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Korogiマリンバの最低音(LowA近辺)について

そういえば1年ほど前、知人より『KOROGI製マリンバのLowA(A13)は、あった方が良いのか』という質問を頂いた。
この質問については、その答えが中々インターネット上にないため、何かの参考になればと思い記す次第。

質問の概要

●いわゆる最低音(LowC)より下のLowH/LowB/LowAについて、有った方が良いのかどうか。
●低すぎて演奏効果がないとか、鳴らないとかそういったことはあるのか。
●その他のメリット・デメリット等を聴きたい。

回答

奏者の考えや用途によるので一概には言えない。以下その判断材料。

①奏者の活動方針次第

作編曲をする場合、音域が広いというのは基本的には良い事である。よって、もしも作編曲をする奏者の場合や、作編曲家と密な関係にある場合は、有った方が良いだろうし、それ以外の場合では、基本的には無くて良いと思う。
私はアレンジを今までよく書いてきたものの、A13近辺を必要だと感じた作品は
●Ravel(La Valse)
●Debussy(La Mer)
など、あまり多くない。よって、それらをアレンジされたりするのでなければ、不要だと思われる。つまり、平易なアレンジにおいては特に使う理由もないということ。

余談だが、La ValseはA13無くしては演奏不可能だと思う反面、Daphnis et Chloeでは必須ではないと感じた。

②楽器の重量・大きさ

当然のことながら、3音分のパイプが付く為、重くなる。大きさもわずかに大きくなる。車に積む時に、LowA有りの楽器はやはり大変だった。
置き場所にも困るのではないだろうか。
ただし、重くなるというのはその分鳴るということでもあるので、サウンドを求めるなら検討の余地がある。

③音色の差

5オクターブのLowCには、どうにもその鍵盤に限りサウンドが薄く、音が伸びない問題があるが、LowAがある楽器は何の問題もなく音が伸びる(ここでいう伸びというのは、要するに立体感とか自然で豊かな響きであって、トレモロをした時にどうこうということではない)。これは、恐らくLowHの鍵盤と共鳴管が存在することに因ると思われる。
C28を弾いた時に、4オクターブか5オクターブのどちらで弾いても変わらないということはあるまい。もちろん、鍵盤の質も大事だが、隣接する鍵盤の有無によってサウンドは変わると思われる。
また、最高音近辺も余裕のある響きになるため、最善の音色のためにはLowA有りの楽器の方が良い。

④鍵盤の位置(高さ)

LowA有りの楽器は共鳴管の容積確保の都合上、どうしても高さが高くなる。鍵盤の高さは個人の好みではあるが、一般的に鍵盤位置が高い方がよく鳴るため、操作性に問題がなければ基本的には位置が高い方が良い。

⑤価格

こおろぎ社のHPにある最高級モデルパーフェクションの価格を見てみると、PF3000AFが2,684,000円、PF3000CFが2,332,000円と実に352,000円の差がある。標準外の音域として使うかどうかわからない音にこの金額を払うかどうかというのも、ひとつの基準ではないだろうか。

LowA近辺の音色について

実際かなり珍しい楽器だが、様々なメーカーの新旧5台合わせて弾いてきた経験から言えば、LowCの鳴りは物凄く変わる。自然で豊かな音になり、芳醇な響きになる。LowHも違和感がない。LowBになるとやや怪しくなり、LowAはほとんど効果音的である。ただし、これはあくまでLowAまでの楽器の話であるため、LowG有りの楽器であればまた、変わるのかもしれない。



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