続・Deal の件

 昨日の「Deal の件」に続き、Deal についてもう少し書いてみたくなった。

 前回の内容は、大型家具の取引を希望する人物、S氏についてであった。こちらは価格交渉OKの看板を掲げているものの、あたかも「値下げ要求を受け入れろ」と主張しているかのようなヒトとの取引はご免こうむる、というような趣旨だった。

 今回は、「一見丁寧な物腰だが、取引不成立と分かると最後にすべてをぶちまけてくるタイプのヒト」について書いてみよう。

 問い合わせてきたのは市外の人である。仮にR氏と呼ぶことにしよう。「ものすごく欲しいのですが…」と極めて低姿勢なスタートであった。

 実際のところ、この時点で黄信号である。

 なぜなら、商品自体は貴重でもなんでもないごくありふれたもので、金額もワンコイン程度の商品であるにもかかわらず、「ものすごく欲しい」などと大げさすぎる表現を最初から使っており、どこか必要以上に作為的に感じるものがあるからだ。

 さて、このR氏とやり取りを進めてみたところ、取引のスケジュールがいまいち合わない。お互いのスケジュールが合わないのはある程度やむを得ない面はあるが、いつまでに取引を完了するつもりでいるのか、相手の考えがどうもよくわからない。いつになるかわからないが、受け取りできそうになったらその時に、みたいなことも言い始め、あたかも期限を定めない取引でも始めるかのようである。

 本人が最初に言っていたように「ものすごく欲しい」のなら、さっさと取りに来ればいいはずである。

 すると相手がここで、値下げの話を切り出してきた。

 この点、私がわからないのは、取引が成立するかどうかもわからない状況であることが「判明」しつつあるこの時点で、あえて値下げ交渉を始める意義である。
 
 取引が成立するかどうかも怪しくなってきている状況で値下げの話など切り出すくらいなら、その前に取引する意思があるのか、いつまでに取引するつもりでいるのか、まずその意思を見せて欲しい、と思うのが自然ではないだろうか。はっきりしないならこちらから断ろうかなと思っている相手に値下げの話などしても、値下げについての議論など成立するわけはない。

 実際、私はそのように回答した。そもそもいつ取りに来るのか、あなたまったく決めようとしないでしょ、取りに来ない相手と金額について議論する意味がこちらにあると思うか?というわけである。

 するとその返事として、いくつもの疑問や不満のオンパレードが返ってきたのである。

 ここでまた私には疑問が一つ。なぜこのR氏は、疑問や不満があるならそれを早く言わなかったのだろうか、ということである。というのも、彼のその疑問や不満が早い段階でわかっていたら、すぐに取引がまとまっていた可能性が極めて高かった、ということに気づいたからである。そう思ってたんなら最初からそう言ってくれよ、というわけである。

 しかし、そうした気づきの点をR氏に説明するのはどうか。

 おそらく話が通じないであろう。話の通じる相手であったら、そもそもこのようなミスコミュニケーションは発生していないだろう。

 私は、R氏とのコミュニケーションを諦めた。

 以上が、「最後にすべてをぶちまけてくるタイプのヒト」のお話である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?