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ヘリコプターマネーでなぜ悪い。5.企業の座礁資産対策。

近年、第三次産業革命という経済的変化が起きるようになり、座礁資産というリスクが問題になっている。

たとえば、火力、原子力発電施設は、風力、太陽光発電のような再生可能エネルギーの台頭によって存亡の危機にさらされている。
風力、太陽光発電は、燃料費ゼロで発電できるが、火力、原子力発電は、LNG、石油、石炭、核燃料などの燃料を燃やさねば発電できない。
燃料費ゼロの再生可能エネルギーには、いずれ太刀打ちできなくなるだろう。

しかし、一歩、電力会社、金融機関、多額の税金を投入している国にとっては由々しき問題である。
このまま風力、太陽光発電が進展し、火力、原子力発電施設が座礁資産となれば、その損失によって、下手をすれば電力会社は債務超過になる可能性がある。
また金融機関は、原子力関連企業に多額の貸付を行なっている。
もし、このまま火力、原子力発電施設が座礁資産になれば、融資が焦げ付く可能性がある。
国も国費で原子力発電政策を進めており、ここにも座礁資産が発生する。

そこで、これを救えないか?と考えたのが、バランスシート分割による、火力、原子力関連企業の救済策である。

設例・ある電力会社は、5兆円の、火力、原子力発電施設、核燃料を保有して、政府により座礁資産と認定された。
電力会社は、5兆円の火力、原子力関連発電施設に係る長期借入金等がある。
電力会社は、座礁資産関連施設の長期借入金等の徳政令を申請し、受理された。

まず電力会社の座礁資産、長期借入金等、金融機関等の長期貸付金等を旧円処理する。
電力会社は、座礁資産を旧円に振替える。
(火力、原子力関連固定資産)4.3兆旧円/(火力、原子力関連固定資産)4.3兆円
(核燃料)0.7兆旧円/(核燃料)0.7兆円

次に、電力会社の長期借入金等、金融機関等の長期貸付金等を旧円に振替える。
電力会社
(長期借入金等)5兆円/(長期借入金等)5兆旧円
金融機関等
(長期貸付金等)5兆旧円/(長期貸付金等)5兆円

金融機関等は、電力会社に債務免除の通知を行う。
電力会社
(長期借入金等)5兆旧円/(債務免除益)5兆円

金融機関等
(債権償却損)5兆円/(長期貸付金等)5兆旧円

電力会社は、債務免除益で、火力、原子力発電関連施設の固定資産を消去する。
電力会社
(債務免除益)4.3兆円/(火力、原子力関連固定資産)4.3兆旧円
(債務免除益)0.7兆円/(核燃料)0.7兆旧円

金融機関等は債権償却損で、貨幣創造を行う。
金融機関等
(現金預金)5兆円/(債権償却損)5兆円

これによって、電力会社の火力、原子力関連固定資産と核燃料の固定資産を全部消去することができる。

また金融機関等は、長期貸付金等を回収でき、債権が焦げ付く危機性はなくなる。

火力、原子力関連固定資産の金額がバランスシートから消えれば、減価償却費の計上が不要になり、電気料金の大幅な引き下げが可能になる。

この処理のポイントは、金融機関等の債権償却損を貸方に持ってゆき、借方で貨幣創造により、現金預金に替えてしまう所にある。

現行の法令で、この仕訳が認められているか否かは分からないが、もし、この仕訳が可能になれば、金融機関等は、不良債権を債権償却損に振替え、この債権償却損で貨幣創造を行うことが可能となり、金融機関等の債権貸倒れリスクはゼロになる。

設例・A社はB銀行から1億円を借り入れ設備投資を行なったが、事業環境の変化で座礁資産となった。
A社は、政府に借入金1億円の徳政令を申請、受理された。

B銀行の徳政令と、貨幣創造の仕訳は、以下の通り。
B銀行の徳政令
(債権償却損)1億円/(長期貸付金)1億旧円
B銀行の貨幣創造
(現金預金)1億円/(債権償却損)1億円

ーーーー

また、政令で、座礁資産になりそうな固定資産を定めて、ピンポイントで、バランスシートの分割を行なえるようにしたら良いかもしれない。

火力、原子力発電施設の他、化石燃料企業の精油施設、タンカー、配送施設、給油所、タンクローリーなども、再生可能エネルギー100%になれば、座礁資産になる。
電気自動車が普及すれば、内燃機関自動車のエンジン、変速機などのメーカーや下請け企業の固定資産が、座礁資産になる可能性が大きい。

たとえば、エンジン関連固定資産が国により座礁資産と認定された場合。仮にエンジン関連固定資産の簿価と、関連の長期借入金が一致した場合。

企業、エンジン関連固定資産100億円を旧円に振替える。
企業
(エンジン関連固定資産)100億旧円/(エンジン関連固定資産)100億円

企業の長期借入金、金融機関の長期貸付金を旧円に振替える。
企業
(長期借入金)100億円/(長期借入金)100億旧円
金融機関
(長期貸付金)100億旧円/(長期貸付金)100億円

金融機関は、企業に債務免除の通知を行う。
企業
(長期借入金)100億旧円/(債務免除益)100億円
金融機関
(債権償却損)100億円/(長期貸付金)100億旧円

企業は、債務免除益でエンジン関連固定資産を消去する。
企業
(債務免除益)100億円/(エンジン関連固定資産)100億旧円
金融機関は、債権償却損で貨幣創造を行う。
金融機関
(現金預金)100億円/(債権償却損)100億円

ーーーー
次に、エンジン関連固定資産の簿価が100億円あるが、無借金経営の場合。
貨幣創造代行の措置を取る。

まず、エンジン関連固定資産を旧円に振替える。
企業
(エンジン関連固定資産)100億旧円/(エンジン関連固定資産)100億円

次に、エンジン関連固定資産の簿価を貸方に移し、固定資産償却損を借方にたてる。
企業
(固定資産償却損)100億円/(エンジン関連固定資産)100億旧円

これによって、エンジン関連固定資産は消える。
次に、金融機関に貨幣創造代行を依頼する。代行金額の0.5%を金融機関に手数料として払う。
企業
(振替勘定)100億円/(固定資産償却損)100億円

金融機関
(固定資産償却損)100億円/(振替勘定)100億円

金融機関は、貨幣創造を行う。
金融機関
(現金預金)100億円/(固定資産償却損)100億円
金融機関は手数料を天引きした現金預金を、企業に振替える。
金融機関
(振替勘定)99.5億円/(現金預金)99.5億円
(振替勘定)0.5億円/(受取手数料)0.5億円

企業は、手数料を差し引いた金額を受領する。
企業
(現金預金)99.5億円/(振替勘定)99.5億円
(支払手数料)0.5億円/(振替勘定)0.5億円

これで、企業は99.5億円を取り戻すことになる。

ーーーー
次に、債務免除益が125億円で、エンジン関連固定資産が100億旧円だった場合。
企業
(債務免除益)100億円/(エンジン関連固定資産)100億旧円
(債務免除益)25億円/(資本金・固定資産償却繰延)25億円

差額の固定資産償却繰延は、資本の部に属し、新規購入の固定資産を消去するのに使われる。

設例・バランスシート分割後、自己資金で、1億円の固定資産を購入した。
(固定資産)1億円/(現金預金)1億円

資本金・固定資産償却繰延1億円を取り崩して、新規購入した1億円の固定資産を消去した。
(資本金・固定資産償却繰延)1億円/(固定資産)1億円

ーーーー
次に、債務免除益が95億円で、エンジン関連固定資産が100億旧円だった場合。
企業
(債務免除益)95億円/(エンジン関連固定資産)95億旧円
(固定資産償却損)5億円/(エンジン関連固定資産)5億旧円

5億円の固定資産償却損は、金融機関に貨幣創造代行を依頼する。
企業
(振替勘定)5億円/(固定資産償却損)5億円
金融機関
(固定資産償却損)5億円/(振替勘定)5億円

金融機関は、貨幣創造代行を行う。
(現金預金)5億円/(固定資産償却損)5億円

貨幣創造した金融機関は、手数料0.5%を天引きして、残額を企業に振替える。
金融機関
(振替勘定)4億9750万円/(現金預金)4億9750万円
(振替勘定)250万円/(受取手数料)250万円

企業
(現金預金)4億9750万円/(振替勘定)4億9750万円
(支払手数料)250万円/(振替勘定)250万円

以上が、私の考える座礁資産対策である。
貨幣創造代行で返金されたお金は、これから普及する電気自動車製造施設や再生可能エネルギー関連施設などに投資すれば良いだろう。

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