澤地久枝、半藤一利、戸高一成『日本海軍はなぜ過ったか』より

”当時の海軍士官の多くは「実は戦争には反対であり」「戦えば必ず負ける」と考えていたにもかかわらず、組織に中に入るとそれが大きな声とはならずに戦争が始まり、間違っていると分かっている作戦も、誰も反対せずに終戦まで続けられていった、という実態である。
そこには日本海軍という組織が持っていた体質、「縦割りのセクショナリズム」「問題を隠蔽する体質」「ムードに流され意見を言えない空気」「責任の曖昧さ」があった。”(藤木達弘ーNHK大型企画開発センターチーフ・プロデューサー「はじめに」ⅶ頁)

”他の組織に聞いてもおよそ、失敗についてきちっと反省をして、文書に残して、これはこういうところが間違っていたと後の人に伝える、ということをしていませんね。日本の組織は、不思議なくらい、しませんね。
勝利体験というものは、みんなして誇って、それを伝えますけれど、失敗体験というものは、これは隠します。責任者が出るということを嫌うんですね、日本の組織は。”(半藤一利「5 海軍反省会が伝えるもの」116〜117頁)