイとか、センセー素敵!とか、そういう見た目の私の真実や、ルッキズムに偏った思いを正直に書いて点数を稼ごうなんて魂胆もやめなさいと耳にタコができるほど伝えている。
回収後、研究室へ戻ってから読んでみた。
「ハチの処理ナイスでした。私も教師になったら先生みたいにクールに対応できるようになりたいです」
「今日は緊急対応時の心構えについてとても勉強になりました」
「緊急事態の時の自分への言葉掛けが大切なことを学びました。ありがとうございます」
こんな意見、感想ばかりが目立った。
いやぁ、不登校やひきこり問題はどうでもいいんかーい!