あえて変えない戦略

 最近、ホンダではフルモデルチェンジの際に、あえて以前のモデルのキャリーオーバーに近い形で新型モデルを発表することが多いように感じた。1つ目の例だと、2代目N-ONEが挙げられる。パワートレイン、プラットフォームなど、走りにかかわるものは最新であるが、外観は先代の外板を流用するなどしながら、細部をブラッシュアップした。ほとんど初代N-ONEと見た目は変わらないが、細かい部分を煮詰めた結果なのか、古さを感じないデザインになっている。N-ONEのエクステリアは以前から好評だったので、あえて変えないことが、ユーザーに対する意思表示になるという考えだったようだ。

 2つ目の例では、新型ステップワゴンが挙げられる。内外装は全面的に変わっているが、パワートレイン、プラットフォームは先代モデルからの流用である。これは、先代モデルではVTECターボによる、低速から力強い走り、低重心設計による気持ち良い走りで、ライバルモデルと一線を画しており、ステップワゴンならではの魅力であった。走りという点では先代ステップワゴンは歴代で一番評価されている。この走りに惚れ込んで購入したオーナーもいらっしゃったので、この選択は間違っていなかったと思う。

 あえて変えないことは、ユーザーに対する信念がぶれていないという意思表示にもなるのではないかと私は考える。

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