RX <外伝> メインイベント① ♪Actual Pain
あらすじ
悪役レスラーRXの壮絶過去 17才の成長物語
少年時代 学校生活 精神病院 そして闇は光へ
<本編>
1章 病弱な少年は、レスラーの強さに憧れる
2章 事件が起きて居場所を失い、独りで苦悩
3章 ストレスで絶望感に襲われ、精神病院へ
4章 退院後、うよ曲折を経て希望を見つける
5章 再びレスラーの夢へ、デビューを目指す
<外伝>
10年後 RXは人生を懸け、運命の決戦に挑む
前回はこちら ↓
RX 〜悩める若者への処方箋〜
⭐️<外伝>メインイベント 第1話
リングの真ん中にパイプいすを置くと、
腰かけ、静かに相手を待ち受けるRX。
再び照明が落ち、曲が変わると今度は、
リズムに合わせて大声援が巻き起こる。
ガウンに身を包み、歴戦の貫禄を漂わせた、
王者・剣国ムサシの堂々たる風格の入場だ。
花道の上で両方の拳を突きあげると、
炎の演出がアリーナ中を熱くする。
腰に巻かれた大きなチャンピオンベルト。
豪華な装飾がなされた重厚なデザインと、
深く刻まれた"CHAMPION"の文字。
それを黙ってにらみつける挑戦者。
「・・・・・・」
彼にとっては、
全てを賭けた一世一代の大勝負だというのに
その雲った表情や、いかに。
そんなRXとは対照的に、
ゆっくりとした足取りで防衛戦へ臨む王者。
「赤コーナー、チャンピオン。
190センチ 120キロ、
ケ ン ゴ ク ム サ シ ! 」
スポットライトが注がれたリングの中心で、
ついに両者が向かい合う。運命の時は来た。
身長差30センチ、体重差50キロ。
この圧倒的に不利な体格差を前に、
RXは勝つすべがあるのだろうか。
誰もがそう思う中、早速、彼は仕掛けた。
電撃的な奇襲。
曲が鳴り止む前に、突っかかっていく。
消えていた周囲のライトが慌てて明転し、
急いで試合開始のゴングが鳴らされた。
素早いパンチ、キックの連打。しかし、
攻撃もむなしく吹っ飛ばされてしまう。
何事も無かったかのように、
悠然とガウンを脱ぐ王者。
岩石みたいに巨大な図体があらわとなった。
立ちふさがる筋肉の壁にRXは威圧される。
ひるまず飛び蹴りを見舞うが、
それでも王者は不動の仁王立ち。
次の瞬間、静から動へとスイッチが入り、
大男の化け物は暴れだす。
力強いタックルをまともに喰らい、
リングの端っこに詰められたRXは、
腹を空かせた猛獣のエジキとなる。
王者は角のするどいヒジやヒザを押し当て、
容赦なきパワーで、制圧に乗りだしてゆく。
一方的すぎる展開でRXは劣勢に。
虫ケラみたいに痛めつけられた挙げ句、
頭を掴まれ、投げ捨てられ、場外へ転落。
大方の予想通り、たちうちできなかった。
<つづく>
♪イメージソング
次回は 2/4(日)に投稿予定
⭐️メインイベント 2話⭐️
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