カミュ全集5『戒厳令、正義の人びと』より

”私は現代の連帯責任者であるから時代を高所から裁く権利はまったくない。裁くとすれば内側から、時代と一体になってである。しかし私は己や他人について確実に知っていることを言う権利は保留する。それは世界の耐えがたい不幸になにかをつけ加えるためではなく、われわれが手さぐりしていいる暗い壁に扉が開かれるかもしれない未知の場所を指示するためである。そうだ、私は自分の知っていることを言う権利を保留する。そして私は発言するだろう。私が関心をもつのはただ新生(ルネッサンス)だけである。”(「反抗に関する手紙 6反抗とローマン主義」232〜234頁)