七月大歌舞伎 熊谷陣屋 牡丹燈籠

奥様に連れて行ってもらいました七月大歌舞伎夜の部。歌舞伎座。

海老蔵の熊谷陣屋と猿之助+玉三郎+中車+ちょっと海老蔵の怪談牡丹燈籠という豪華キャストで、客席は女子~おばさん~おばあさん率がいつもにも増して高め。

ただ海老蔵の熊谷は初役ということもあってか、前にみた吉右衛門の熊谷に比べるとたいぶ安定感というかスケール感に欠ける感じ。 

熊谷陣屋の内容は、

・熊谷は今は源氏方だがもともと平敦盛の母である藤の方に世話になった男だった。

・彼は一谷の合戦で藤の方の息子敦盛を打ち取ったことにして、

 初陣だった自身の息子小次郎を打取り、身代わりとして首を取る。

・それが源義経の指示でもあった。

・藤の方の子というだけでなく、敦盛は後白河天皇の落胤だったから

…というお話。

つまり「”天皇陛下のために"で完全に思考停止出来た第二次大戦当時の日本人」から「李明博の天皇謝罪要求が出た瞬間、憑き物が落ちたように韓流から快調に距離を置き始めた日本の大衆」にまで連なるような天皇と日本人の関係を描写する、日本人とは何か?を描く演目。

というような本質にかんする理解が、今のところの海老蔵はゆるいんで、なんか落ち着かないのかもしれません。

牡丹燈籠は、前半、ホラー映画のビデオを自宅で突っ込みまくりながら観るような楽しさ。歌舞伎役者としての訓練を一切受けてない中車(香川照之)が主演の一人ですが、後半は中車と玉三郎の夫婦のありようが活き活きとしていて引き込まれます。牡丹燈籠みたいに明治以降成立した演目だと中車も活躍できるようです。御曹司でもなんら得意分野のないひとっていますし、頑張って欲しいと思いますけれども。