「カネはアンティーク・コインにぶち込め!」(加治将一著、東洋経済新報社刊)

 某有名古本チェーン店の店頭で偶然見つけて手に取ってみて、パラパラと中をめくってみた。もともとアンティークやコインには興味があるほうだし、歴史関係もそれなりに興味を持って見たり読んだりしているほうだが、著者の名前は聞いたことがなかった。カバー袖の著者紹介を読むと、ベストセラーとなった著作がいくつもあるかのように書いてある。それを見て、少々キナ臭さを感じる。ちょっと購入を考える。


 発行は2012年5月だからわりと古いが、株や不動産とは別の投資手法を検討していたところだったので、結局のところ、後学のためとばかりに購入を決定した。

 さて内容であるが、結論から言うと、少しずつでもいいからアンティーク・コインを買い進めろ、ということである。購入するコインさえ間違えなければ、将来において損をすることのない有益な投資だというのである。

 確かにそんな気がしないでもない。アンティーク・コインが好きで、とりあえず買うならいいモノを。何十万円もする高価なコインを買う必要は必ずしも無く、投資する単価は自分のペースで決められる。アンティーク・コインのことをこれから勉強するにしても、面白い投資かもしれない、と本気で思う。

 ただし、本書はしばしば脱線する。社会に対して何か恨みでもあるのか、話の流れがアンティーク・コインからしばしば外れ、世間一般に対する著者独自の見解を開陳し始める。そこだけ飛ばし読みしたくなる。でもきっちり読まないと気が済まない性格なので、やっぱり読む。

 やがて、コインについて解説したり紹介したりするページに出くわすと、これはやはり参考になる。特に、まだ慣れていない初心者がコインショップ(コイン・ディーラー)を選ぶ際には注意が必要で、具体的なチェックポイントも紹介されており、これはアンティーク・コインだけでなくビジネス全般で使えそうな気がする。

 ということで、新しい投資商材を探している方、不動産業界は信用できない人物ばかりだと思っている方など、知見を広げるためにも面白いのではないか。

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