剣道の起源は韓国!? 韓国人剣士にインタビューしてみた!!
先日TBSテレビ『あさチャン!』の中で第17回世界剣道選手権大会で日本が優勝したことが取り上げられたみたいですね!
日本代表チームは男子個人、男子団体、女子個人、女子団体の全部門で優勝を飾るという素晴らしい活躍を収めました。
特に今大会は30年ぶりに韓国での開催だったので、日本の最大のライバル韓国のホームで試合が行われるという、日本からすると厳しい環境でしたが、
今回も優勝を勝ち取り、TBSテレビ『あさチャン!』で取り上げられたという経緯ですね!
剣道ファンとしては大変喜ばしいことなのですが、
一方、特集の中で「大韓剣道会」範士八段イ・ジョンニム会長が「剣道の起源は韓国である」という趣旨のコメントを残して、ツイッターでも話題になっていました。
「剣道は韓国の刀の文化が日本に伝わってできた」とか…?
この発言には日本の剣道ファンの方々も黙ってはいられないのではないのでしょうか!
ツイッターを見ていたところ、様々な意見が見られたので少し紹介したいと思います。
※これらのツイートは発信者の許可を得た上で掲載しており、内容はあくまでも、それぞれの個人的見解であることをご理解ください。
剣道の起源の他にも、韓国は剣道の代わりにコムド(KUMDO)をやっているという情報もありました。
日本で剣道をされている方の中でも、コムドというワードを始めて耳にした人は少なくないかもしれません。
実は私は今、アメリカのアイオワ大学に留学していて、私も7歳から剣道を12年間続けてきたので、留学中も剣道をやりたい!と思って大学に連絡してみたんです。
そしたらなんと、アイオワ大学にも剣道部がある!というメールが僕のもとに届きました。
しかし、内容をよく読んでみるとそこには「KUMDO CLUB」の文字。
最初は何かの間違いかと思っていましたが、よく調べてみると、韓国では剣道の代わりにコムドをやっていることが判明。
色々混乱しながらも、そのKUMDO CLUBに参加しました。
実際に稽古に参加してみると、掛け声の違いなど少し剣道と異なるところもあったのですが、
僕が想像していたような『剣道とは全く違うもの」ではありませんでした。
「むしろ、ほぼ同じなのではないか?」というが、私が初めてコムドクラブの稽古に参加したときの感想でした。
また、世界剣道選手権大会での韓国の剣道も話題になりましたね。
一部からは「韓国の剣道は美しくない」というような意見もありました。
男子団体決勝では、韓国の選手が審判に強くアピールしたり、しきりにタイムをかけて試合を中断させるといった行為があり、
今、剣道ファンの中で、韓国の剣道事情に注目が集まっています。
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今回、私が参加しているコムドクラブの繋がりで、韓国の剣道事情に詳しい、韓国人剣士にインタビューする機会を頂きました!!
剣道の起源、コムドの正体、世界剣道選手権大会での韓国の剣道など、みなさんが気になるところを聞いてきたので、ぜひ最後までお読みください!
早速インタビューの記事をご覧いただきたいのですが、
まずはじめにお願いがあります。
このトピックは非常に触れづらいものでもあります。
そのため、今回インタビューをさせていただいた方の名前は伏せさせていただきます。
そして、このインタビュー記事はあくまで一人の韓国人の剣士の見解であり、韓国を代表するような意見ではないことを深く理解していただくようにお願い致します。
もう一つ、今回のインタビューは情報の誤解がないようにメールを通じて行っています。英語でのやり取りなので、私の方で翻訳をしています。私の英語力は完璧ではないですが、内容の誤解がないように確認をしながら書いていきますので、お願い致します。
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それでは、インタビューの記事をご覧いただきましょう!
スズキ「それでは、始めていきましょう。まず初めに私の自己紹介をさせてください。私は日本で12年間剣道をやってきて、剣道三段です。現在はアメリカに留学しており、留学先大学のコムドクラブの稽古に参加させてもらっています。
では、自己紹介と、自身の剣道のバックグラウンドを教えてもらっていいですか?コムドに詳しいと聞いているのですが、いつ剣道を始めて、どのくらい続けているのでしょうか?」
S.H.「S.H.です。私は剣道を18年間やってきて、剣道四段です。韓国で剣道をやってきました。10年前くらいに3度東京に稽古に行きました。今はアメリカの剣道クラブで稽古をしています。」
スズキ「ありがとうございます。では、まず先日韓国で行われた世界剣道選手権大会についてお聞きします。毎大会、韓国は日本のライバルですよね。最終的には、今年は日本がすべて優勝を勝ち取るという結果でしたが、韓国も劇的に力をつけてきていると思います。今大会についてどのように思いますか?意見を聞かせてください。」
S.H.「インターネットでライブを見ていました。全体的に日本チームは韓国チームより強いと思いましたね。男子決勝は私も興奮して見てましたが、賛成できない判定があったと思います。
世界剣道選手権大会が行われるたびに、偏った判定が韓国で問題になっています。しかし個人的には、日本チームにも誤審によって不利になったところはあったと思います。
正しい判定がされていれば、もっと美しい試合になったかもしれませんね。その点から考えると、今大会は残念でした。」
スズキ「なるほど、面白いですね。私も男子決勝には誤審があったと思います。いい試合のためには、正しい判定が不可欠ですよね。これは世界剣道選手権大会のひとつの課題だと思います。
男子決勝の大将戦について話したいのですが、日本の安藤翔選手と韓国のJin Yong JO選手の試合です。状況としては、2(日本)-1(韓国)だったので、JO選手が安藤選手に勝たなければいけませんでした。見ていてわかる通り、安藤選手は最後引き分けにしようとしていましたね。
あの大将戦は剣道として美しくないという意見もあるのですが、私はあの試合は仕方ないと思っています。お互いに勝たなければいけないですからね。最後の大将戦に関してはどう思いますか?」
S.H.「どちらの意見も正しいと思います。美しい試合ではなかったですが、あれは戦略のひとつとも考えられますよね。
しかし、これは安藤選手の責任ではないと思います。実際、審判がもっと厳しく反則を取ることで防げたと思うので。」
スズキ「完全に同じ意見です。どちらの選手も戦略的には正しかったですよね。これも審判によるので、そう考えると審判は本当に重要ですね。
さて、次のトピックに移りたいのですが、これはいちばん話したいトピックです。数日前、日本のテレビ番組で世界大会が取り上げられました。そこで韓国の剣道の先生が『剣道はもともと韓国起源である。韓国の刀の文化が日本に影響を与えたんです。』という発言をしていました。
全日本剣道連盟によると、『剣道は日本の武士の生活の中から生まれた日本独特の文化である』『剣を扱う技術は世界の各地で生まれ、確立されてきました。しかし、その中で、われわれが行っている剣道とは、(中略)日本で育った歴史的背景をもった剣道を指しています。』というコメントがあります。
剣道の起源についてはどう思っていますか?彼が言っている『剣道は韓国起源である』ということに賛成ですか?」
S.H.「全く賛成できません。過去韓国がどの程度日本の刀の文化に影響を与えたのか正確にはわからないのですが、その影響が大きかったとしても、剣道は日本固有のものだとみなすべきですね。防具を作ったのも、精神性といったものも、ルールも、作ったのは日本ですからね。
私の知っている限り、韓国の経験を積んだ剣士たちのほとんどが私と同じ考えです。剣道が韓国起源だと主張しているのはKorean Kumdo Associationと深く繋がっている一部の先生だけですね。」
※おそらくKorean Kendo Associationは「あさチャン!」で名前が出ていた「大韓剣道会」のことだと思いますが、正確には分からないので英語表記のままにしています。
スズキ「なるほど。韓国の剣士のほとんどが、剣道は日本起源だと考えているのには驚きました。多くの日本人は、韓国人は全員が誤解していると思っていると思います。その誤解が解けるといいです。
S.H.さんが言ったように、韓国には剣道の代わりにコムドがありますよね。これもまた日本の剣道ファンに中では話題になっているんですが、なぜ韓国では剣道の代わりにコムドをやっているのですか?また、剣道とコムドに違いはあると思いますか?もしあれば、詳しく教えてください。」
S.H.「まず初めに、コムドというのは「剣道」という漢字を私たちがそのように発音したものです。柔道は「Yudo」と呼んでいます。
内容的には次のような違いがありますね。
①韓国の用語を使用する
②紅白の旗の代わりに青と白の旗を使用する
③蹲踞をしない
④腰板のない袴を着用する
⑤段審査では韓国の伝統的な刀の形を行う。
⑥国旗に敬礼する
形の上ではこれらが違いになりますね。もちろん重要な点です。
しかし、このような違いは当初は存在せず、徐々に変化していったものなんです。15年前私が子どもだったときは、普通の袴を使っていましたし、審判旗も紅白のものを使っていました。韓国がこのような剣道をしている理由としては、ただ協会がそのように求めたからなんです。例えば、通常の袴では公式の試合に出場できないとかですね。
韓国がこのように歴史をゆがめる基本的な理由は、韓国剣道のシステムとその経済圏が原因です。韓国では、日本のように剣道が人気ではなく、警察や地域での剣道のサービスが充実していません。韓国で剣道のマーケットを拡大させようという方針の一部で、協会が剣道を変化させていきました。
たとえば韓国では、剣道に特化した少数のプロアスリートたちが引退後に、私営で剣道アカデミーを運営しています。この私営の道場のメインのお客さんは子供たちです。もし子供が剣道を学ぶとすれば、韓国の親の多くは日本の道場の代わりにテコンドーアカデミーに入れさせます。
以上が非常に簡略化した説明ですが、私はこれが理由だと思います。」
スズキ「そうなんですね。初めてコムドクラブに参加したときは、用語の違い以外は区別がつかなかったので、他の違いは面白いなと思います。
おっしゃったように、韓国では日本のように剣道が人気ではなく、警察や地域のサービスが充実していないということですが、つまり、韓国には道場や警察の特練のような剣道の団体が少ないということでしょうか。」
S.H.「そうですね。日本と比較すると、韓国には剣道の団体は少ないです。
プロチームは男子がいくつか、女子は少数です。プロチームの中のごく一部が警察官として採用されます。ほとんどの人はその後アマチュアの方をターゲットにした私営の道場をやっていますね。韓国の剣道人口は50万人ほどとされていますが、実際積極的にやられている方はもっと少ないでしょう。」
スズキ「あと、先程もし子供が剣道を学ぶとすれば、韓国の親の多くは日本の道場の代わりにテコンドーアカデミーに入れさせるとおっしゃいました。
韓国の剣道事情には詳しくないのですが、韓国では剣道ができる団体が少ないので、もし子供が剣道を学ぶとすれば、親御さんは特定の団体に子供を入れるということでしょうか?」
S.H.「歴史的な問題で、日本は韓国を占領していたので、全員ではないですが、多くの韓国人がまだ日本に対して敵対的な感情を持っています。そのため、道場を運営している協会や先生方が、剣道は日本起源のものと公に認めてしまうと、顧客の大部分を失ってしまうリスクがあるからですね。(テコンドーは代表的な韓国の武道です。)」
スズキ「なるほど。この問題は韓国の剣道ビジネスの側面と、過去日本が韓国を支配していたという歴史的側面が関連しているようですね。
韓国には、経済学部や理学部と同様に"剣道学部"がある大学もあると聞きました。学生は剣道にフォーカスしているようですが、それは本当なんですか?」
S.H.「そうですね。剣道専攻がある大学もあります。そこの学生は卒業後プロチームに入ることを目指しています。
韓国の大学剣道トーナメントは二つの部門に分かれていて、一つはプロの剣道選手、もう一つは私のようなアマチュアの選手です。二つの部門ともある学校もあります。一つ目の部門にいる人の多くは体育を専攻しており、剣道を専門にしている人もいますね。」
スズキ「それは非常に面白いと思います。日本にとっても新鮮ですね。日本の大学に剣道専攻があるのかは分かりませんが、一般的に多くの大学生の剣道選手はスポーツを専攻し、部活として剣道をやっています。もちろん、部活のレベルはかなり高いです。しかし、剣道専攻の学生がいるとは、韓国の剣道はこれからも急速に伸びそうですね。
それでは、今回のインタビューはここで終わりたいと思います。インタビューを受けてくださって本当にありがとうございました。このトピックについて話すことができて、嬉しいです。より深く剣道を学ぶことができました。
最後に、剣道は未だ世界で大人気とは言えない競技だと思います。私の意見としては、日本と韓国が剣道界を引っ張っていく国だと思っています。だからこそ、日本と韓国が剣道の成長のために共に力を合わせていくことを望んでいます。今後の剣道界に関して何か意見はありますか?」
S.H.「 ありがとうございました。とても面白かったです。私も剣道が将来的にもっと広く知られ、多くに人に楽しまれるものになることを望んでいます。そして、韓国がその過程の中で前向きな役割を果たすことを願っています。
加えて、『剣道が韓国のものだ』と主張した韓国人がいたことに関してお詫びしたいと思います。どんな事情であれ、あの行為は他国の文化をリスペクトしていなかったと思います。私を含む多くの韓国人の剣道家たちは、その意見に対しては批判的に考えています。
このインタビューが隠された事実を皆さんと共有できる良い機会になることを願っています。」
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まとめ
以上、「剣道の起源は韓国!? 韓国人剣士にインタビューしてみた!!」でした。
今回、名前は伏せさせていただきましたが、韓国の剣道事情を丁寧に説明してくださったS.H.さん、本当にありがとうございました。
私も知らなかった事実をたくさん知ることができて勉強になりました。
「あさチャン!」での特集を受けて、今回の記事を書くに至ったわけですが、
「大韓剣道会」の会長が言っていることを、韓国全体の考え方として捉えてしまった方は少なくないと思います。
今回のインタビューでも話があったように、剣道が日本の起源であると認めている韓国人は少なくないようです。
コムドに関しても、おそらくこの「大韓剣道会」の影響がかなり大きいのではないかと思います。
剣道とコムドに大きな違いはありませんが、やはりコムドという剣道とは別のものを一つの競技として確立させたいという気持ちがあるのではないかと個人的には思います。
しかし、それは単なる嫌がらせではなく、日本と韓国の歴史的背景にも起因していると考えられます。
いずれにせよ、剣道は世界的にはまだ発展途上の競技だと思います。
将来的には、日本と韓国が協力をして、剣道界が世界の枠でさらに盛り上がっていくことを期待しています。
今回の第17回世界剣道選手権大会では、日本が全部門優勝という輝かしい成績を収めました。
3年後の第18回世界剣道選手権大会が楽しみです。
最後まで読んでいただきありがとございました!
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