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#151 面白半分日記31 読書日記25 近頃の若いモンときたら

『私たちは子どもに何ができるのか』
ポール・タフ (著)  高山 真由美 (翻訳)

「やり抜く力」「好奇心」「自制心」・・・・
人生の成功を左右する力の育み方を、最新の科学的根拠、エビデンスに基づいた先進事例から解き明かした書である。

常につきまとう問題がある。

幼少期の親子関係のストレスをどうすれば和らげることができるのか?

問題行動のある子どもがいるクラスの成績を上げるにはどうすればよいのか?

自信のない生徒のモチベーションを高めるには、どんなフィードバックが有効なのか?

非認知能力を伸ばすために何をすればよいのか?

日がな一日ダラダラ、ゴロゴロしていたい私はダメ老人のままなお老いていくのか・・・・といった諸々の問題だ。

ネガティブなことばかりをあげつらって嘆いていてもしょうがない。

「近頃の若いモンは・・・・」と人々が口にするようになったのは、おそらく、言語や教育らしきもの(知識・技術の伝達方法)を生み出したホモ・サピエンスからであり、10万年たった今も同じことを言っているのだろう。

近頃の人類は全然進化していないのか?

チンパンジーに似ている私も、一応はホモ・サピエンスに分類される。
こう見えて、教師として教え子達に向ける眼差しはどうあるべきかということを真剣に真摯に深く誠実に考えることが50年にいっぺんくらいある。

そんな私だから、近頃の若いモンである学生たちから「近頃のジジイはろくなもんじゃないな」と言われているに違いない。

私は30代前半まで昭和の時代を生き抜き(息抜きではない)、1986年頃から始まった空前の好景気であるバブル経済の恩恵を受け、それがわずか4年程度で崩壊し、そこから「失われた20年」を息抜き・・・いや、生き抜き、さらに2008年のリーマンショックを経験し、そこから復活の10年を過ごしてきたのである。

今やSDGsが世界のキーワードになっているものの、事は簡単ではない。

2030年までに達成すべき169の達成基準と232の指標はどうなるんだ。
あと7年?
何ひとつ‥‥

大人たちが生み出した負の遺産を自らの手でカタをつけることができず、あらゆる課題を今の若い世代へパスするのは申し訳ない。

時の政権(国家)がつくりあげた巨大システムに依存する経済が破綻しそうな現在、新たな動きとして、「共同体自治」「自立的経済」という考え方が台頭している。

簡単にいえば、権力が集中する都会に頼らず、地方創生・共創をめざそうということだ。


■近頃の若いモンときたら

今年度は高校10校に招かれて、延べ40本ほどのプレゼンを審査・講評してきた。

いま、小中高校では「総合的な学習の時間」(高校は「総合的な探究の時間」)を通じて足下を見つめ、自分たちに何ができるか、何をやるべきかを考える学習に取り組んでいる。

「グローバル」から「グローカル」へと向かい、地に足をつけた取り組みが動き出したのだ。

政治に目を向け
「民主主義は死んだ」
「現政権与党に期待できるものはない」
「財務省の闇は深い」
という声は多い。

しかし民主主義とは、自己の選択(選挙や自治活動への参加)に責任を持つことである。

町内会が立ちゆかなくなっている事例も多いらしい。
町内自治が脆弱だと、災害時、緊急時に困るのは住民だ。

批判ばかりしていては前へ進めない。

まだ時間はかかるかもしれないが、学校教育では主体的に自分で選んだヒト、モノ、コト、情報に対して自ら責任を持つことの大切さを学ぶ学習が展開されている。

引き受けて責任を持とうよ」と言える若いモンがどんどん増えていくのは喜ばしいことだ。

これが高校生のプレゼンで実際に語られているのだから、参観した私は感嘆するしかない。

感嘆するのは簡単だ・・・・

駄洒落など言っているとまた「近頃のオッサンは・・・・」と言われるので、ちゃんと助言しなければいけない。

まったくもって近頃の若モンは・・・・・立派だな!

「それってあなたの感想ですよね? ハイ論破!」

小中学生たちが、そんな台詞を連発し先生や親を困らせる場面もあるという。

見せかけの論破はやがてメッキが剥がれる。

コミュニケーションや人間関係の本質を学んでほしい。

それは私の感想か?

さて、来週の高校生プレゼンは、審査員として何を審査し、どう講評するかが問題だ。

まったく近頃の私ときたら・・・・・